12.28.2010

[film] It's a Wonderful Life (1946)

25日、”Little Fockers”の後で、IFC Centerにむかう。
この季節になると定期上映館では定番Christmasクラシック映画の特集を組んでくれたりするものなのだが、今年はなんでかあんましない。 BAMのCinematekはお休みしてるし、やってるのはFilm Forumのあれと、IFC Centerのこれ、くらい。

予告でかかったのがアニメの「サマー・ウォーズ」、英語題も"Summer Wars"と、Phil Ochsのドキュメンタリー!!! みたいよう。

”It's a Wonderful Life”は見たことなかった。
クリスマスにはTVでいっつもやっている(やるものなのだ)し、タイトルが"It's a Wonderful Life"で、邦題が『素晴らしき哉、人生!』で保険会社かよ、てかんじだし、旧パンクで育ってきた自分とは関係ない世界のおはなしだと思ってきた。

でもちょうどChristmasだし、ちゃんとしたスクリーンで見れるし、みんなふつうに誉めてるし、James Stewartだし、いっちょう見てみるか、と。

いかった。 元気をもらう、とか、生きる勇気がわく、とか、自殺をおもいとどまる、とか、そういう類のもんではないとおもうが、ドラマとしてとてもよくできているとおもった。

天使の住む天上があって下々の庶民が住む下界があって、主人公であるGeorge Baileyの生い立ちと人格と家族と職場と、があって、そんな上下縦横のいろんな網目が、後半の事件以降に一挙に俯瞰されたでっかい絵となって目の前に出てくる。

町中のひとりひとりの妙に変な挙動(みんながみんなをしってる)、妻Maryのこまこました変なとこ(ターンテーブルでロティスリーまわすとか)、職場でなんであんなにいっぱい動物飼ってるんだ、とか、あちこち変なところがいっぱいあるのだが、そういう変な要素をきちきちちゃんと描いているので、そういうのがラストの俯瞰図のところと、大円団のとこでたまらなく愛おしいなにかとなって噴出してくる。 その出しかたが、なんかよくて、"Wonderful Life"っていうのはそういう連中(てめーらってやつあ...)ぜんぶひっくるめて、なのね。

んで、悪いやつらは、それはそれで生き残って、世の中に住みにくい街をいっぱい作っているわけよね。 ふんとにWonderful、だよねえ。

そんなふうに、みんなで納得して揉み消しあうのが、Christmasなんだね。 ちがうか。

あと、「自分なんて生まれていなければよかった世界 → 自分が生まれてこなかった世界」のありようを眺める「自分」、これを眺める「自分」ていったいなんなの? 誰なの? というのはなかなかおもしろいテーマかも。

James Stewartは、最後のほうの、なりふりかまわず訳わかんなくなって崩れていくあたりが、すばらしい。
雪の町中をわあわあ言いながら走りまわるとことか。

天使がぼろいおっさんで、ほとんどあんま貢献しないとこもよいよね。

23日と24日の夜の上映のときには、Mary役のDonna Reedさんの娘さんが挨拶にきてお話していったの。  きっとよいお話が聞けたことでせう。

セサミストリートのBertとErnieの名前って、この映画の警官とCabドライバーの名前から取られたのかー。  それもなんかいいなー。

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