12.21.2010

[film] King's Speech (2010)

日曜日は、前日のあれもあって外をうろちょろするかんじでもなかったので、映画を1本だけ。

IMAXの3Dで"TRON"でも見て、あれこればかにしてみる、というのもやってみたかったのだが、それはそれで体力がいるような気がしたし、IMAXのチケット、昼間の分は売り切れていたのだった。 ふうん。

LincolnのAMCで"King's Speech"を見る。
ここのシネコンにはシアターごとに番号ではなく名前がついてて、この映画は、"King"ていう部屋でやってた。
20分前に入ったら席が殆ど埋まっていたのでおどろく。 しかもお年寄りばっかし。
そうだよねえ。 "TRON"なんてかんけいないよねえ。

どこからか突然あらわれて、Golden Globesの最多を含むいろんなノミネーションをかっさらっている英国のIndependent映画。 実話ベースの。

今のエリザベス女王のパパ、King George VIは吃音癖があって、だからSpeechとかがうまくできなくて、それを克服するためにオーストラリア人のセラピストが雇われて、ふたりの間には友情がうまれて・・

ここまでは知ってた粗筋で、でも実際にはうんといろんな要素が入ったおもしろい作品でした。
Holidayに家族でみるにはとってもよいかも。

家族のおはなしであり、歴史ドラマであり、王室モノであり、階級のおはなしであり、友情のおはなしであり、教育のおはなしであり、これら全ては、(話の性質故)どちらかというとClosedな世界でじりじりと展開していくのだが、最後の最後にそれが、Speech、しかもKing's Speechというかたちになって世界(ほんとに全世界)に向かって放たれる。 
それが解き放たれる直前の緊張と解放の瞬間のカタルシスがすばらし。 

ちゃんとした正統・正調の英語のSpeechができるようになるための、なるまでのドラマをろくに英語もできないような奴(ちなみにわたしの英語の殆どは、サウス・ブロンクス育ちのプエルトリカンに教わった)が見て聞いてわかるのか、という若干の不安はあったが、案外わかるものでしたわ。
でもあっちの、イギリスの英語って、わざとつっかえて苦しみやすいように作っているのではないか、とか少しおもった。 これはいつものことであるが。

王様と先生、彼らふたりがばりばりがんがん喧嘩して別れたり迷ったりしながら彷徨うあちこちの小路や岐路に、例えば王様の家族がいたり、王室の事情があったり、庶民の家族があったり、当時の政局や世界事情があったり、そいつらをぜんぶ、おもいっきり黙らせてやるためには、厳格で流暢なSpeechと"Voice"がなんとしても必要で、そんな"Voice"が"Shit"だの"Fuck"だののdirty wordの連発や、「俺の椅子(王座)に座るんじゃねえ!」みたいな、どなりちらしたり捲くしたてたり、怒りのばくはつのなかで獲得されていくのが痛快でおもしろい。

このへん、RapのRhymeとおなじようなかんじなのかも。
歌を歌いながらしゃべるレッスンのシーンがあったが、今なら間違いなくRapでやるよね。 だれのがよいのかしら。

俳優陣のアンサンブルはほんとに見事で巧くて、King George役のColin Firthも、先生役のGeoffery Rushも、どっちが/どっちも賞貰ったってぜんぜん文句ないかんじ。 

Helena Bonham Carter さんは、いつハリポのBellatrixみたいに「しゃーっ」とか、アリスのRed Queenみたいに頭が膨らんで「きぃーっ」となるか、どきどきしつつ見ていたのだが、ならなかった。 ちょっとざんねん。

あとね、どこまでがほんとの事実なのか、という点はあるにせよ、ほんとにこれらのことをこまこまやっていたのだとしたら、やっぱりイギリスの王室って世界のみんなから愛されるよね。なんとなく。

厚顔ナショナリストとか自己啓バカとか、声にだして日本語うんたらのバカとか、そういうのに安易に利用されないことを祈りたい。

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