3.12.2023

[film] What’s Love Got to Do with It? (2022)

3月2日、木曜日、ロンドンに着いた日の晩の21:00、CurzonのMayfairで見ました。

滞在3日間の間に1本くらいは映画見たいな、と思って、見るとしたらこの日で、でも朝6:30にヒースローに着いてから走り回っていたのでこんがらがってて難しそうなのは無理、BFIには見たいのがなくて、この晩は一日限りでBrian & Roger Enoのライブ配信もあったのだがたぶん絶対寝ちゃうだろうし、”Cocaine Bear”だと自分がそんな状態になっている時にどうなのか、とか。で、無難そうなこれにした。

Curzon Mayfairは”The Guernsey Literary and Potato Peel Pie Society” (2018)『ガーンジー島の読書会の秘密』の公開時にLily Jamesさん(他にGlen Powellとかもいた)のトークをみた場所だし、この映画のなかにもCurzon Mayfairが出てくるというし。古いけど居心地のよい昔の映画館で大好きな場所なのだが、あそこのラウンジのソファに腰をおろした途端にもう..

監督は”Elizabeth” (1998)のShekhar Kapur、脚本はJemima Khan。“Notting Hill” (1999) ~ “Bridget Jones's Diary” (2001) ~ “Love Actually” (2003)といったブリティッシュrom-comの王道を作ってきた老舗のWorking Titleの製作。

ドキュメンタリー映画作家のZoe (Lily James)と幼馴染で親友の医師Kazim (Shazad Latif)がいて、いつものように会ってお決まりの恋とか結婚とかどうするよの話題になった時、Kazimはマッチングサイトとかいろいろやってみたけど、親(と業者 - Asim Chaudhry)が見つけて決めた相手と結婚する - arranged marriageをパキスタンの女性とやってみることにした、という。ええー、ってびっくりするのだが、熱烈に恋愛して結婚したって不和になって壊れることはあるし、それなら最初から親も相手も全員が納得した相手を迎える方にしたって変わらない – こっちの方が「解消」って言ったらそれですぐにクリアできるし、安全確実なのではないか? って。うーんそうかー? って首をかしげるZoeは、そうだこの顛末をネタにドキュメンタリーを作ってみよう、ってスポンサーを確保してカメラを回してパキスタンにも行ったりする。

Zoeにはいつもひとりでお祭り騒ぎが大好きな母のCath (Emma Thompson)がいて、横でちょこちょこ口を出してきて楽しい(お約束)のだが、メインはドキュメンタリーのネタ、と言いながら昔からの親友のKazimの結婚までの道のり – 相手の選定からお見合い - 見事に文句なしぽいのがくる - から儀式とか伝統とか異文化との遭遇みたいなとこまで - を追って、びっくりしたり突っこんだりしているうちに愛と結婚について自分でも考えてしまうことになって、更に被写体であるKazimについても、ずーっと彼の行動を見ているうちにいやまさかそんな(お約束)って。

結婚とは家と家の、そのバックグラウンドも含めて受け容れてより大きな家(ツリー)をつくって伝統を維持したりの社会的な(SDGs?)イベントである、でも、そうだとしたら愛ってどこにあるなんなのさ?(”arranged”だってそれも込みなのだ、とかいろいろ) こうして”What’s Love Got to Do with It?” っていう昔からあるテーマに立ち返ったとき、それを自身のイベントとしてくぐり抜けようとしていたKasimとそれをカメラ越しに見つめていたZoeは…

ドキュメンタリーができあがって、彼の家族も含めて関係者全員が集まったプレミア(その会場がCurzon Mayfairだった – でも扉を出てすぐにテムズ川はないよ)で、上映された映画はarranged marriageに対してネガティヴなトーンのものになっていたので、被写体となったKasimとその家族に失望と不興をもたらして、Zoe自身もよくわかんなくなってしまい、つまりそれは。

親友とか身近な人の結婚を興味半分で追っかけたり眺めたりしているうちに実は自分が.. っていうのだと“My Best Friend's Wedding” (1997)とか”Made of Honor” (2008)とか”27 Dresses” (2008)とかいろいろあるし、お見合か恋愛か、でいうと小津の時代から山ほどあるし、この作品だとここに異文化(パキスタン)の要素とか、ドキュメンタリーを撮るという社会的な意義みたいのが入りこんでくるのだが、結末はどうでもよくなるというか、極めてふつーのrom-comになるしかなくて、それでいっか... みたいになる程度の弱さ(よくもわるくも)。みんなもそれを望んでいるのよね、って。(ぜんぶめんどいからシングルでええわ、ってないのか)

で、あとはここから始まるZoeとKasimの冒険がどうなるのかー(犬でも喰わなくなる)。この辺、パキスタンの人と結婚(のち離婚)していた脚本のJemima Khanさんの経験とかも反映されるのであろうか。

こういうの(家父長制 vs. 自由恋愛)って今こそ日本で撮ったらおもしろくなるのに。『あのこは貴族』(2020)は少しおもしろかったけど、時代錯誤か、っていうくらいにもっと攻めたってだいじょうぶ。実際にひどいから。

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