3.24.2023

[film] Eiffel (2021)

3月19日の日曜日、渋谷で”Magic Mike”を見て、三鷹に行って合田佐和子展を見て、夕方に新宿武蔵野館でこれを見ました。 前日に見たギトリの『シャンゼリゼをさかのぼろう』の流れもある。
邦題は『エッフェル塔~創造者の愛~』。 エッフェル塔が入っているから「パリ」は入れなくてもいいのか(嫌味)。

監督はMartin Bourboulon、音楽はそりゃそうだろう、って相変わらず見事なAlexandre Desplat。

エッフェル塔はそもそも大好きで、世代的には東京タワーだろう、と言われてしまうのだが、あれはただの電波塔でそんなには惹かれない(スカイツリー? 論外)。実際に行って昇ってみてほんとにすごいや、って惚れた。

Gustave Eiffel (1832-1923) がどうやってエッフェル塔を作っていったのか、そりゃ知りたいよね、って見始めると「史実をもとに自由に創作」とかいうのでやや不安が。

冒頭、Eiffel (Romain Duris)がほぼ出来上がっているのか塔の上からパリの町を見渡し、疲れているけど晴れ晴れした表情になったところでそこから3年前に遡る。

既に沢山の橋を設計したり、自由の女神の土台部分の設計でアメリカから名誉市民として表彰されたりしていたEiffelは、当初は1889年の万国博覧会の入り口に設置されるモニュメントを作ることには興味がなくて、最初は次にやりたいのはメトロの方だ、って言っていたのだが、他のかっこわるい塔の案とかを貶して、パーティで過去になにかあったらしいAdrienne (Emma Mackey)と目を合わせて、少しづつ変わって火が点いたりしたのか、当初みんなが言っていた200mではなく、300mの塔を建てるぞ、って言っちゃうの。

そこからスケッチを何枚も描いて、コンペに通って、工事をする人たちとやるぞーって気勢をあげて、でも浸水が起こったり、住民や労働者からの風当りも強くなって、こういう社会的にでっかいプロジェクトで起こりそうなことがぜんぶやってくるのだが、ドラマはその合間に今は人妻であるらしいAdrienneと過去なにがあってとにかく再燃してしまった恋がどうなっていくのか、を時間を行ったり来たりしながら追っていく。べつにいいけど、エッフェル塔以外にもいろいろ建てまくっていた彼がそんなことしている時間とか余裕あったの?

彼ってなにごとにも情熱的だから、かもしれないけど、この映画については、建立に伴う技術的な困難とか課題とか、それに起因した実際の事故とか、労使問題とか、文化的な障壁とか軋轢とか描いたらおもしろくなるに決まっているネタがいっぱいあったはずだし、そうじゃなくてもあの斜めにぶっ刺さった土台とか、いろいろあるリベット接合とか装飾とか、てっぺんの方をどう昇りながら建てていったのかとか、経過を見たいとこもいっぱいあったし、Eiffelが図面に向かう場面も、ラフな絵を描き殴っているとことか、”Adrienne”の”A”とか(だけ)って、なめんなー。

そことふたりの恋愛の駆け引きを天秤にかけているように見えて - さらに恋愛 = 彼女を取ったら彼女の夫の記者に塔のプロジェクトのことを悪く書かれてこの先なくなるぞ、ってせこすぎないか? 彼女がどれだけ魅力的だったにしてもさー。


Puss in Boots: The Last Wish (2022)

3月22日、水曜日の晩、Tohoシネマズ六本木で、字幕版を見ました。猫好きだから。

DreamWorksのアニメーション、Shrekシリーズからのスピンオフで、邦題は『長ぐつをはいたネコと9つの命』。 監督は”Kung Fu Panda”シリーズのストーリーなどを作ってきたJoel Crawford。

Puss in Boots (Antonio Banderas)がいつものように酒場などでぶいぶい言わして騒いでいたら突然巨人が襲ってきてそいつを倒したものの、でっかい鐘に押し潰されて病院で目が覚めて、医者から、あんたは9つの命のうち既に8つを使ってしまったので、もう後がない - 引退したほうがよい、って言われて、死神みたいな狼も現れて襲ってきたりしたので、猫ホームに入って余生を送ることにする。

そこにGoldilocks (Florence Pugh)と三匹の親子熊 (Olivia Colman, Ray Winstone, Samson Kayo)が現れて”Big” Jack Horner (John Mulaney)-Boris Johnsonみたい - が持っている願いが叶う魔法の地図 - Wishing Star - を盗む話を持ち掛けてくる。これがあれば失われた命を呼び戻して復活できる! と思ったPussはホームにいた雑種チワワのPerrito the chihuahua (Harvey Guillén)とかKitty Softpaws (Salma Hayek Pinault)と一緒になって、Wishing Star争奪を巡るこの世の果てのどたばたに巻き込まれていくの。

結末は思ったとおり、8つあろうが9つあろうが、たったひとつのこの命があればおいらには十分 〜 不死身なんだよう、って森の石松(森繁の)みたいなとこに落ちて堂々と復活してしまう。これはこれでよいけど、次は『100万回生きたねこ』の方をやってほしいな。

あと、予算のせいかなんなのか、DreamWorksのアニメーション - ”Shrek”や” How to Train Your Dragon” – のトレードマークだった気がする滑らかな動きと線の向こうに広がるでっかいスケールと見晴らしのよさ、みたいなのがなくなって、全体に雑に(よく言えばグラフィック調? 劇画ふう?)になっている気がして、残念だったかも。 雑種チワワの描き方とか、ほんとはキュートに映えておかしくないのに、雑すぎてただの汚れたぽんこつになってて、ちょっとかわいそうだった。

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