1.19.2022

[film] The Member of the Wedding (1952)

シネマヴェーラの特集 -『Strangers in Hollywood1』で見た何本かの感想つづき - これが最後。

A Scandal in Paris (1946) -『パリのスキャンダル』

1月4日の火曜日、お正月終わんないで、って思いつつ見ました。
フランスのEugène-François Vidocq (1775 –1857) - 犯罪者からパリ警察の密偵となって国家警察のトップにまで昇りつめて元祖「探偵」と言われる – の『ヴィドック回想録』が原作。

Vidocq(George Sanders)は牢屋で生まれて、冒頭で仲間のEmile Vernet (Akim Tamiroff)と脱獄してからも変わらず泥棒したり軍に入ったりの流れ者で、歌手のLoretta (Carole Landis)とか警察大臣の娘Therese (Signe Hasso)と出会って片っ端から恋におちて、企て、というほどすごくはないいろんなズルをてきとーに働きつつ闇の奥からのしあがっていく様が紙芝居の活劇ふうに描かれていく。

原作がそういうものなのだろうが、なめてんのか、っていうくらいいい加減に世間を渡っていくVidocqを演じるGeorge Sandersのつるっとした厚顔の胡散臭さがたまんなくて、こんなのが元祖なのだとしたら警察も探偵もやっぱしなー.. とか。


The Member of the Wedding (1952) -『結婚式のメンバー』

1月8日の土曜日に見ました。
監督はFred Zinnemannで、原作はCarson McCullersの同名小説 (1946)。制作はStanley Kramer、音楽はAlex North。
南部ジョージアの狂ったようにうだる夏、12歳のFrankie (Julie Harris - この役を演じていた時は27歳だって) に母はいなくて父は店をやっていて忙しそうで、相手をしてくれるのは隣に住む従兄弟のJohn Henry (Brandon De Wilde)と家政婦のBerenice (Ethel Waters)くらいなのだが、John HenryはただのガキだしBereniceは自分の家族の心配事があるようだし、ネグレクトされているわけではないけど、どこにも居場所がない。 “C’mon C'mon” (2021)のJoaquin、Frankieにインタビューしてあげて。

最近の話題といったら彼女の兄のJarvis (Arthur Franz)がJanice (Nancy Gates)と結婚することくらい。幸せそうなふたりの恋に恋して妄想を爆走させたFrankieは彼らの結婚式であたしも一緒に連れていって、って車に乗り込んで大騒ぎをして引き離されて、やがてJohn Henryを病が襲ってBereniceにも不幸が訪れて、すべてがしょんぼりと、少女の夏が終わる。 輝いてなんかいない、残酷とも言いきれない距離感で決して消えないあの夏の古傷を眺めているような感覚はどこから来るのだろうか、って。


Shockproof (1949) -『ショックプルーフ』

監督はダグラス・サーク、脚本はサミュエル・フラーとヘレン・ドイチュ。

Jenny (Patricia Knight)は恋人のギャンブラーのHarry (John Baragrey) のために殺人を犯して、仮釈放中に保護観察官のGriff (Cornel Wilde)と落ちてはいけない恋に落ちて、JennyはHarryに未練があるみたいだったのに、Griffは政治家になりたいとか言ってたのに一緒になっちゃうのかー しかも逃げるのかー やばいぞー、って少しびっくりして、後半はぜんぶ捨てて吹っ切ってどうなっちゃうのかどこに行くのか逃亡劇のはらはらになるの。ガソリンスタンドとかメキシコに行くとか、これはぜったい地獄にまっしぐらだ、と思ったらそうはならなかった。

結末のところ、スタジオがフラーのオリジナル脚本 - 銃撃戦で終わる - をドイチュのに書き直させたと、当然サークはがっかりした.. ということだが、刃の上を歩いていくような冷たい感覚 - いけないことばかりをやり続ける - はずっと残るのでまあよいか、って。


Slightly French (1949) - 『ちょっとフランス風』

1月15日の土曜日に見ました。これもダグラス・サーク、この特集で見た最後の1本になった。

冒頭の歌とダンスの撮影シーンがなかなかびっくりで、サーク器用すぎないか? って。
で、なんでも完璧主義の映画監督John Gayle (Don Ameche)がいて、冒頭で踊っていた主演のフランス人女優が厳しすぎる現場から逃げちゃって、プロデューサーのDouglas (Willard Parker)は激怒して彼を下ろして、Johnはカーニバルで拾ったアイリッシュのMary O'Leary (Dorothy Lamour)をフランス人Rochelle Oliviaに仕立てて主演女優にすべく、まずはDouglasに気に入らせよう作戦を展開するのだが、MaryはJohnのことが好きになってて、DouglasはMaryが好きになって、Johnは.. ?  っていう映画制作を巡る『ピグマリオン』風味のラブコメなの。 こんなのでも81分。

Don Amecheって、どんなクラシックに出ていても自分にとっては”Cocoon” (1985)のおじいちゃんなので、おじいちゃん、って思いながら見た。 

サークにとっての「異国」ってどこだったのかしら? って思ったり。


今日、ようやく”The Souvenir Part II” (2021)を見ることができた。会社半休した。今年見なきゃいけない映画の半分くらいを見てしまったような達成感。しみじみよかった。

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