3.19.2020

[log] New York, March 2020

6日から8日までNew Yorkに行っていたのでその時のart関係のを中心に少しだけ。

ほんの10日程前のことなのにとても遠い昔のことのようで、でもこんなふうにして思いだしたことも、いつかどこかで別の昔話となってくれますように、と祈りながら書いていこう。

ところでロンドンは今日 - 19日くらいからほぼ閉鎖モードに入って、もう外には出ないように、になってきている。週初めに政府が方針をがらりと変えて、それはそれなりの調査やデータに基づいたものだったのだろうから従うけど、昨日は閉まる直前のNational GalleryでTitian(ティツィアーノ)を見たりしていた。そういうのもこれで終わり。
自分だけは大丈夫なんて思っていないし自分の動きが見えないところで事態を悪化させてしまう可能性もある、ウィルスとはそういうもので、そういうところまで来てしまったのだなと。

でも買いだめできるほどの冷蔵庫もスペースもないので、スーパーには行かざるを得なくて、朝7:30に開く近所のスーパー - Waitroseに行ってみる。朝いちだとトイレットペーパーも少しはあって、卵もあって、でもすぐなくなった。パスタはずーっとない。トマト缶は数個だけ。
水曜日の朝は20人くらいだったけど、今日 - 木曜日は更に増えて結構な列ができていた。でも誰も走らないしひとり一個は当然だし、落ち着いている。 というのが本日時点の現場でございます。

さて、6日の金曜日はお昼くらいにJFKに着地して、こういう状態なので入国できるかしら? 数年前にイランに入国歴があって1週間前はロシアにいて1か月前は日本にいたのよ。でも通してくれた。これが1週間後だったら...  入国の列で5時間、とか言われたら泣いちゃうわ。

Madame d’Ora

Neue Galerieの土日はなぜか行列になるので金曜日、着いてすぐに向かった。雨が降り始める。
ウィーンで最初の女性写真家 - Madame d’OraことDora Kallmus (1881–1963)の、米国では最大規模となるレトロスペクティブ。

06年にスタジオを開いてウィーン王家の写真家となり、20年代のパリでデザイナーやアーティストやダンサーの写真を撮りまくって、被写体もドレスもポーズも笑顔もみんな素敵なので写真も素敵で、Maurice ChevalierもCecil BeatonもColetteも、猫を掲げるFoujitaも、カメラの前ではどんなだったのかなあ、って。Alban Berg、Alma Mahler、Anna May Wong、Josephine Bakerたちのかっこいい写真。ファッション写真として撮られたJeanne Lanvinのドレスは実物が展示されていた。
他方で結構生々しい屠殺場の写真とか。その辺、オーストリア人、なのかしら。

そこを出て、あまり雨に濡れたくなかったので5th Aveをバスで下ってThe Morgan Library & Museumに行くことにしたのだが、雨のときのマンハッタンのバスがどんなふうになるか(まったく進まない。ひどい)思いだせて懐かしかった。
バスで隣に座ったおじさんにここのバスっていつもこんなにひどいのか? って聞かれて、はい。雨だとほんとにひどいのよ、って返す。ツーリストだけど。

Alfred Jarry: The Carnival of Being

アルフレッド・ジャリは大好きで、バンドのPere Ubuを好きになったのも彼経由だし、批評家で劇作家で作家で落書きみたいな変な絵もいっぱい描くし、今だったらきっとぜったいZineとかやっていそう。展示はいろんなのがあって、本人の楽しい落書きに加えてPierre Bonnardが表紙を描いているLa Revue Blanche誌、とかOctave UzanneのL'Art et l'Idée誌に載ったFélix Vallottonによる Paul Verlaineとか。 Paul Gauguin, Bonnard, Max Ernst, Picasso, MiroからWilliam Kentridgeまで。Dora Maarの”Père Ubu” (1936)ももちろん。いくら見ていてもあきないの。

Jean-Jacques Lequeu: Visionary Architect. Drawings from the Bibliothèque nationale de France

これは昨年の2月にPetit Plaisで見た展示 - ”Jean Jacques Lequeu (1757-1826)  Builder of Fantasy”の縮小版だった。この展示はびっくりするくらいすばらしかったのだが、あそこに展示されていた細密変てこエロ画たちがちょっとしかなかったのが残念だった。

The Drawings of Al Taylor

彫刻家だと思っていたのだが最初は絵画から入った人だったのか。空間を斜め奥の微妙なところまでぬるぬる入っていく太い線とか紐とか。フレームから戻ったときにやってくる目眩のような感覚がたまらない。 宙に浮く魚のぶつ切りとか、すごいねえ。

そこからはお買い物で、Strandに行って、Academy Recordsに行って、Mast Booksに行った。でもぜんぶ歩いたのでびしょびしょになった。

7日は、天気がよくなって朝ごはんの後で、11th AveのPrinted Matter, Inc. に行った。移転してからは初めて行ったかも。周りはがらんとしているのに中は結構混み合っていて、Zineて盛りあがっているいるんだねえ、と改めて。 昨年出版されたKathy Acker (1971-1975)が欲しくて、まだ2冊残っていた。為替のせいか、ものすごく高くてびっくり。

”West Side Story”の後で西側をまわってMetropolitan Museum of Artで少しだけ。入れ替え期なのか殆どなくて、でも開館150周年で新装された”The New British Galleries”をみる。 どれどれ、って。

ぴっかぴかで、17世紀のお屋敷の階段のめちゃくちゃ細かい木彫りが再構成されていたり、アメリカ人の憧れるBritishイメージがびしっとてんこ盛りで、でもちょっと綺麗で豪華すぎないかしら。 ずっとアメリカにいたら騙されるかもしれないけど、3年も暮らして地方のお城とか見てきていると、アメリカに対するのとはぜんぜん違う目線角度だけど、Britishってさあ..  ということを考えてしまったり。

In Pursuit of Fashion: The Sandy Schreier Collection

これもMET150周年記念展示で、コレクターSandy Schreierの収集品を纏めたもの。目がもう死んでいたので細かいキャプションは見ず、布の肌理とか切れ目と重なりばかり見ていて、見れば見るほどうっとりする。20世紀初めの頃の服って見ているだけでなんであんなにうっとり幸せになってしまうのか、でも服ってそもそもそういうもんなんだよねえ、って。

METを出て、もう夕方近かったが地下鉄で移転したICP (International Center of Photography)に向かう。ミッドタウンの43rdからBoweryに、そして今回のEssexに、放浪するICP。
地下鉄のDelancey Stで降りてすぐ、Essexの角にはでっかいぴかぴかのモールが出来ていて変わったんだねえ、って。 20年前には決して立ち寄ってはいけません区域だったのにねえ。

一部住居用のビルで、行った時はアラームのテストだか誤作動だかで頭が痛くなるくらいに警報が鳴り響いていた。

CONTACT HIGH: A Visual History of Hip-Hop

Hip-Hopのアーティストのいろんなプロモーション等で使われたイメージを集めたもの。同様の写真としてはRock’n RollとかPunkのとかよりぜんぜんおもしろいしかっこいいと思うんだけど。絵になる(写真になる、か)ってこういうのを言うのよね、って。

The Lower East Side - Selections from the ICP Collection

移転記念で、Lower Eastの昔を撮った写真を、Weegeeのクラシックから知らない人まで。
この地域を撮った昔の映画も大好きなのだが、なんだろうねえこの湧きあがる親しみやすさ懐かしさ。日本だと浅草とか大阪の下町の、みんな口では大好き、とか言うくせに平気でぶっ壊してきて開発してきた街の面影。もう残っていないからそんなこと言えるのかしら。

戻りは8日の晩、19:30に発つ飛行機で、ヒースローには月曜日朝の6:00くらいに着地して、地下鉄でおうちに戻って着替えて会社にいく … 予定だったのだがこの朝、ドイツへの出張が入っていたので、シャワー浴びてパッキングして慌ててまたヒースローに向かう、というばかなことをやった。 ヒースローで着替えてそのまま行けば..  と思わないでもなかったが、荷物は本でいっぱいで重くて無理だったの。 もうにどとやりません(棒)。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。