3.03.2020

[film] The Invisible Man (2020)

29日、土曜日の晩、Picturehouse Centralで見ました。 この週末はStorm Jorge(ほるへ)っていうのが来ていたの。

予告を見たらなんか怖そうで、でもElizabeth Mossだからきっと…  くらい。
1933年の同名映画(見てない)のリメイク、というのは見てから知った。
最初は大コケした”The Mummy” (2017)に続くDark Universeのフランチャイズだったそう。でもこっちは当たりそうでよかった。

Cecilia (Elisabeth Moss) が夜中に夫Adrian (Oliver Jackson-Cohen)と暮らす邸宅からこっそり抜け出して妹のEmily (Harriet Dyer)の車にピックアップして貰って必死で脱出するところが冒頭。Adrianは走って車のところまで追いかけてきてガラスをぶち破ったりして怖いのだが、Ceciliaの怯えっぷりとAdrianの執拗さから彼女は彼のDVから逃れようとしたのだな、というのがわかる。

友人で警官のJames (Aldis Hodge)とその娘のSydney (Storm Reid)の家に匿ってもらい、それでも見つかるのではないかってびくびくしているとある日呼ばれてAdrianの弟のLawyerからAdrianが自殺したこと、Ceciliaが彼 - 光学の権威だった - の莫大な遺産の相続人とされていることを告げられる。

あーとうとう解放されたんだ、とほっとしていると誰もいないはずの部屋になんだか彼の気配を感じるようになる。 はじめはトラウマとか疲労による妄執、って周囲も思ってなだめているのだが、どう考えてもこれは.. の物証も出てきて、やがて彼女がパニック起こして騒げば騒ぐほど周囲から孤立して、それと共に見えない彼からの嫌がらせ - こんなことをするのはAdrianしか考えられない - も執拗にあからさまになって、やがて..

結局Ceciliaは刑事事件の犯人として拘束されて病練行きになってしまうのだが、そこにもやはり彼が現れ …

敵は透明なので、ぎりぎりまで「彼」がほんとうに「彼」なのかが見えないわからない、でもそこに気配あるし、というあたりがうまくて怖くて、Ceciliaはこんなことをやる/できるのは「彼」しかいないから、って腹を括って立ち向かうしかない。どうせ何をどう抵抗しても騒いでもぜんぶ自分のせいになっちゃうのだから。

見えない男 - 透明人間が引き起こすサスペンスホラー、というよりDVからの逃走・対決劇というトーンに持っていったのがこの映画では当たっていて、ぼろぼろにされても狂気すれすれまで追い詰められても隈をつくって歯を食いしばって立ち向かっていくElizabeth Mossがすごいの。
(他方で、誰からも見えなくできるすごい技術を手にしているのに、それを逃げた女を虐めるのにしか使わないしょうもない男..)

TVシリーズの”Mad Men”も”The Handmaid's Tale”も見ていないのだが、映画だと“Listen Up Philip” (2014)とか”The One I Love” (2014)あたりから彼女を見てきて、親密な仲にある相手の変な挙動にぶつかったときの彼女の葛藤とおぇぇー(吐)みたいな表情と、その先でそれがぶっ殺したろかこの..  に変貌していく強さったらたまらない。

そうそう、“Us” (2019)で唯一不満だったのか彼女があっさり殺られちゃったことなのよ。

もし続編ができるのだったらすごいわ(希望)。

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