3.02.2020

[film] Midnight Family (2019)

25日、火曜日の晩、Picturehouse Centralで見たドキュメンタリー映画。
この晩、本当は昨年延期になったJohn Prineさんのライブがある予定だったのだが、改めてキャンセルされてしまったの。よくなりますように。

Mexico Cityでプライベートの救急車をぶんまわしているOchoa familyの日々の奮闘を描いたもの。
え? プライベートってどういうこと? とか思うのだが、Mexico Cityでは人口9百万人に対して45台しかパブリックの救急車が用意されていなくて、それだとみんな死んじゃうのでプライベート救急車の仕組みが発達したのだと。(ちなみにロンドンのNHSでは人口8.6百万に対して1100台だって)

主人公のOchoa一家は、顔色があまりよくない(糖尿病の治療中らしい)お父ちゃんとその兄弟(?)のおじさんと、元気のいい10代のお兄ちゃんと小学生のやや肥満のガキで、一応家に帰れば娘とかもいるようなのだが、ほぼ夜間の仕事なのでみんな救急車の中とかそこらの路上でごろごろ寝たりしている。だいじょうぶ?

そんな彼らがどこからどうやってお金をとるのか資格をとったのか、一家がなんでそういう稼業を始めたのか、なんの説明もないのだが、警察の無線とかで緊急のコードを聞きつけるやものすごい勢いで車をぶっとばして車載スピーカーでそこの車どいてー、自転車じゃまだよー、とかやりながら対抗の救急車がいるとおれらのもんだぜ、とか燃えたりして、救急車というより魚群を見るとそこに向かって突進していく漁船とかトラック野郎みたいなの。どうみてもその瞬間に命かけてます、みたいな。

でも救命ももちろん大事で、恋人に殴られて鼻折られた女性とか、DVのケースとか、ビルの上から落ちた女性とか(怪我や流血シーンが苦手な人でもだいじょうぶ、そういうのはほとんど映らない)、対応しても保険入ってないとか親に連絡されるのは困るとかお金ないとかそれぞれの事情を訴えられて、でも治療しないわけにはいかないし病院に連れていかないわけにはいかなくて、結果的に無償、になってしまうこともあるようで、お金ないよー、ばかり言って、デリのツナ缶を大喜びで食べたりしているの。

始めのうちは彼らなんのためにこんな仕事をやっているのだろう? って思うのだが、だんだんこの人たちすごいな、って。個別の文句やグチは言うけど、どんな人でもどんな状況でも怪我して流血したり苦しんでいたりしたらまず最優先で救う、一秒でも早く手を施すことで救えるものがあるなら救う、それができるのは自分たち(の一家、車)だけだから、って。 彼ら自身はそういう偉そうなことを一切語らないのだが、そういうことではないか。 そう簡単にできることではないよね。

巷に苦しんだり不安に思ったりしている人が溢れているのに机上でふんぞりかえって検査ひとつしようとしないどっかの自治体のくそ役人共に彼らの爪の垢をのませてやりたいわ。メキシコの救急車事情よかこっちのパブリックの方がよっぽど腐ってて深刻だと思う。メンツとかミエのためにしか動いてないんだもの。

どこの国のTVでもやっている(みんな大好き、なの?)救急24時、のような番組は撮る側 - 撮られる側の作為が見え見えでぜんぜん見る気しないのだが、これは清々しいまでにカメラなんて気にしていなくて、単純に兄ちゃんがんばれ、しかない。

メキシコって、なんか壊れてるんじゃないか、って思うくらいいい人がいっぱいいたことを思い出したり。

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