10.12.2019

[film] White Riot (2019)

台風でひどい状態、つらい思いを抱えている人も多いと思います。一刻も早く元に戻れますように。 無理して会社とか行かなくてもよくなりますように。

5日土曜日の晩、”Joker”の後にCurzonのSOHOで見ました。 LFFのコンペティションのドキュメンタリー部門に出された作品で、この回がワールドプレミア、出来たてのほやほやだって。
(さっき、コンペティションの結果が出て、見事Winnerとなりましたとさ。ぱちぱちぱち!)

“White Riot”というとまずはThe Clashの曲だし、紹介の写真も彼らのライブを背後から撮ったものだったので彼らの、当時のドキュメンタリーかと思ったのだが、メインは政治 - Rock Against Racism (RAR)の活動を追ったものだった。

76年頃から台頭して黒人やアジア人に対する差別やヘイトをまき散らして勢力を拡げはじめたNational Frontやネオナチ勢力に抗すべく立ちあがった組織の創設者Red Saundersや関係者へのインタビューを通して、彼らと仲間たちがミュージシャンたちも巻き込んでどのように運動を組織し、やがて連中を蹴散らすことに成功したのか。

最初はNational Frontとはどういう連中か、という説明があってEric Claptonの例の件(これがあるのでこいつのことはずっと嫌いだ)がでて、要は自分の国がいちばんえらい!て威張りちらす腐ったブタ(ブタごめんね)なのね。40年前からいてまだ絶滅してないの。

RARは活動資金や後ろだてがあるわけではないので、ビラとかZineを配る(印刷所だけは手近にあった)とかライブ会場で横断幕をゲリラ的に貼っちゃうとか、そういうのから始めて自分たちのイベントやデモをやるようになって、といったあたりをMatumbi - Dennis BovellとかSteel Pulseの証言、そしてもちろんパンクの側から、Tom Robinson BandにX-Ray SpexにThe ClashにSham 69(のJimmy Pursey)に。 Sham 69は彼らのファンの一部にNFの連中がいる疑惑があったのだがJimmy Pursey自身がファンに向かってきちんと言うの。

で、大きなイベントとしては77年のLewishamでの National Frontのデモに対抗するデモと、78年のTrafalger SquareからVictoria Parkまでのパレード、それに続く野外ライブの模様も出てくる。Victoria Parkでのライブはそんなでっかいところでのイベントは初めてだし前日まで雨で天候は最悪で、人は集まるのかどうなる?  だったのだが…   ”Rude Boy” (1980)の映像からライブ映像は借りたりしているのだが、ここでのThe Clash + Jimmy Purseyによる"White Riot"はやはりすんごくかっこよいの。

2006年、CBGBの最後の年、FarewellシリーズでSham 69がライブをやったのを見たのだが、Joe Strummerに捧げる、って演奏された"White Riot"の凄まじいキレはこの映像にあるのと同じだったなあ、って。

“Rude Boy”は日本公開されたときに新宿の映画館で見た(何年?)のだが、その時の一緒に行った人たち一同の感想は、やっぱしPaul Simononかっこいいよね! だったことを思い出したり。

National Frontのデモってヘイトを撒き散らすくせになぜか警官隊に守られてて卑怯で、まるで40年後のどこかの国がやっていることと一緒で、つまりにっぽんのクズは40年遅れて英国の後を追っている、と。 いちばんの違いはこういうクソ共に向かってミュージシャンたちが全然立ちむかおうとしないことで、この辺のかっこ悪さときたら断トツ世界いちだよね。

映画の最後には、戦いはまだ終わっていない、って出て、うんうん、て握り拳するしかないのだった。

上映後に監督のRubika Shahさんとプロデューサーを交えたQ&Aがあり、手を挙げた人たちの中にはLewishamやVictoria Parkへのパレードに参加した人たちもいて、とても懐かしかったけどそれを何故いま掘りおこす? って言う問いで、でもその答えは聞いている側もはじめからわかっているようだった。

この映画を“White Riot”というタイトルにしたことについても聞かれて、自分たちの間でも議論があったのだがあえてcontroversialなものにしたのだと。この曲って、自分ひとりでRiotを起こすんだ、っていう連帯とはちょっと異なるスタンスを歌ったものなんだよ。

日本でも(日本ではぜったい)公開されますようにー。

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