10.22.2019

[film] Fête de Famille (2019)

7日、月曜日の晩、Cine Lumiereで見ました。 LFFで、”Love”ていうカテゴリーからの1本。
タイトルを直訳すると”Family Party”だが、ちょっとあんまりだと思ったのか英語題は”Happy Birthday”になっている。 どっちにしても.. かな。

Cédric Kahnの新作で、それだけでチケット取った。おもしろいに決まっているから。

フランスの田舎にある一軒家に車が寄っていくと、それが母Andréa (Catherine Deneuve)と父(影薄い)の家で、母の誕生日に家族一同が集まってくるらしい。中心はVincent(Cédric Kahn)の家族で彼の妻に元気いっぱいの男の子がふたり、Vincentの弟のRomain (Vincent Macaigne)もガールフレンドと来ていて、誕生日の様子を映画に撮るとか言っている。あとはVincentの子供たちと遊んでいる少し年長の女の子Emma (Luàna Bajrami)がいる。

屋外の大きな木の下でみんなでランチを食べているとお約束の大雨がきて逃げ回っていたら電話が鳴って、フーテン放蕩娘のClaire (Emmanuelle Bercot)からで、タクシーを降ろされちゃったので迎えに来てほしい、という。家族一同に戦慄と緊張が走るのだが、とにかくVincentは迎えに行ってClaireを乗せて戻ってくる。

そこからしばらくの家族とのやりとりからEmmaはClaireが置いていった彼女の娘でClaireをとても嫌っていること、Claireは精神を患った過去があって、しばらくアメリカ(LA)の方に消えていたのだが戻ってきて相続権があるこの家を売り払いたいと思っていること、などが明らかになり、とにかくタバコ吸ってばかり、なにかとキレて怒鳴り散らしてばかりのしょうもないおばさんなのでみんなうんざりしてくる。

Romainもガールフレンドがもう帰りたい、てゴネるので引き留めるためにハッパを買いに行こうってVincentの車を借りて出たら間抜けな事故を起こして、どいつもこいつもひどい状態 – まともなのはVincentの家族くらいなのだが、Andréaはちっとも動じず堂々としていて、家を売るのもあなたの権利なのだからどうぞお好きに、みたいなかんじ。

こんな状態でのお誕生会はそれでも子供たちの寸劇があったり素敵でじーんとして、でもそれもすぐにまたー。

みんなが遊んで育ったおばあちゃんの家を売る話、というとOlivier Assayasの“L'Heure d'été” (2008) – “Summer Hours”- 『夏時間の庭』- が思い浮かぶが、あのしんみり懐かしく切ないかんじは見事になくて、それはだからどう、とか言うことではなく、いろんな家や家族があるんだからべつに、というだけのこと。でもこっちのオチの転がりかたにはちょっとびっくりしたかも。

Catherine Deneuveは、もうちょっと動いたり動かしたりするかと思ったけど揺るがずに菩薩のようにそこにいるかんじ。そこに体当たりにいくEmmanuelle Bercotの無軌道さがきれいな対照をつくって、飛び道具のVincent Macaigneがサーカスの熊みたいに引っ掻き回す。うさん臭い映画作家もどきの姿がすごくはまっているの(小津のカメラポジションはもっとlowだ、とか)。

これだけ家族のごたごたをぶちこんで掻きまわしても修羅場てんこ盛りでもちっともウェットにならないのってほんとすごい。 フランス映画、だよねえ。

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