10.10.2019

[film] Paris qui dort (1924)

2日から始まったLondon Film Festivalの最初の1本(+ 短編1本)をBFIで見ました。フェスティバルのメイン会場はLeicester Squareのでっかいシネコンなので、こっちの方にフェスティバル感はまったくない。 東京国際映画祭のときに六本木ではなく京橋にいるかんじというか。

René Clairの監督によるSFで、英国公開時のタイトルは”The Crazy Ray” – なのだがちょっと不謹慎なのでフランス語題のまま(眠っているパリ)、米国でのタイトルは”At 3:25”だって。

上映前のBryony先生のトークによると、これ、フランス映画なのになぜか英国の方が公開が先で、しかもこちらの方になぜか”A”ネガが来ていて、今回のリストアはこれがベースなのだという。

Bolognaでの今年のIl Cinema Ritrovato(クラシック映画のお祭り)でお披露目されたやつで、LFFで上映される昔の映画はここから来ているのが多い。Bologna、一度行ってみたいかも。

エッフェル塔のてっぺんに暮らす(いいなー)Albertが朝起きてみると、見下ろしてみたパリの風景がちょっと変だったので降りてみると、街のひとがみんな死んではいないのだが静止状態になって動かない。

散策していると朝方にマルセイユから飛行機でパリに降りたったばかりの(動いている)グループと出会って一緒に街を彷徨っていると、妙な実験をしている科学者とその娘にぶつかる。その科学者のラボにあるレバーを倒すと変な光線が放射されて人々が固まってしまい、マルセイユ組とAlbertは高いところにいたのでその影響を受けなかったらしい、と。

なんだかんだでパリは元に戻るのだが、いつどうやって撮影したのか人が殆どいない/動いていないパリを高いところから眺めた景色がすばらしくてずっと見ていたかった。(尚、”A”ネガじゃないバージョンには、パリの街を見下ろした際に - 動いていないはずなのに - 人が動いているのがあるそうで、おもしろいねえ)

これの上映前に短編としてHans Richterの “Every Day”(1929)が上映された。

ロンドンで朝起きてベッドから降りて体操して髭剃って通勤バスに電車に乗って会社行って書類いじって数字を埋めて機械とか歯車のように働いて怒られて汗かいてたまに観劇して寝て起きて、そのずうっと終わらない繰返しが”Every Day”で、これが90年前 – いまとあんまし変わっていないの。  協力者として名前の出ているHans ArpはあのHans Arpだろうし、警官役で出ているのはSergei M. Eisensteinだというし。
 
Finis Terrae (1929)  + The First Foot (1981) 

2日の晩、”Paris qui dort”に続けて見た。これもサイレントで、伴奏はいつもすばらしいStephen Horne氏。

本編の前に上映されたのは今年のBolognaでリストア公開されたGeorgia (グルジア)映画 – “MEKVLE” - 英語題は”The First Foot” (by Goderdzi Chokheli)。14分のモノクロ映画(non-silent)で、人の姿が一切見えない雪山の廃れた廃墟に銃声、人の声や酒盛りの声がずっと響いている。「彼ら」はどこに消えてしまったのか、と。

“Finis Terrae”は、2015年に日仏で特集もあったJean Epstein -『アッシャー家の末裔』(1928)とか - の監督作で、『アッシャー家.. 』の次に撮っているやつ ?

ブルターニュの海岸で海藻灰(海藻を干して燃やして肥料にする)のための海藻を採って干したりしている4人の男たち(2人は若く、2人は中年)がいて、そのうちの若い子のひとりがガラス瓶の欠片で指を切って、そのうちそこが腫れて力が入らなくなり、ちゃんと仕事しろやーとか言われて無理をしていると更に身体が動かなくなって地面にのびてしまう(それを横目で見つつ、みんな放置してる)。操業する舟の動きがおかしいことに気付いた対岸の家族 - 特に若者の母ふたりは反発しあいながらも人望の厚いお医者さんを送り込んで... 彼は助かるのか。
 
ふたりの青年のちょっと頼りない表情とそのママの顔が素敵で、海で/海と共に暮らすことのきつさ大変さが塩水のように滲みてきてああこれぜったい無理だわ、って。

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