10.26.2018

[film] The Great Victorian Moving Picture Show (1897-1901)

18日木曜日の晩、BFI IMAXで見ました。 今年のLFFの目玉(と勝手に思っていた)イベントのひとつで、でもチケットはずっと売り切れてて、前日に取れた – けど、このためにMia Hansen-Løveの新作は泣く泣くあきらめた(… お願いだからどこかで公開されますように)。

BFIのNational Archiveでは、Victoria女王の生誕200年となる2019年に向けて、当時遺された700本以上のフィルムをデジタル化してオンライン公開していくそうなのだが、その第一弾がこのイベントなの。 1897-1901頃に撮影された英国最初期のフィルム - 8KスキャンしたオリジナルのNitrateフィルムを4Kリストアして、これらの60mmとか68mmを英国でいちばんでっかいIMAXの画面に投影する。この68mmを開発したのがエジソンのところで働いていたフランス生まれの英国人William Kennedy-Laurie Dicksonで、彼がNJのエジソンのラボから戻ってBritish Mutoscope and Biograph Companyを立ち上げて、ここで68mmフィルムとかその投影の仕組みを作って、それ用のネタとして1897年から撮りはじめたのだと。とにかく、これらを説明していくBFIのひとの興奮と熱の入れようときたらすごくて、そんなはしゃがなくても、と思ったのだが実際に見てみたらわかった。このでっかさ、でっかい画面で見るのってほんとにとんでもないことだと。

各フィルムが短いこともあって9つのテーマ毎に束ねられた全51本、音声はないのですらすら明快に解説してくれるBryony Dixon女史がいて、管弦+ドラムス、ピアノの6人編成のバンド(John Sweeney and his Biograph Band)が伴奏してくれる。

最初のセクションが、英国の映画のもっとも最初期に撮られたと思われるフィルム - 女の子(たぶん)の赤ん坊とでっかい犬と猫が横一列に並んでいる”Me and My Two Friends”なんて、そいつらが動くほんの数秒だけ、何回かリピートされるのだが、もう客席ぜんぶがどよめくくらいかわいいの。さすがPeter RabbitとWinnie the PoohとPaddingtonのお国。

最初期のパート、これ以外には大道芸人とかでっかい船の進水式とかLondon Zooのペリカンとか、とにかく驚嘆すべきはそのサイズで、リュミエール兄弟の逸話で、電車が走ってくるシーンで客が泡食って逃げ出したとか聞いてふうん、くらいに思っていたのが、それがようくわかる。進水式の寄せてくる波は逃げなきゃ、になるし、ペリカンなんてラドンみたいだし、スクリーンのでっかさっていうのはそれだけでものすごい属性になるんだねえ。オンラインの小さい画面で見てちゃだめなんだなあ、て思った。

これ以外にはVictoria女王のJubireeとか、ローマ法王(何代前だろ)とか、お茶会の様子とか鉄道とか路面電車とか、パレードの様子とか、ヴェニスの運河とか、日曜日の市場(女性は家事で家にいるので男性ばかり)とか、兵隊さんとか、広告宣伝とか、劇場の演目とか、ごく普通の街角とか、そのなかを移動撮影で動いていくだけでとにかく楽しい。映っている人たちも、 みんなカメラが珍しいのだろう、手を振ってきたり目があったりする。

なんかね、誰もが最初にカメラを手にしたとき撮りたいと思うものを撮っていて、それが結果的にVictoria時代の生活とか彼らが見ていた風景を(我々が見たいなと思うようなところのを)捕えることになっていて、それってすごいななんだろうな、て思って見ていた。
昔の色あせた写真を見入ってしまうのと同じように、いやあれ以上に、見たことがない過去の景色に没入してしまう、それが大きな画面だとその世界を旅しているような感覚がやってくるの。

でもこれらの風景はもうどこにもないし映っている人々も(たぶん)もういない – それらはどんな運命を辿って、どんなふうに消えていったのだろう、ということを想像してみるのって、必要なことだと思う。 戻りたいとか、あの頃はよかった、とかじゃなくて、もう絶対に戻ることができない今・こことの違いに想いをめぐらせること。「後世の人たちに託す」みたいなのも「ご先祖に感謝」みたいなのも嫌いだけど、シンプルな、いまの我々の生は過去と共にあるという感覚と経験 – これって古典を読むときでもアートに接するときにも起こる – につかる・ひたること。
映画でそういうのが起こるのってあんまない気がしていたけど、これはきたねえ。

もういっかい見たい。 オンラインじゃなくとにかくでっかいとこで。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。