10.03.2018

[film] Bright Star (2009)

9月22日、土曜日の夕方、BFIで見ました。特に何の特集とも紐づいていなかった、のかしら?

そもそもこの映画はとっても好きで、日本で公開されて見たあとで、Londonの出張が入って、時間ができたときにHampsteadのKeats Houseまで行ったくらい。 何度でも見るの。

1818年(丁度200年前か)、Hampsteadで出会ったFanny Brawne (Abbie Cornish)とJohn Keats (Ben Whishaw)の恋が燃えあがって、彼女がBright Starになって、彼がローマで亡くなるまでの3年間を描く。 それだけなの。

Fannyは裁縫とかファッションが大好きな女の子で、弟と妹と本屋に彼の詩集"Endymion"を買いに行って、詩のことを教えてほしい、って割と彼女の方からアプローチしてだんだんに仲良くなっていく。

その間、Keatsの弟が病で亡くなったり、Keatsの同居人のCharles (Paul Schneider)からは横槍とかいちゃもん – こいつほんとやな奴 - が入ったり、いろいろあるのだが、彼は彼女のために詩を書いたり読んだりして、彼女はきれいな服を作ったりおめかしして、ふたりで手を繋いで小路を歩いていくだけで幸せで、なのにKeatsは結核に侵されて療養のため暖かいローマに行くことになって。(悲しいけど史実だから)

彼の詩人としての前途とか名声、収入、病気、それらが恋を締め出すダークマターとしてやってきて、でもFannyはちっとも揺るがずに裁縫の針と糸とか服とか弟妹とか猫とかを横に従えて静かに迎え撃って、あまり泣いたり叫んだりしない。ひたすら彼の恋と言葉を信じて静かに燃える彼女の丸っこい背中や後姿、表情の微細な変化を捕えることにカメラは注力している。
ほんとうは彼が療養のためにローマに旅立つシーンなんて、それが今生の別れになることはみんな解っているからぼろぼろに泣かすことだってできたかもしれないのに、そうはしない。

恋愛ドラマなのに起伏がなさすぎてつまんない、という人がいるのかもしれないし、Keatsの詩の世界観に彼女の存在はどんなふうに影響を与えたのか与えなかったのか、みたいなことを描くべき、という人もいるのかもしれないけど、一生懸命にPhantom Threadしておしゃれしてよくわかんない向こう側に手を差し伸べるのが精一杯みたいなFannyの姿だけで十分で、それをKeatsはタイトルになっているソネットで揺るぎなく不動であってほしい、みたいに讃えている(.. たぶん)のだから、これで十分なのではないか。
恋愛に明るいも暗いもない、暗いところを照らしだす星で、「見上げてごらん夜の星を」だけでいいじゃん、て。

だからこそ、彼の訃報を聞いた彼女が髪をばっさりと切って、全身に黒衣を纏うシーンが沁みてきてよいの。Fannyのある部分(星)が彼と共に消滅して光を失ってしまったことがはっきりとわかる。
ていうのもあるし、こないだの”Mary Shelley” (2017)のように、彼の反対側でめらめらと燃えあがって本一冊書いてしまう彼女、という行き方もある。詩人の彼女もいろいろだ、と。

Ben Whishawの雑巾みたいにぼろぼろに擦り切れているところとAbbie Cornishのどっしりしたところの組合せは、彼が彼女のどこに魅かれたのか、彼女が彼のどこに魅かれたのかが、なんとなくわかってよいな、とか。

Hampsteadで撮影したわけではないようだけど、英国の四季のきれいなところとぐちゃぐちゃでお手上げなところのかんじが出ていて、そこもいいの。

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