3.31.2013

[art] Impressionism, Fashion, and Modernity

天気、ひどすぎるわ。
NYでの美術館関係をまとめて。

(もう2週間前...)17日の日曜日午前中に、3つをぐるりと。

まずは9:30からMetropolitanでこれ。

"Impressionism, Fashion, and Modernity"

印象派と当時のファッション(衣服)の位置関係を俯瞰しつつ、見るものと見られるもののありようの変化 - Modernityが現れてくるさまを考えてみよう、というかんじ。

8つのセクションに分かれていて、それごとにテーマがあって、そのテーマに沿った絵とその絵に描かれているのに近い意匠の衣服が真ん中に展示されている(もちろん本当は、当時流行っていたであろうドレスがまずあって、画家がそれを着たひとを描いた、というのが正しい順番なのね)。
これはねえ、びっくりするくらいおもしろかった。

印象派の画家が描いた森や光を美術館内に持ちこむことはできないが、衣服はできる。
その衣服のフォルムとか色感とかひだひだとかを見ることで、画家がそこのなにを絵のなかで残し、表現しようとしていたのか、がはっきりとわかるの。
それは勿論、森の緑や陽光があって初めて活きるものだ、ということもできるのかもしれないが、逆に、この衣服の意匠や腰のくびれを、彼や彼女をじっと見つめるその歓喜に溢れる目線を画布の上に呼び込むためにあれらの緑や屋外の陽光が必要とされた、という言い方もできなくはないだろうか。
というわけで、ほとんどManetとMonetとRenoirが映える展示。 Manetの横にはちゃんとBerthe Morisotの絵がある。 (アメリカ人だけど)Mary Cassattもある。

見事だったのはオルセーから来たMonet, でっかいふたつの"Luncheon on the Grass"と"Women in the Garden"、三つ目の部屋の「白い服」コーナー - ここはRenoir、四つ目の部屋の「黒い服」コーナー - ここは当然Manetで。
六つ目の部屋はメンズ、七つ目は帽子とか読書とか、いちいちなるほどなー、で素敵でしたわ。
カタログ、当然買った。

この展示の他には、英国のJames Naresの"Street"ていう大画面のVideoインスタレーション。
NYの街角を車でゆっくり走りながら撮影した映像をスローモーションで再生して、そこにThurston Mooreの12弦アコースティックのインストがゆらゆらと絡む。
信号待ちをしている観光客とかをコマ送りに近いスローで再生しているだけなのに、こんなにも映画のように面白くなってしまうのかー、と。 偽エルモが一瞬映ったので、どの辺で撮影したのかはなんとなくわかった。
これの隣の展示室ではJames Nares自身が"Street"というテーマで選んだMetの収蔵品が古代から現代までランダムに並べられている。 うーんと乱暴に言ってしまうと、いろんな人とかモノの交錯する経路としてのNYのStreetと、いろんな時間/時代の時間軸を超えた交錯ポイントとしての美術館(Street)を並置する、という -

Metropolitanネタでいえば、帰ってくるときに買ったNew Yorker誌のStyle Issueに載っていたCalvin TomkinsによるAndrew Boltonの記事、"Anarchy Unleashed"。 66年生まれで2002年、英国からMetのCostume Instituteにやってきて、Diana Vreelandの動員記録(72年の)を破った2011年の“Alexander McQueen: Savage Beauty”、翌年の"Schiaparelli and Prada: Impossible Conversations"(これもユニークだったねえ)のCurationに続いて今年、満を持してぶっぱなすのが "PUNK: Chaos to Couture"。 9歳のときにPistolsとClashに出会ったんだって。 
この初夏はなにがなんでも行かねばー。

http://www.metmuseum.org/exhibitions/listings/2013/punk/images

関係ないけど、この記事のあとには、ミャンマーのパンク少年たちを撮った記事が。


それで、Metを出て5thをバスで南下してMOMAへ。
Essex Houseの裏手あたりにものすごくのっぽなビルが建っていた。
コンドミニアム部分は$17Milから、だって。 だれか買ってくれないかなあー。

http://www.one57.com/

MOMAで見た展示はふたつ。

日曜の朝10:30のMOMAのチケット売り場がひどいのを久々に思いだした。これが嫌なので、すぐメンバーになってしまうのだが、ここは我慢して並ぶ。

"Bill Brandt: Shadow and Light"
大判の写真が並んでいるのを想像していたら、ほぼ全部、9 x 7 5/8" (22.8 x 19.4 cm)の小さなサイズで、このサイズのゼラチンシルバープリントが近くに寄って見れば見るほど奥が深くて肌理が美しいことを初めて知る。 英国文芸シリーズとか、いいねえ。
カタログは悩んで買うのをやめた。 古本屋でいつかちゃんとしたやつを買うんだ。

"Henri Labrouste: Structure Brought to Light"
ちょうどBill Brandtの隣でやっていた。
アンリ・ラブルーストは、19世紀のフランスの建築家で、古代ギリシャ・ローマ建築のいろんなパーツのデッサン(すんごくきれいなペン画)から代表作であるBibliothèque Sainte-GenevièveとBibliothèque Nationaleの図面とか模型とか。 とにかくソリッドでかっこいいんだよ。
これはカタログかった。 朝から両手がいっぱいになった。

MOMAのあと、更にバスで5thを下ってThe Morgan Library & Museumに。
ここ来たのすんごくひさしぶり。

"Marcel Proust and Swann's Way: 100th Anniversary"
プルーストの『失われた時を求めて』の『スワン家のほうへ』の出版100周年を記念した展示。
わたしは「うしとき」をだらしなくだらだら読むのがだいすきなので、この展示は御礼参りみたいなかんじ。
フランスのBibliothèque Nationale(さっきのアンリ・ラブルーストから繋がった…)から持ってこられた草稿とかカイエとか6畳くらいのスペースに置いてあるだけなのだが、誰もが想像できるであろうそのまんま、ちっちゃなごにょごにょ文字がびっちり、女学生みたいな落書きもあったりする。 こういうの見るとまた読みたくなるねえ。

美術館関係はここまで ー
もういっこ、なんとしても見るべきだったひとつを見逃していたのに後で気づいたので、ここはなんとかしたい。

で、もう3月もおわりなのね。

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