10.16.2012

[film] Un homme, un vrai (2003)

木曜の晩から咳が止まらなくなったので、金曜日は会社を休んで昼過ぎまで寝てて、16:00からアンスティチュに出て「映画とシャンソン」特集から2本みました。 『運命のつくりかた』。
運命のつくりかたを教えてくれるありがたい映画だったが、じぶんの運命はこうして腐れていくのだった。 歌っている場合か。

英語題は、"A Man, a Real One"。 あんまよくわかんないけど。 「男、ほんもんの男」って。

ボリス( Mathieu Amalric)がある会社の宣伝用フィルムを作って、そのプレゼンの席でマリリン(Hélène Fillières)と出会って、ふたりは運命的ななにかを感じて、その晩、マリリンのアパートでのホームパーティでそれは確信的な愛に変わり、そのままふたりはガスパチョを求めてバスク地方に旅にでる。 

5年後、ふたりには子供がふたり出来てて、ボリスは映画の脚本を書いたりしつつもぷーで、マリリンは仕事ばりばりなのでふたりの間には溝があり、家族でイビサに旅行に出ても、それって実はマリリンの会社の社員旅行だったもんだから大喧嘩したあと、マリリンはレズ友でクライアントの女社長とキューバに高跳びしてしまう。 ふたりの幼子を置いて。

そこから更に5年経って、マリリンはアメリカ人向けのツアコンの仕事をしてて、ピレネーの山奥にオオライチョウの求愛行動を見にツアー客を引き連れてきて、そこで何故か山岳ガイドをやっているボリスと再会する。 のだがボリスは彼女が誰だかわかっていないみたいで。

10年の歳月、国境を、海も山もばりばり超えて盛りあがる恋愛大河ドラマふう、でありながらものすごくささやかな、ミクロな愛のありようを掬いあげていて、とっても素敵でおもしろい。 ふたりが歌うシーンもあるのだが、それによってドラマチックになにかが起こる、変わるというよりもちいさなキス、ちいさなハグ、ちいさなダンスのステップ、それとおなじような耳元の囁きのような歌が、しかしそれは決定的な、種のようななにかを残すの。

原題からイメージされるようなマッチョなところはない。 終始アグレッシヴに動き回って人生を掻き回しているのはマリリンのほうで、ボリスはどちらかというとどんよりしている。 

出会いのとこではボリスがマリリンの巣にやってきて、仲直りのとこではマリリンがボリスの巣(+雛)にやってくる。 この辺の切り返しも素敵なのね。

そして、よくわかんないけど、動物が重要な役割を果たす。 最初のパートがシカ、イビサがトカゲとおかま、ピレネーがオオライチョウ。よくわかんないけど、なんとなく。  
野生のなにかがもたらす呪文としての愛とか運命とか発情とか。

オオライチョウのシーンは、なぜかそこだけ「ダーウィンが来た!」、になってしまったりするのだが、他にも山岳アドベンチャーとか、お料理ドキュメントとか、映像的にいろんな要素がいっぱい入っていて、でもとっちらかった印象はない。 最後に瞬く星空のように、見上げてわーっと落ち着いてほっとする、そんなかんじ。

あとは、ガスパチョがとっても食べたくなる。

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