10.05.2012

[art] Regarding Warhol: Sixty Artists, Fifty Years

29日の土曜日、さいごの休日。
この日はCentral Parkの原っぱで、グローバルうんたらによるでっかいライブイベントがあるはずだったのだが、これに関わると約半日ふっとんでしまうので諦める。 時間がないの。

朝9:30、Metropolitanの開場に合わせて中に入り、前回登れなかったルーフトップのジャングルジムみたいなやつ(Tomás Saraceno on the Roof: Cloud City)に再度トライしてみよう(チケット早いもの順)、と思い屋上行きのエレベータのとこ行ったらおばさんに、今日はルーフトップ開いてないの、と言われる。 ものすごくしょんぼりしたらおばさんに後ちょっとしたら開くかもしれないし、と慰められたが、おばさん、ぼくには時間がないんだってば、と返した。

もういっこ見たかった展示がこれ。
Andy Warholがポップアートみたいなことを始めてから50年、彼がモダンアートに与えた影響と拡がりを60人のアーティストの作品と共に振り返ってみましょうか、と。 こういう展示ってMOMAじゃないの? かもしれないが、Metropolitanのほうが、こういう大風呂敷寄りのキュレーションは優れているの。

5つのテーマ別 - ①日常(Daily News: From Banality to Disaster) - ②肖像(Portraiture: Celebrity and Power) - ③変態(Queer Studies: Shifting Identities) - ④消費(Consuming Images: Appropriation, Abstraction, and Seriality) - ⑤ビジネス(No Boundaries: Business, Collaboration, and Spectacle) に部屋が別れていて、これらを渡っていくことでここ50年、世界に浸透したPopという概念、というかアトモスフィアというかが、赤ん坊でもわかるようになっている。 たぶん。

Warholの作品も含め、どいつもこいつも、あれもこれも、超有名なやつばかりなので楽しい。 びっくりしたり痺れたり唸らされたり、ということはあんまなくて、どちらかというと動物園をまわっているかんじに近い。 こいつ見たことあるー、ゾウ-でっかいねえ、ライオン-おっかないねえ、ヘビ-きもちわるいねえ、そんなふうな。 で、Warholは、アートに対してこういうことをやろうとしたのだろう。 たぶん。

じゃらじゃらした金持ちふうのおかあさんが子供を連れて肖像のコーナーを回ってて、こいつがおかしくて。
「このひとは大統領夫人だったの... でももう死んじゃったのよ、このひとも... しんじゃってるわね、やーね死人ばっかしね... これは猿じゃないのよ、マイケルよマイケル …死んじゃったけど」  で、次の変態コーナーにきたら「... さ、ここは飛ばして次に行くわよ」 だって。

とにかく、モダンアートのビッグネーム、ミリオンセラーが出るわ出るわ。 この展示全体の資産価値総額はとんでもないものだったのではないか。 それを、ばっかじゃねーのこんなもんに、と誰もが言えるようなところまで持っていったのね。 
こうして、ケミカルな駄菓子をくちゃくちゃしているうちに頭がぼーっとしてくるあのかんじと共に、アートが資本主義の化け物に変態していったここ50年を俯瞰することもできるのだった。

最後のコーナーが、アルミの風船雲が浮かぶ"Silver Clouds"で、朝早かったので風船を天井に向かって浮かべようとしているとこだった。
係員のおじさんとふたりでVelvetsの"There She Goes Again"に合わせて、風船をつっついて上にあげるお手伝いをした。 とーってもたのしかった。

で、そこを出て、Café Sabarskyでウィーン朝ご飯食べてから、川を渡ってMoMA PS1のNY Art Book Fair 2012に行ってみる。

去年から行ってみたかったイベントだったのだが、それなりに覚悟というか、心構えが必要で、撤収条件をつくって、即時撤退するか、だらだら居続けるかどっちかしかない、と。 だらだら居続けることにしたら、午後以降の映画の予定とかもひっくり返さねばならないし大変だわ。

入場はタダだが、カンパおねがいー、と言っているので$2くらい入れる。
もともと学校だった場所なので、教室みたいなスペース内に中小いろんな出版社だの本屋だのがびっちり文化祭みたいにブースを出している。

紙(含.屑)好き、インク好き、雑誌好き、地下出版物好き、にとっては蟻地獄、無間地獄いがいのなにものでもありませんでした。
日本のこういうのはZineフェアみたいのでも、古本市でも、なんか雰囲気がなじめなくてあんま行く気にならないのだが、こっちのだとそもそもツーリストの異邦人として、てきとーに見てまわれるから気楽でよいの。 

であるがそれにしても。

稀少本は当然のようにガラスケースとかに入っているのだが、砂場の砂みたいに掬っても掬ってもあるわあるわ。
昔のSearch & Destroy Magazineがひとつ$250、Ryan McGinleyのぺらぺらのパンフみたいなサイン本が$1250、地下のスペースでやってたMike Kellyに捧げる展示(彼の本棚、みたいな)のとこにあったサイン本が$6000、Jerry Wexlerのサイン本が$1250、などなどなど。
たぶん、いっこ買ったら他も芋づるだし、でもそれやりだしたら一網打尽のすっからかんだし、1時間くらいうじうじ悩んで、頭がへんになりそうだったので結局本を買うのはやめた。

ひとつだけ、12:30からMalcolm Mooney氏のサイン会がある、と貼り紙があって、そこで12inchを1枚買ってサインしてもらった。
だって、CANの、初代ヴォーカリストだよ。 12:30過ぎに行ってみたらぜんぜん人がいなくて、しおれたおじいさんが座っているだけだったが、サインをもらって少し話した。 今はカナダに住んでるとか、日本だとP-Vineてとこから出してるんだけど知ってる?(もちろん知っていますよ)とか。 その声は、まぎれもなく、あの、"Yoo Doo Right"の、"Father Cannot Yell"の、あの声だったの。

で、2時少し前くらいに出て、Lincoln Centerのほうに向かいました。

来年は札束でガラスケースをぺしぺし叩いて一頭買いしてやるんだ。

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