7.09.2023

[film] Marcel the Shell with Shoes On (2021)

7月1日、土曜日の昼、新宿武蔵野館で見ました。
シネマカリテで『小説家の映画』の初回を見てそのまま横に移動して。1日のファーストデイの料金だし、どちらも映画を撮ることについての映画、と言えなくもないし。邦題は『マルセル 靴をはいた小さな貝』。

もとはお遊びで作ったような/ように見えるストップモーションアニメのショートをYouTubeにあげていたらそれが評判になって、改めて映画作品として作られた、と聞いた(← 違ってたらごめん)。

監督にクレジットされているのはDean Fleischer Campだが、もとはMarcelの声をやっているJenny Slateが彼をおもしろがらせようって始めた声ネタが起源で、その後ふたりは結婚して離婚して、そんなふたりの関係の変遷と共に作られていった、という側面はあるのかないのか。そんなことはどうでもよいことなのかどうなのか。

靴を履いててどこにでも行くことができる小さな貝と同じひとつの家に住んで暮らす - 離れて暮らすこともできるよ、今もMarcelは.. というお話しなので関係ないこともないような。

ただMarcelはそんなのとは無縁に喋って会話することができる貝として気がついたらそこに生息していて、その家に元々暮らしていた夫婦になにやら喧嘩みたいのがあってふたり別々に出ていってしまった。それまでそこに揃って暮らしていたMarcelの家族一族の大半はそのとき(おそらく)夫の方のスーツケースと一緒にどこかに運ばれていってしまい、今の家に残されたのはおばあちゃんの Connie (Isabella Rossellini)とMarcel (Jenny Slate) のふたりだけで、その家に新たな間借り人としてDean (Dean Fleischer Camp)がやってくる。

Deanは小さな先住民MarcelとConnieの存在にびっくりしつつも、彼の境遇と事情を知るとその生活の様子と彼らの家族を知りませんか? を動画にしてネットにあげてみるとたちまち大評判になりTVにも取り上げられて、続けて彼らの家の場所も簡単につきとめられ人が頻繁にやってきて騒がしくなって荒らされて嫌なかんじになってきたところでLesley Stahlの60 Minutesからあなたたちの家族探しに協力できるかも、という取材と出演の依頼が入ってきて…

自分の貝殻を背負って移動する - 靴履いているので歩けるし、高速移動にはくり抜いたテニスボールを使う - というとヤドカリかな? とも思ったのだがヤドカリはエビカニの仲間なので違うし、靴を履いているということは脱いで脚(?)を伸ばすこともするのか? いや西洋なので家のなかでもふつうに靴履くしな、とか、海の貝と淡水の貝(タニシとか)だったらどっちなのだろう、とかどうでもいいことばかり考えたり。

Marcelの耳を澄まさないと聞き取れなさそうな小さな声、伝えたいことがありすぎるのでつんのめって息継ぎもうまくできない子供の喋りと疲れて面倒だし喋るのもしんどいConnieの声を拾って聞き取って、その場所を自分の暮らしているすぐ横に確保して一緒に暮らす、って、そういうのが例えばこんなふうにできたらよいなー、っていう寓話。

ほんとうはそうあってほしいし、でも実際には姿が見えなくて声が聞こえないだけで一緒に暮らしているファミリーは他にいくらでも - ネズミだっていろんな虫 - 言わないけど - だって太古からずっと同じ屋根の下で共存とか共棲はしてきているんだけどー、ってそんなことを思うのは野暮なのかしら。 どちらかというと鞄ひとつで海を渡ってきた移民の人々とのこととか? いや単に、ふつーにかわいいアニメーションなんだから楽しんで見れば? というあたりをぐるぐる数回まわってしまったり。

Connieの声をIsabella Rosselliniさんがやっていたのは嬉しい驚きで、彼女の”Green Porno”や”Link Link Circus”でのパフォーマンスを追ってきたものとしては、彼女以外にこの役(声)を演じることができるひとがいようか? なのだった。それは学術の世界で追っかけられてきた動物たちのヒトのそれとはかけ離れた生殖や暮らしの姿を自分で被り物を被ったりしてなりきっておもしろく演じていく、そういうやつなので、本来であれば彼女が貝の殻を被って出てきてくれてもよかったくらい。

続編は難しいだろうけど、”The Secret Life of Pets”の方に出てくれてもいいよ。Jenny SlateさんはGidgetの声と二役になるけど。

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