3.09.2019

[film] Union Pacific (1939)

3日、日曜日の晩、BFIのBarbara Stanwyck特集で見ました。邦題は『大平原』。

Cecil B. DeMilleによる大陸横断鉄道敷設に関わる歴史ドラマ。知らなかったけどカンヌのPalme d'Orの受賞作第一作だったのね(授賞式は第二次大戦に突入したため実施されず)。

このテーマの列車ものとしてはJohn Fordの”The Iron Horse” (1924)が鉄板鉄壁の決定版だと思っていて、そこは揺るがないのだが、これもなかなか素敵。

オープニングの字幕が地の彼方に遠ざかっていくのって、その後、Star Warsで使われるやつよね。

リンカーンの承認を受けて東から西に延びようとするUnion Pacific鉄道と西から東に延びようとするCentral Pacific鉄道があって、それらの鉄道はふたつが繋がるまで工事現場の先端に労働者たち(と彼らを賄う食料とか酒とか給料までなんでも)を運んでそこから先の建設を進めていくやつなのだが、その進行を遅らせるとこでお金儲けを企む悪い奴らがいる。 Mollie Monahan (Barbara Stanwyck)は機関士のパパと列車に乗って風を切ってる威勢のいい郵便屋(”End of Track”が発信地になる)で、見るからに悪そうな悪玉がSid (Brian Donlevy)、その手先の小悪党の博打屋がDick (Robert Preston)で、ワシントンから送りこまれた正義の味方として乗ってくるJeff (Joel McCrea)がいて、Dickは独立戦争でJeffに命を救ってもらった恩義があるという。

移動中に、停車している先々でふっかけられる様々ないちゃもんに苦難、トラブルを知恵と力技でかっこよく蹴っ飛ばしていくJeffにMollieはぽーっとなっていくのだが彼女に激しくアプローチをかけるのはDickの方で、JeffもMollieが好きになっていくのだがDickが無邪気なのでつい黙ってしまって、ていう三角関係が続いて、やがてMollieはJeffの危機を救うためにDickの求婚を受けいれることになり、Jeffはそうかわかったよ … って。

というふうに、どっちが先なのか前景なのか後景なのかわかんないけど、鉄道建設の血と汗の物語に黄金の三角関係ドラマが絡んで原野を転がっていくと最後のほうにはインディアンによる給水塔ぶちまけとか水責めの後に火事の火責めとか襲撃だの応戦だののスペクタクルも待ち受けててお腹いっぱいになる。すごいと思うのは三者間の恋愛も列車事故も襲撃もぜんぶ同じ強さと濃度、絵巻物の迫力で迫ってくることなの。 ”The Iron Horse”は揺るぎなく世界に誇れる正史、ってかんじだけど、こっちはありえたかもしれない波乱万丈の外伝で、どっちもロマンはたっぷりで。

あと、Mollieの背後に控えている毛むくじゃらの炭鉱野郎みたいな二人組がいて、こいつらが最強で最高なの。 気がつくと姫の後ろでげへへ、とか笑って軽く敵を始末していたり。

そんななか、Barbara Stanwyckさんはなにに燃えているのか漲ってて、でも軽く爽やかで、あんな地の果てでなんであんなふうにクールでいられるのか不思議で、上映前に配布されたノートにはCecil B. DeMilleがこれまで仕事をした女優の中で、控えめに言っても彼女が断トツでやりやすくて完璧だった、って。 とってもそんなかんじだよ。

R.I.P. Carolee Schneemann.
一昨年にMOMAのPS1で見た回顧展はすばらしかった。 The Guardianの追悼記事。

https://www.theguardian.com/artanddesign/2019/mar/08/carolee-schneeman-performance-artist-taught-us-how-to-live

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