3.05.2019

[film] On the Basis of Sex (2018)

2月28日、木曜日の晩、CurzonのAldgateで見ました。

合衆国最高裁判事のRuth Bader Ginsburg(以下、RBG)については昨年にドキュメンタリー映画 – まだたまに上映されている & オスカーの候補にもなった - ”RBG”を見ていて、そこでの監督ふたりとのQ&Aでもこの映画のことは触れられていた。撮影していることは知っていたけど、RBGのキャリアの最初の方の話でもありそんなに被るところはないのであんま気にしなかった、と。

どちらもぜったい見た方がよいと思うけど、やはりドキュメンタリーで彼女の偉業と思想の全貌をきちんと抑えた上で、のがよいかも。

RBG (Felicity Jones)がHarvard Law Schoolに入学するところからで、周囲は男だらけで校長からしてすげえやなかんじで、既に彼女には夫のMartin (Armie Hammer)と娘がいて、やがてMartinが癌であることが判り彼がNYの法律事務所に入ったこともあって彼女はHarvardを蹴っとばしてColumbiaに移って、でもそこを出ても女性の彼女には就職先がなくて、仕方なくRutgers Law Schoolで女性たちを相手に教え始める。

やがてMartinが持ってきたケース – デンバーの男性が老いた母親の介護をした際に税金控除を受けられなかった – 控除を受けられるのは女性のみ(その女性が動けない場合は男性でも可)、という税法上の規定があって、この法令って性差別 - 性別を起点とした差別 - だよね、ということで戦うことにすると、そこにはものすごくいろいろ面倒くさいあれこれが横たわっていて、彼女が法廷で戦うのも初めてだったからリハーサルも含めた準備も大変で、でも。

法律は現実 - 日々の天候 - に縛られるものではないけど、気候変動には敏感であるべき - “A court ought not be affected by the weather of the day, but will be by the climate of the era” ということと、ただそれにしてもまだ少し早い、もう少し人々の意識が変わるのを待てとか、いろいろ言われ、でもめげずに法廷に赴いて、序盤はコンピューターまで使って判例研究までしてきた敵方にぼこぼこにやられるばかりで、でも最後の方で向こうが嘲るように言い放った"radical - social - change"ていう言葉で彼女に火がついて、性別を根本的な理由に置いた差別は憲法が定めた法の元での平等に違反している、という彼女の拠って立つフィールドに判事たちを引っ張りこむことに成功して、そうしたら..

今では当然.. と誰もが思っていそうな性差に根差した差別が違法であること、それが当然になったのは約50年前に緻密に立証しようとした彼女たちの努力があったからよ、なのだがそれでも理不尽なことってまだまだいっぱいあるよね。特にうちの国は。そもそもRBGがいない、RBGが出てこれるような状況にも環境にもなっていない - 50年前のHarvardみたいな –

ドキュメンタリーと違うとこは、ボクシングの試合みたいな法廷ドラマっぽい仕立てがあるのと、Martinと娘と家族みんなで戦った、みたいになっているとこかしら。 ドキュメンタリーの方では、Martinはほんとにいい人でRBGはべたべたで、くらいだったのに。

Felicity Jonesさんはとってもすばらしいのだが、彼女が戦闘モードに入るとどうしても”Rogue One” (2016)のJynに見えてしまうの。あと、Armie Hammerもすんごくよくて、でっかいこのひとの抱擁力って男も女も子供もぜんぶめろめろにするマタタビみたいな劇薬だよな、って。

そして最後にじゃーん、て登場するRBG本人にはひれ伏すしかない。

邦題は相変わらず、しみじみどうしようもない。何百回でも言うし恨むし。2015年の『未来を花束にして』、2016年の『ドリーム』、そして今回(書きたくもねえや)といい、これを決めた連中、なに考えてるの?  映画が売らなきゃならない商品であることは、そうなのかもしれない、けど、これらの邦題はそれぞれの映画が訴えようとしたメッセージを不当に、いびつに歪めて貶めているし、それによって見るひとを騙して去勢している。これらの女性映画がなぜ今になって出てきているのか。 なーにが『ビリーブ』だよ、信じて救われるんだったらRBGはあんな努力してないわボケ。 赦せないのはこれらの映画はみんな差別を、泣いたり苦しんだりした人たちがいっぱいいた現実、実際にあった苦難を描いた映画なのに、その入り口で飴玉渡してまあまあ、とかやるわけ?   なんでそんな酷いことができるわけ?  これらのタイトルをほざくのは、女性の地位なんとか委員会みたいので高いお金もらって高いところから見下ろしている鼻毛たらしたぼんぼんくそじじい連中なんだわ … そんな人の痛みのわかんない連中に金払いたくないし。(以下えんえん)

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