3.14.2019

[film] The Miracle Woman (1931)

8日、金曜日の晩、BFIのBarbara Stanwyck特集で見ました。
International Women’s Dayにふさわしいタイトルかも、と思ってみたらなかなか暗いやつだった。監督はFrank Capraだし。

邦題は『奇蹟の処女』.. あーあー
原作はJohn MeehanとRobert Riskinによる劇作 ”Bless You Sister”で、これの10年後、Robert RiskinはCapraとこないだ見た”Meet John Doe” (1941)も書いているの。

教会で長いことお務めをしてきた牧師が亡くなって、その娘のFlorence (Barbara Stanwyck)が説教台に立って彼の死を伝えると共に、これまでの教義が説いてきたことの欺瞞とか、てめえらのアタマがいつまでも空っぽだから父は苦労して死んじゃったんだボケ! とかパンクに糾弾したら客は怒って帰ってしまうのだが、こいつは使えるかも、と思った賭博師Bob (Sam Hardy) が彼女を伝道師に仕立ててSister Fallonと"Temple of Happiness"として売り出してツアーすると救いを求める人たちが寄ってきて当たって、じゃんじゃか儲かるようになる。 この辺、Florenceのモデルは実在した伝道師 - Aimee Semple McPherson (1890–1944) なんだって。

そんなある日、Florenceは盲目のピアニストで腹話術とかもできていろいろ器用な元空軍の飛行機乗りのJohn Carson (David Manners)と出会って、Johnは身投げしようとしたところを彼女の言葉で救われたといい、その純真さと多芸っぷりに打たれて仲良くなっていって、そうすると彼女はだんだん自分のやっていることが恥かしくなってくる。Johnの方も小憎らしくて人形使って愛の告白したり、家政婦を使って練習(歩数と位置を事前に把握)してぼくは目が見えるようになったよ! ってやったり盛りあがるのだが、ここで金づるのFlorenceを持っていかれたらあかんわ、ていうBobがひどいことをして… 

最後、Johnのことを考えるともうこんなことは続けられないから白状しようと決意した彼女の背後で教会が燃え上がってすべてがおじゃんになってしまう設定は”Meet John Doe”のラストと同じようで、これを見るとCapraって大衆とか公共というものの幸福と、たったひとりのひとを救う or あなたを救う、ということの間に線を引いた - あれとこれとは別、な人だったのだなあ、って。
人々のかたまりになった意識が戦争を起こす、恐慌を起こす、分断や貧困をもたらす、これらの恐ろしさ救いようのなさを十分にわかっていて、そういう状態から、それでもすくい上げたり拾い上げたりできる何かはあるのだと信じていた、のだろうか?  なんかべつに信じてないけどスタジオから言われたし、そういうケースもあるかも、くらいにやっていたような気がしてならない。

でもとにかく、Johnからの(見えないのに)Florenceに対する愛の一途さと、そこに(Johnには見えないのに)とんでもない極上の笑顔で応えて顔を近づけていくFlorenceのスパークがすばらしくて、それがメインのいんちき宗教のお話からやや浮きあがってしまって見えてしまうとこがやや残念だったかも。

これの撮影を終えたBarbara Stanwyckさんは一日だけ休んで次に控えていた”Night Nurse” (1931)の撮影に入ったって、まるで売れっ子伝道師じゃないか …

Brexit、とりあえずよかった。 あんなのもうやめちまえ。

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