3.25.2019

[film] Under the Silver Lake (2018)

21日、木曜日の晩、Prince Charles Cinemaで見ました。

昨年日本では公開されているようだったので、なんでこっちではやらないのかしら? と思っていたらMUBIでのリリースを受けてかここ1館でだけ、1日1回くらいのペースでの上映が始まって、初日にはAndrew Garfieldが来てトークしていた。見にいった回は満席になっていて結構人気ある模様。

David Robert Mitchellの”The Myth of the American Sleepover” (2010) – “It Follows” (2014)に続く(と勝手に思っている)、アメリカの気持ちよくない神話シリーズ3つめ。舞台はLAに移って、更に混濁して錯綜してわけわかんなくなってて、よいかんじの139分。

冒頭、”Beware the Dog Killer”ってガラスに大書きされた落書きを消しているカフェ(BGMはThe Associationの”Never My Love”)でSam (Andrew Garfield)がぼーっと突っ立ってて、アパートに戻る途中には瀕死のリスがべたっと落ちてきたり不吉で、彼は失業してふらふら適当に生きてて家賃も滞納であと5日で追いだすよ、って警告が来て、でも特になにか始めるわけでもなく、GFを呼んでセックスしたり部屋から外を覗いたり、そんなのをしてばかりでしょうもない。なんかぷーんと臭ってきそうだし実際に臭い(って指摘される)ゴミ男のかんじがてんこ盛り。

ある日アパートの向かいに越してきたと思われる白犬連れの女性が気になって声をかけて部屋に呼んではっぱ吸って楽しく過ごすのだが、彼女 - Sarah (Riley Keough)の部屋には怪しげな男女が出入りしていて、暫くして部屋を覗くとみんな忽然と消えていたので唖然として、気になって行方を追い始めると、やがて失踪していたビリオネアの死体発見の現場から彼女の帽子が見つかって。

で、これと並行するかたちでzineにあったメッセージとか目についたシンボルとか暗号とかを探偵みたいに探っていくと行く先々で死体とか夢か、みたいな話がごろごろ出てきて完全に嵌って抜けられなくなる。”It Follows”は死がどこまでも追っかけてくる話だったが、今度のは追っかける先に死が先回りして転がっている。 “Beware the Dog Killer” -

たぶん出てくる個々の謎や符牒や「なにこれ?」を追いだすときりがないような不思議の国のアリスのお話しが、金とカルトとドラッグとポップミュージック(バンド)、そして勿論Hollywoodとか - 割とどうでもよいもの - にまみれたLAで展開していって、原因はともかくその根っこはプールの底とかUnder the Silver Lakeにあるのよ、くらいに留めておいて、そのだんだらが広がっていくさま、その腐臭(スカンク)が蔓延して目がまわっていくさまを楽しめばいいのだと思う。もちろん、Sam本人がじゅうぶんにいかれちゃっているのだ、という線は残しつつも最後までそっちに寄せなかったのは偉いかも。

そして、“The Myth of the American Sleepover”の頃から続く水に関わる、水を介して伝播伝染していくように見える不穏ななにか。それは明確にこいつだ、ってならないから”The Myth”なのだろうが、裾野ばかりでっかくてぜんぜん終わっていそうに見えないところはよくて、ありそうなさそうでいうと、とてもありそうなかんじではあって、だからといってどうすることもできず、結局部屋とか原っぱでぐだぐだするばかり – そんな横に広がっていくアメリカの風景が。
(これが英国だと屋根裏とか地下室とか、建物にこびりついているかんじがする)

音楽はいろんなのがいっぱい流れて西海岸なかんじ、だったがあの空気感に一番合いそうなかんじがしたのはPavementとかSlint("Spiderland”のジャケット..)あたりではないか、とか。

Andrew Garfieldさんの汚れっぷりは見事で、この彼なら”Spider-Man: Into the Spider-Verse”が実写化されたときにPeter B. Parkerをそのままできるねえ。されないだろうけど。

DTLAのAce Hotelのプールサイドとか、Lost Bookstoreとか懐かしかった。LAはほんとに遠くなってしまったなあ。

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