12.11.2023

[film] Today We Live (1933)

12月3日、土曜日の昼、シネマヴェーラの『文学と映画』特集で見ました。

邦題は『今日限りの命』。Howard Hawksによるpre-Codeドラマ(なのか、やはり、これでも)。なかなかおもしろかった。

原作はWilliam FaulknerのSaturday Evening Post誌に掲載された短編 "Turnabout" (1932) – 邦題は「方向転換」とか「急転回」とか。1932年は前年の「サンクチュアリ」を経て「八月の光」が出た年。Faulkner絶好調の季節だったのかも。

あと、このセットでJoan Crawfordは二番目の夫となるFranchot Toneと出会った、って。

第一次大戦中、イギリスの港にアメリカ人のRichard Bogard (Gary Cooper)がやってきて、そのままケントの田舎に向かい、そこの農場+邸宅を買おうとAnn (Joan Crawford)の地所を訪ねるのだが、ちょうど戦地に赴いていた彼女の父の戦死の報が届いたところで、召使も含めてしんみりしょんぼりしているところで、そんな時に父の書斎をすてきですね、なんていう購買者のアメリカ人に、普段のJoan Crawfordなら牙をむくところなのに、そうはしない(で、恋におちた)。

Richardはその家を買って、Annたちは敷地内の使用人小屋で暮らして、イギリス海軍にいる兄のRonnie (Franchot Tone) と幼馴染のClaude (Robert Young) が訪ねてきて、3人は小さい頃からずっと一緒に楽しく過ごしてきて、ゴキブリを素手で掴まえて遊んだりしてて – そのゴキブリがウェリントンと命名されるの - ClaudeはそんなAnnと結婚したいと思っていて、Annもそれは了解しているのだが、自分にとっては運命のRichardと出会ってしまったのでどうしたものか、ってRonnieに相談すると、RonnieはClaudeにはっきり告げるべき、っていうのだが悩んでいるうちに戦争でそれどころではなくなる。

激しくなっていく戦局を田舎から黙って見ていられなくなったAnnは看護婦として前線の方に向かうことにして、Richardもそれに倣ってアメリカ空軍のパイロットとして共に戦うことにして、そうしたらある日、RonnieがAnnのところに新聞記事の切り抜きを持ってきて、Richardが亡くなった、と。

もちろんそんな記事はうそっぱちで、ゴキブリ相撲をやって盛りあがるバーに現れたRichardは酔っぱらっているClaudeを引っ掴んで自分の戦闘機の銃座に座らせるとドイツ軍のいる方角に飛ばして突っこんでいって、当然ドイツ空軍はなめんな、って追いまわしてくるのだが、Claudeは無邪気に撃ち返したりして、それが見事に当たるのでなかなかやるじゃないかこいつ、になって - でも彼の懐にいたウェリントンは戦死 - 着陸してからそういえば飛行機のここに引っかかっている爆弾はこれでいいの? って全員が凍りついたり。

じゃあ今度はお返しにRichardをClaudeの魚雷挺に乗っけてあげる、って彼を乗せて停泊しているドイツの戦艦をからかいに行くと、ちょっとした事故でClaudeは失明してしまうの。

Claudeの失明を知ったAnnはきっぱりとRichardにお別れを告げるのだが、その様子からClaudeはAnnの本当の気持ちに気づいて、身を引こうとしたときに、海空軍共同の特攻作戦が立ちあがり、Richardは空から、ClaudeとRonnieは海でドイツ軍に向かっていって…

戦闘機での勇ましくぐるぐるまわる戦闘シーンも含めて、とってもHawksらしい楽観主義といい加減さに溢れた(どうでもいい)「男」映画で、原作タイトルの“Turnabout” – 「急展開」については、戦時下においてはだいたいがそうで、Ann視点ではRichardの登場~ 死亡通知 ~ 復活以降の流れは連続ドラマみたいに起伏が激しくてめちゃくちゃだし、ドイツ軍との駆け引きだって、RichardとClaudeの駆け引きだって、何が起こっても不思議ではないのだが、「急展開」の本当の意味が明かされるのは最後の最後で、いつも必ずどこかが引っ掛かって敵に向かってリリースされないバカな爆弾を炸裂させる手段はこれしかない、と。なぜ必ずどこかに引っかかって思うような軌跡を描いてくれないのか、それは戦争だからか、恋愛だからか、それが”Today We Live”っていう彼らの戦時の生きざまに重なるとなんかやりきれないな、っていうのと、でも、それでもなんとかやっていくからさ、っていうてきとーな軽さはHawks、かなあ。

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