8.31.2019

[log] Lisbon - Porto

22日から26日までポルトガルのリスボンとポルトに行っていた。夏休みそのいち。

リスボンは2017年の5月にも行っているのだが、この時はロンドンに赴任して最初のヨーロッパ観光で、今にして思えば興奮してじたばたしてちっともスマートではなかった。のでそのリベンジで、前回行かなかったシントラとポルトにも行ってみよう、と。
以下かんたんに。

◾️National Museum of the Azulejo
国立タイル博物館。後のポルトでもしみじみ思ったのだが、古いタイルってなんであんなに素敵なのか。陽に照らされて表面が光り、その光に滲むように浸みるように青や赤や黄の線が浮かんでいると、それが古ければ古いほどたまんなくて、レンガの壁とかなにかが彫ってある壁とかよりじっと見入ってしまう。それがどんな変な模様とか線描であっても。

◾️Sintra
ここにはいろんな遺跡とかがあるらしく、ぜんぶ見ていると一日かかりそうだったので3箇所だけ。ムーア人の城堡とペーナ宮殿とシントラ宮殿。朝の電車で約40分。バスで山の上に向かってすごい渋滞のなかを昇っていく。 歴史のなにがどうしたとかわかんなくても、なんでこんな山奥にこれらの原材料を運んで積みあげたの? 感がじわじわくる。 ムーア人のなんて、ふだん運動しないひとにとっては地獄のエクササイズで、そりゃ眺めはよかったけど、ムーア人のやろー… になってきて、こういうのを通して歴史を学ぶことになるのよ。
ペーナ宮殿も同様になんで山の上にこんなファンシーなやつが、ていうのと、これとは全く異なるかんじのシントラ宮殿のタイルと木を組み合せた実用に寄った洗練も、宮殿いろいろだねえ、て思った。

◾️Cabo da Roca
Sintraの後にバスで移動した。 去年の夏はアメリカ大陸の東の端(Montauk)で海に向かって叫んだので、今年の夏はヨーロッパ大陸の西の端 – ロカ岬 - で海に向かって叫んだ。誰でもくぐれる柵の下は崖になっていて、飛び降りるのもサスペンスごっこをして泣くのも慄くのも自由で、びゅんびゅん吹いてくる風も含めて気持ちよいったらなかった。

24日の土曜日の朝に電車でPortoに移動して、でっかい河があって橋があって坂だらけでタイル張りの古い建物とそれらが寂れた廃屋がいっぱい、好きな要素があまりにありすぎて始めからずっと泣きそうで、負けずにカモメもどこでもがーがー鳴いていて、ああこのまま一ヶ月いられたらなー、って。

◾️São Bento railway station
最初にみたタイル張りの駅。ここの真ん中がへっこんでそのまま銭湯になったらな ... とか夢想する。Mary Poppins おねがい。

◾️Fundação de Serralves
町の中心から少し西に外れた現代美術館に来たのはManoel de OliveiraのCasa do Cinemaを見るためで、他にはJoan Jonasの展示もあった(Tateの時のとは違うやつ?)のだが、とにかくシネマの家を見たかったの。通常の展示スペースを出て、庭園を抜けてぐるっと回って隅っこにある白い一軒家(元は農家の倉庫だったらしい)。入り口の白とお花のコントラストが既にOliveriraぽくて、右側の棟が企画展 - 今は開館記念展示 - をやっていて、左側の棟が常設展をやるところで、企画展の方では複数のプロジェクターで彼の作品(オープニングということもあり時間や過去をテーマにしたもの - リストを数えたら12本あった)をずっと流している。常設の方はシナリオとか出版物とかいろいろ。 もっと時間があればさー。

◾️Livraria Lello
「世界一美しい本屋」として訪れてあたりまえ、みたいに言われているので本屋好きとしては行かないわけにはいかなかった。 たっぷり並んで5€のチケット買ってから更に別の列に並んで中に入ると中は記念撮影をする人々でごった返していて、本屋さんに罪はないのだろうし、来ている人たちはみんな本が好きなのだと思いたいが、ゆっくり落ち着いて本棚を見て回ることができない、という時点で残念ながらこれは本屋ではないわ。確かにおもしろそうな本もいくつかあったのだが、ロンドンで見たことあるやつだったし、稀覯本のコーナーは鍵が掛かっていて遠くからしか見えないし。ざんねん。 自分がこれまで入った中で一番美しいと思った本屋はマンハッタンの57th stにあったRizzoli、かなあ。

25日の昼に電車でリスボンに戻り、前回行くのを逃したThe House · Casa Fernando Pessoaに行ってみると改装のため休館中でまた泣きそうになり、続けてそのままバスでLer Devagarていう本屋に向かう。空中に自転車が浮いている本屋。リスボンにはよい本屋がいっぱいあるのだがここはまだだったの。 天井近くまで本いっぱいで、英語の本もいっぱい、新刊だけじゃなくて古本もいっぱい。まだPessoaに未練たらたら状態だったのでPessoaの個人蔵書の一冊一冊を写真に撮って並べたばかでかい古本を買おうかどうするか延々悩んで、余りにでかくて重いので諦めた。ひとつ買ったのはリスボンの市議会が数年前に出したリスボンにある歴史あるいろんなお店の写真とかロゴとかチラシを集めて並べた本 - “Historic Shops Lisbon”。めくっていくだけでほんとによくてさあ、これに比べると、なんで日本は... (いつもの)。

食べもの方面は問答無用のが、だん、だん、だん、だん、て続いていったのでいちいち書かない。
失敗だったのは、まだ夏休みシーズンで狙っていたお店がほぼ全てお休みしていたことくらい。
そんな状態でもイワシ(青)とタコ(赤)とタラ(白)は浴びるように猫のように食べたし、海鮮ライスも鮟鱇ライスも食べたし、カキもイカもエビも食べたし、TravesseirosもBola de Berlimもエクレアもプリンも食べた - カスタードは数年分を飲むようになめた - し、Oliveira も通ったMajestic Cafeでフレンチトースト&ポルトワインも食べたし。全体として甘く柔らかくとろける雲のなか右から左に来るものみんな流しこみ、満腹になったときの地を這うような気だるい重みは坂の上り下りばかりやっていたせいか最後まで来なかった。 気がした(そして戻ったとたんにそいつは ... )。

食べものがおいしくてよい本屋があって坂と高台がいっぱいですばらしい風が吹いて、夕暮れ時はいつまでもふらふらできて、というとSan Franciscoのことも頭に浮かぶのだが、向こうは海でこっちは河(口)だし、あー、いや、やっぱりぜんぜん違うし、でもどっちも本当に好きだなあ、SFもLAも遠くなっちまったよう、って。

こうして8月はもう行ってしまうのね〜。

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