8.03.2019

[film] The Great Hack (2019)

7月28日、日曜日の昼にICAで見ました。Sold-outしていた。
Netflixのなので、日本でももう見れるのかもしれない。是非見てほしい。

誰もが知っているFacebookの個人情報が英国企業のCambridge Analyticaに流れて使われ、そこでの解析結果が2016年の米国大統領選で、反ヒラリーキャンペーンに使われた件。同様にBrexitの国民投票でもBrexit推進団体Leave.EUのキャンペーンにも使われた件(つい数日前、Cambridge Analyticaの明確な関与を示すメールが出てきたって)。

つまり、悪夢の2016年、誰もが食べかけの唐揚げ(or ナゲット)をぽろりと落として「うそ…」ってなってしまった2大事案の裏側にはやっぱしこんなズルがあったんだわって。

新たに驚愕の事実が暴かれたり明らかにされたりというのはなくて、もやもやした闇の向こうにあった背景や関係者の線とカラクリが浮かびあがってくる。それだけでも目眩と吐き気がするくらいあーあ、になるの。

登場人物としては自分の授業でもこの問題について生徒に問いかけるNYのParsons School of Design の准教授David Carroll、本件を追いかける英国人ジャーナリストのCarole Cadwalladr、追いかけられる側のCambridge AnalyticaのCEO - Alexander Nix(逃げまくり)、同COO & CFO のJulian Wheatland、そしてトランプの選挙対策チームやLeave.EUのやくざ連中との繋ぎに中心的な役割を果たしたとされるBrittany Kaiser - 元はオバマの選対チームにいて人権活動にも関わっていた彼女が何故? どこかのリゾートで寛いでいた彼女を捕まえて問い詰め、並行して捜査の進展と共にCA上層部の明白なウソが報じられていくと彼女の顔色がだんだん変わり、本当のことを語るようになっていく、この辺は「おせーよ」って思うけど、まあいい。

論点は大きくふたつあって、①普段みんなが(Social Networkとして)使っているFacebookの情報が本人の知らないところで第三者に勝手に使われるってどうなの? ②それが選挙のような今後の社会の方向を決めるようなところのキャンペーンに(勿論勝手に)利用されるってどうなの?  自分の情報の「なに」が「どう」使われているのかわかんないのはおかしいし気持ちわるいよね?

マーケティングで使われるのはわかんなくもない(それでも嫌だけど)、でも自分の情報が特定の政治勢力の特定用途のために使われて、その裏で大量のお金が流れてブタみたいな連中がwin-winですな、とか言ってるのは我慢できない。

もちろん、投票した人々は投票所で自分の意思と判断で投票しているので一義的には問題ないのかもしれない、けどその判断が恣意的に送りつけられたフェイクの情報群に基づいてなされたものだとしたら .. とか、その情報の送付がAIによってプロファイリングされたどっち側にも転びそうな柔らかい人たちのグループを選んで集中的に行われていた ..  とか、そのやり口を米国大統領選の前に複数の途上国の選挙戦で試していた .. とか、やっぱり気持ちよくないし、しかも結果があんなだとよけい暗澹となる。 あいつらがあんなことしなかったら … って。

CAに対して自分の個人情報がどこでどのように処理されたのか開示しろ、と訴訟を起こしたDavidは自身のデータに対する(を有する)権利は人権と同等である、というのだがその通りだと思う。 こないだオーストラリア政府からGoogleとFacebookに対してマーケティングに使われるAIのアルゴリズムを開示するよう命令が出ていたが、こういうのはこれから増えていくんだろうな。
商権 vs. 人権。

他方で法でどれだけ縛ろうとしても、データがどこかに置かれて移転可能になっている以上、いくらでも実験できるし技術もどんどん巧妙になっていくので、吐き気がするようないたちごっこになる。CAよりやばい連中はこれからいくらでも現れてくるだろう。

にっぽんなんてほーんと子供の時分からデータはずるずるだし格好のカモだよ(AI解析なんていらない)。人権意識なんて使う方にも使われる方にもないし、お得で儲かるのなら便利になるのなら、ってみんな底なし無邪気にクリックしていくから ー 。
ほんんんっとに嫌だあの国。 あそこでいま起こっていることはぜんぶ shame on you! だわ。

だからね、いまこれから、どれだけやばくなっていくのか、それをちゃんと認識して自衛するためにも、見たほうがいいよ。 もう十分外に出ちゃっているから「自衛」なんてできないか。自分で何が正しい情報なのかを仕分けることができるようになること、そのための目をネットの外で鍛えていくこと。

だから今日も本屋とか美術館にいくのよ。

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