8.06.2019

[film] The Golden Boat (1990)

7月31日、水曜日の晩、ICAで見ました。

ICAのGalleryで4日まで開催されていた展示 – “I, I, I, I, I, I, I, Kathy Acker”の関連企画でこの日一回だけ上映されたもの。
なかなかとっても変なやつでー。

Raúl RuizがNew Yorkを舞台に、The KitchenとかMOMAの協力を得て撮った低予算ノワール/コメディ?みたいな不条理映画。

学生のIsrael (Federico Muchnik)がNew Yorkの路地を歩いていると脱がれた靴がそこらじゅうにいっぱい転がっていてそれを辿っていくとおっさんのAustin (Michael Kirby)にぶつかり、訳わかんないことを呟くと彼は自分で自分の腹にナイフ刺してうううー、とか呻いてて気持ちわるいのでその場を離れるのだが、Austinはその後もIsraelのアパートとかいろんなところに現れていちゃもんつけて人を刺したり自分を刺したり血まみれのラジカセで音楽流したりやたら迷惑なかんじで、いろんな人が現れたり消えたりして、親子関係とか愛人関係とか神さまとかそれらを巡るあれこれがTVドラマ – しょうもない刑事ものとかラテンのソープオペラ風 - 要はすべてがいんちきくさいふう - に展開していく。

筋を追ってもしょうがない類のものであることは5分でわかったのだが場所の雰囲気 – 小汚いとこ - とか出てくるヒトのやばいかんじは十分出ていたので飽きることなく楽しく見れた。

Kathy AckerさんはIsraelの大学の先生役で出てきていろいろ喋って、でもすぐにAustinに刺されちゃうの。

他にJimとTomのJarmusch兄弟とか、最初の方に出てきて通りすがりに刺されてしまうおっさんがBarbet Schroederとか。

音楽はJohn ZornでCyro BaptistaとかDave Douglasとか彼の人脈の人たちがばりばりで気持ちよくて、このギターは.. と思ったらやはりRobert Quineだった。

Desire: an encounter with a play by Kathy Acker

ICAのTheater(初めて入った)で、これも”I, I, I, I, I, I, I, Kathy Acker”展の関連企画 - 彼女の原作による演劇、というかパフォーマンスで、3日の土曜日の晩に見たもの。1週間くらい上演していた。

↑の映画にも出演していたThe Wooster Group (なんかなつかし)のKate Valkさんが監督、原作は1982年のBOMB Manazineに掲載され、その後も形を変えて彼女の作品の中で変奏されていったもの、なので元がどんなものかは確認できず、”an encounter with a play by Kathy Acker” というタイトルが相応しいのかも。”play”を通して彼女が撒き散らした臓物に遭遇する、と。

パフォーマーが4名(中年女性、トランスの男性、女性2名)出てきて、ディスプレイ上を流れていく字幕にシンクロしてClaudiusやOpheliaやHamletやHamletのメイドやRomeoやJulietが憑依した彼らがテキスト(一部、突然フランス語になる)を読んだり歌ったり囁いたりしていく。RomeoとJulietはトランスの人が交互に。 こんなふうにオリジナルの文脈から切り離された台詞を喋る役者たちは一体なんなのか、誰でありうるのか。王様でもメイドでも男役も女役も関係なくなったところに現れる奴って、なに? 誰? ていうとっても80年代しているかんじのー。

Kathy Ackerの展示は4日までだったので、もう一回ざっと見て、Genesis P-Orridgeの切り絵みたいな絵がめちゃくちゃかわいくて、なんかじーんとした。


RIP Toni Morrison。 こんなにもあなたの物語が必要とされるときに...

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