6.22.2019

[music] King Crimson

18日、火曜日の晩、Royal Albert Hallで見ました。生誕50周年記念ライブのロンドン公演3 days のDay1。

彼らを最後に見たのは95年のTHRAKのツアー(あああ、もういちいち言いたかないけど干支2回転だよ)、NYのTown Hallで、前座はCalifornia Guitar Trioだったのだが、彼らはいま、元気にしているのかしら?

ドラムスが3人フロントにいて、Mel Collinsがいて、初期の曲とかも割といっぱい演奏している、というと、これで最後かもしれないとか思うし、少しは見たくなるじゃん?とか。

ところで歌っているのは誰? と会場で買ったパンフを見るとJakko Jakszykとあって、このJakkoって昔Dave StewartとかとやっていたあのJakko?と思ったらそうで、少し親近感わいた。でも初期の曲では特に感じたけど、Vocalなあ、Greg LakeもJohn Wettonもみんな故人なんだねえ。

万事がこんなふうなので、THRAK以降の曲ってまったく知らずわからず、死んだように宙を見つめてて昔の曲だけに反応する年寄りでいいや、と(周りもそんなのばっか)。  なので第一部では”Epitaph”でおうおう、って目覚めて(墓石に躓いて目覚めて)、そういえば1stって洋楽を聴きだした頃、その最初期の一枚で一生懸命に辞書をひいて、”Epitaph”とか”Schizoid”とか調べてPete Sinfieldの世界を掘ってみようとした – あれも40年くらい前なのかー、と思い、えええーするってえと自分が聴き始めた頃って、まだ1stが出てたった10年しか経っていなかったの? … oh my … ていう雑念にどしゃどしゃばたばたしたドラムスが心地よい。もっともっとひっぱたいておくれ。

前に聴いたときはDouble Trio編成で既にじゅうぶんにやかましかったので、今回の3 drumsにはあんま驚かない。過去のすばらしい打楽器奏者たち - Michael Giles, Ian Wallace, Jamie Muir, Bill Bruford – を見てもわかるように、このバンドのひとつの功績として打楽器のリズムがもたらす規律と野生の交雑によるダイナミクスを最大限に引き出した、というのがあって、とにかくこれらは虫みたいに鳥みたいにやかましくてよくて、その藪のなかにMel Collinsがぶっとい筆致で横槍を刺してくる快感。

初期と最新の作品との間のギャップについては、シュールレアリスム風の幻想絵画から入って途中で表現主義絵画に転換し、しばしの沈黙の後に抽象画家として再起動して更にやけくそのように抽象度を高めていった、そんないそうでいなさそうな近代画家みたいなもんだと思っている。そういう人(たち)の回顧展としては割と俯瞰しやすい構成と流れだったのではないかしらん。

第二部では”Cat Food”(猫飯)が来たのが嬉しくてにゃーにゃー鳴いた。”Moonchild” ~ “The Court of the Crimson King”は1stのB面ぜんぶだねえ、って思うとじーんときたり、”Starless”のドラムスはやっぱりシンプルにひとつのがいいな、あれじゃStarlessじゃなくて流星群みたいじゃん、とか。

アンコールの”21st Century Schizoid Man”は、もちろん悪くないしGavin Harrisonのドラムソロもがんばっていたと思うけど、やっぱり自分にとっては”Earthbound”のがなあー。

Nick Caveのとぶつかって諦めたDay2のセットには、思っていたとおり”Larks' Tongues in Aspic”が第一部の始めと終わりをサンドしていてこっちの方が好みかも、だったのだが、いいの。 当日券で行こうかどうしようか直前まで悩んでいたDay3のセットはそんなでもなかったので少し安心した。

なんというか、(自分だけかも知れないけど)騒々しい太鼓囃子とは離れて、この40年とか亡くなっていった人々とかどこかに行ってしまった人々とかが通り過ぎていくのを眺めているようなライブで、(演奏されていないのに)”I Talk to the Wind”がどこかから聴こえてくるようだった。

でも、結局のところは、猫飯にありつけておいしかったにゃー、って。

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