6.30.2019

[log] June 2019

6月も終わりなので他に見たり行ったりしたあれこれを少しだけ書いておく。

Harald Sohlberg: Painting Norway

Dulwich Picture Galleryでの展示。Harald Sohlberg (1869 - 1935)はノルウェーの風景画家で、白く浮かびあがった雪山とか星空の下のお墓とか、あまり信仰に寄らないようなところで神々しく広がる風景をドライにぺったんこに切り取っている。特に空の色と壁の色がすばらし。

PBFA Book Fair → Firsts - London's Rare Book Fair

7日の金曜日にホテルの宴会場みたいなところでBook Fair - 古本市があって、Second Shelfも出店するというので行った。金曜の午後、会場内はものすごく穏やかで緩い空気で価格もそんなでもないのが多いのでだらだらしているとEvelynWaughのサイン本とかにぶつかったり(買わない)。

がんばってなんとか持ちこたえて外にでたら別のBook Fairの会場に向かうシャトルバスがあったので乗ってしまった(ふたつのFairの関係はわからず。なんで同じ日にやってるのかも不明)。こっちの会場のは昨年も来たことがある、ヨーロッパ中とかアメリカとかからも古書店がやってくる来るお金持ち収集家向けのFairで、みんな本を買うというより取引商談しているかんじなので、ここではほぼ鑑賞のみ。

こないだ4月にフランスの田舎のトマト箱からVirginia Woolfの最初の小説”The Voyage Out”のVanessa Bell所有本(たぶん)が発見された、ってSecond Shelf界隈でちょっとした騒ぎになったのだが、あれの値段(車買うより安いわよ)を遥かに超えて高額な本とかプリントとかごろごろしている。 Virginia Woolfの古本もやはり”Mrs Dalloway”とか”The Waves”とか”To the Lighthouse”とかの美本になると途端にすごく高額になることを知る。こないだSecond Shelfで”Flush: A Biography”を飛びおりるかんじで買ったのだがそんなのぜんぜん甘いのだった。(でもその後あの店ではFlushが立て続けに売れて在庫なくなる、という珍現象が)

日本では神田の古本祭りくらいしか行ったことなかったのになんでこっちで古本屋に通うようになってしまったのだか。今はレコード屋にいるより新刊本屋にいるより長くなってしまったかも。

Open Garden Squares Weekend

8-9日の週末。 ロンドンの町から名所旧跡と公園を除いたら何が残るかというとほぼお庭と建物で、でもどちらも近隣の住民にしか公開していないのも多くて、普段町を歩いてもいつも柵の外から眺めるしかないのだが、そういうお庭(ぜんぶではない)を2日間だけオープンにするよ、ていうイベントで、建物の方は9月に同様の”Open House”ていうイベントがある。お庭によって土曜日のみ公開、日曜日のみ公開、両日とも、とかあって、£20のチケットで両日の開いているところに入ることができる。

Tate Modernの近所のとかEnnismore Gardenとかほんとに素敵で。普段外から見えなくしているその裏でいろんなお花とかいっぱい育ていて水場とかもあるし、これだからキツネなんかもいるわけね、と。
Ennismore Gardenの正面にAva Gardnerがロンドンで住んでいた邸宅があって貸しに出ているみたいなのだがすごくて。

Writing: Making Your Mark

British Libraryの展示で、象形文字から入ってアルファベットの起源とか印刷の木版、活版とかカリグラフィに墨書きに、なん千年続いてきた人の「書く」という行為に纏わる道具とその進歩とかその結果とかいろいろ、その裾野の広さと広がりも含めて「アート」の営みなんだなあ、と。 James Joyceの” Ulysses”のノートとして記された紙の色付きぐしゃぐしゃがたまんなかった。

FOOD: Bigger than the Plate

V&Aで上の"Writing"と同じようなかんじで始まった「食」に関する展示。 Compostからはじまって蒔いて育てて刈って食べての食にまつわるプロセス全般をアートはどう扱ってきたか、というよりも、これまでいろんな会社や産業がやりたい放題やってきたそれぞれのプロセスをSustainabilityの観点からアートとしてとらえ直してみてはどうかしら? ていう試み。 なんかどっかのコンサル屋の仕事臭みたいのがぷんぷん、でもあるのだが、言ってることはわかる。 一皿の上に乗っかって出てきたものを単においしー、って食べて終わるだけでなく、その皿の外側と背後に広がる時間と空間を想像してみること。 お皿を絵画のフレームのように捉え直して考察してみること。 そういうことが求められているの、とっくに。

Mary Quant

V&Aの”Christian Dior: Designer of Dreams”はいまだに大人気みたいだが、いつものファッションコーナーでやっているこちらの展示もよいの。 自分の昔のMary Quantを着た年配のご婦人が娘とか孫と一緒に来て、展示物を指して、ほらこれでしょ? とかって写真撮っているの(数回みた)。

Canterbury Cathedral

22日の土曜日、東方の町、カンタベリーに行ってみた。電車で1時間強(通勤圏?)。ここを含めて世界遺産3つ。
映画 - ”A Canterbury Tale” (1944)のかんじを求めて行ったのだが、大聖堂は改修中だったし陽射しが強すぎてあんまかんじ出なかったかも。 でもSt Augustine's Abbeyの廃墟感とかSt Martin's Churchのお墓とか、たまんないねえ。
川とかきれいでカモがいっぱいいた。 カンタベリーのロックとの関連は、やっぱしないわよ。

Fred Frith + Steve Beresford + David Toop


29日、土曜日の晩、Cafe OTOで。 Fred Frith先生の生誕70周年お祝いで3日間連続ライブが行われていて、共演者は毎日違うのだが、この日のこれが一番年寄り向けぽかったので。
先生を最後に見たのは00年代のKnitting FactoryでのMassacreか、中野かどこかでのSoloだったか、どっちだったかしら。

真ん中に大学の先生みたいにFred Frith、左手に西洋の聖職者みたいなSteve Beresford、右手に東洋のお坊さんみたいなDavid Toop。 Frithさんはいつものようにギターを寝かせて立たせて上から金物圧したりじゃらじゃら鳴らしたり、Steve Beresfordさんはエレクトロニクスとプリペアドピアノ、David Toopさんは、小さいエレクトリックギターと管楽器と。 たまにふつうにギターを抱えていると変なかんじに見えたり。 休憩を挟んでたっぷり1時間半、年寄りの耳をやさしく包んでくれるがりがりノイズだった。


一年のはんぶんおわりかあー。

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