6.26.2019

[film] Death Becomes Her (1992) : Drag Show Bitch-along

BFIで進行中の6月の企画”Playing the Bitch”、特集されている映画の方はぜんぜん見れていないのだがBitchってなんなのかしら? ていうのをぼーっと考えている。時間があったらちゃんとリサーチして纏めてみたいくらい。なんでか? - はあんま考えてないけど。
その関連でふたつ。

An Attempted History of the On-screen Bitch

15日の土曜日、BFIであった60分くらいのトークで、今回の企画のプログラマーのAnna Bogutskayaさん(ホラー映画を紹介するThe Final Girlsのメンバーで、この人のセレクションは信頼できるの)がいくつかの映画のシーンを上映しながらBitchが起動するtypicalな瞬間を紹介していく、というもの。

クリップとして紹介されたのは、“Baby Face” (1933) ~“The Women” (1939)  ~ “Dangerous Liaisons” (1988) ~ “The Last Seduction” (1994) ~ TVドラマの”Dynasty” (1981-)  ~ 同様にTVから”American Horror Story” (2011–)。 言及があったのは “Carmen Jones” (1954), “All About Eve”(1950)  “Body Heat” (1981),  “Cruel Intentions” (1999),  “Heathers” (1988) とか。

映画の中で適正にBitchを位置づけるのってなかなか単純じゃないかんじなのだが、いっこ印象に残ったのは、映画のなかで「正しい」ものとして描かれた「女性像」の反対側 - 男からすれば複雑でわかりにくいところ - にBitchはいる、っていうのと、例として出てきたクリップの中だと、”Baby Face”でBarbara Stanwyckが都会に出るときにニーチェを読み聞かせるおじさんから言われる “Exploit yourself! Go to some big city where you will find opportunities. Use men! Be Strong! Defiant! ..” ていうあたりが正にそれ、って。

Death Becomes Her (1992) : Drag Show Bitch-along

21日、金曜日の晩にBFIのBitch特集でみました。
“Bitch-along”とあって、”Sing-along”は「みんなで歌おう」上映会だから、これは「みんなでビッチしたれ」ていう主旨の普通ではない上映なのだが、映画も見たことなかったし、どんなのか知っておいてよいかも、とチケット取ってみた。他に同様のBitch-along”をやっている映画としては、Prince Charles Cinemaでやっている”Mean Girls” (2004)があったりする。

入口でMeryl Streepの顔がついてる厚紙のお面 – “Team Mad”とGoldie Hawnの顔がついてるお面 – “Team Hel”のどちらかを貰う。お面の裏側には映画の中でのそれぞれの立場での攻めどころとかつっこみどころが書いてある(でも結局誰もその通りには動かなかった)。客層は女性ばっかり、というほどではなくて男性も結構いて埋まっている。

最初にプログラマーのAnna Bogutskayaさんが映画の紹介をしようと檀上にあがっていつものように喋り始めると「ちょっとまておらあー」と割れ鐘のような怒号が響いてMCのドラァグクイーンのBaby Lameさんが現れ、なあに気取ってんのよあんたBFIがなんぼのもんよ、みたいにどつきまくってAnnaさんをステージから追いやり、自分のテーマ曲みたいのを歌いあげて、客席を少しいじって(この映画見たことない子〜?  あらあらほんと救いようないわねあんた、とか)、ルールの説明にはいる。ルールは3つ。 1. Make Noise! 2. Have Fun! 3. Don’t Be an Actual Bitch!! で、Team MadのよいこはGoldie Hawnが出てくるシーンで彼女をくそみそ言っていいし、Team HelのよいこはMeryl Streepを野次りまくっていいのよ、って。 こいつ、ドラァグクイーンていうよりナマハゲだよな、て思う。

あとは、今宵はMerylの70歳の誕生日だから彼女にお誕生日のプレゼントとしてメッセージ送りつけてやりましょ、ってみんなしてスマホでお祝いメッセージ撮って、みんな知らないと思うけどこの映画は93年のオスカー獲ってるのよ、でも主演女優賞はなんでか”Howards End”のEmma Thompsonに行っちゃったので視覚効果賞で。”Alien3”と”Batman Returns”を抑えて。でもやってることといったらMerylが若返るシーンで彼女の乳を後ろから付き人の子がUpするとかそんなもんなのよ。とか… (実際のシーン、たしかに..)

映画のほう、邦題は『永遠に美しく…』。上映が始まってからも、Baby Lameさんはずっとステージの隅でマイクを抱えてつっこみ入れまくってて、激しいシーンになるとばたばた走り回って煽って、客も負けずにすごいことを言いまくる。

78年に女優のMadeline (Meryl Streep)と作家のHelen (Goldie Hawn)の友達同士がいて、Helenの婚約者で美容外科医のDr. Ernest (Bruce Willis) をMadelineが落として横取りして、Helenは落ちこんでぶくぶくになって、92年、”Forever Young”ていう本を出したHelenはぴかぴかに蘇って復讐モードで、落ち目のMadelineはなんで? って追ってみるとLisle (Isabella Rossellini)の怪しいお屋敷にたどり着いて、そこで小切手を切って彼女のクスリを飲んでみるとHelenと同じように若返って、でもErnestに近づいたHelenはMadelineを殺すように仕向けて..

若さと美への執着が生き残りをかけたどろどろの争いにまで広がっていくのだが、永遠の、死なないボディに行きついてしまうと 今度はなんかすべてどうでもよくなって.. 
たしかに憎悪むきだしで殺し合おうとするふたりのサマはBitch全開なのだが、ふたりの間にいるBruce Willisが無傷で逃げ切るのは許せないし、ちがうんじゃないか、って。 今の世だったら案外アウトかも。

監督はRobert Zemeckisなのだが、彼の女性の体パーツ – バラバラ - に対する拘りって、最近の”Welcome to Marwen” (2018)にも出てきたような..

という、なかなかたのしい金曜の晩だった。

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