6.19.2019

[film] Anders als die Andern (1919)

少し前にBFIのワイマール映画特集で見たのを3つ。 検閲をくらったフィルムたち。

Kuhle Wampe, oder: Wem gehört die Welt? (1932)

1日、土曜日の夕方に見ました。 英語題は“Kuhle Wampe or To Whom Does the World Belong?”
監督はブルガリアのSlatan Dudowで、一部の脚本と監督をBertolt Brechtがやっていて、音楽はHanns Eisler。

冒頭、若者たちの集団が自転車に乗ったりして機械のように街を行ったり来たりして、そこに新聞の失業者5百万人、の記事が被さり、彼らはみんな職探しをしているのだがどこ行っても仕事はなくて、そのうちひとりの若者は自宅に戻って家族と食事をすると腕時計を置いて窓から飛び降り自殺してしまう。残された彼の妹と家族はアパートを追われてKuhle Wampeていう失業者キャンプみたいなところに身を寄せて、妹はそこでFritzていう男と知り合って子供ができるのだが、彼は結婚するのを嫌がって...

当時のドイツの最下層(かどうかは不明だけど)の人々の生活 –職探し~絶望~自殺~宿なし~恋愛(&妊娠)~相手逃げる~旅は続く~ の出口なしの日々をドキュメンタリーぽく描きつつ、でも、だから最後は連帯を! っていうの。

当時の政府からは当然のように公開禁止をくらい、修正版も同様になって、でもこうして見ることはできる。日本もそのうちこうなっちゃうのかもうなっているのか。 この映画みたいな若者ではなく老人たちみんなが。


Das Lied vom Leben (1931)

次の2本は7日金曜日の晩に見たやつ。”The Little Foxes”に続けて。
英語題は”The Song of Life”。サイレントではなく音楽も台詞も入っている。監督はロシアの演劇畑からAlexis Granowsky。

お金持ちの貴族のところにお嫁に行くことになった女性が豪勢にお祝いして貰っても相手が入れ歯であまりに気持ち悪いじじいだったので絶望して港に走っていって身投げしたところを若い船乗りに救われて介抱されて、ほらごらん世界はこんなにいろんな生き物がいて輝いているんだよ、って、そのうち赤ん坊ができて難産でもなんとか乗りきって、ぼくらはみんな生きている~ ♪ みたいになるの。冒頭の虚飾まみれの都会生活から後半の地球とか大自然の描写へのジャンプがすごくて、でもこんなのでも帝王切開の(を思わせる)シーンがあるからって上映禁止になったのだそう。

あと、台詞で息子よ、とか言ってるけどあれ女の子だし、カバって言ってるけどあれサイだし。

最近のTerrence Malick映画の源流はこの辺なのかも、って思った。

Anders als die Andern (1919)

英語題は“Different from the Others“。サイレントで、世界最初のゲイ - ホモセクシュアルを描いた映画とされていて、公開当時の検閲では当然ダメ、になりナチスによって焼却処分になって、それでも残された断片を繋いで - 静止画と文章で補足する箇所は多々あるものの – 見られる状態にはなっている。

名の知れたヴァイオリニストであるPaul Körner (Conrad Veidt)がいて、ヴァイオリニストとしての彼に憧れる若者Kurt (Fritz Schulz)が彼に個人レッスンを請うたら受けいれられて、レッスンをしていくうちにふたりは親密になっていって、Paulを紹介されたKurtの両親はふたりの仲のよさが心配になって医師に相談したりするのだが、医師(この人は後の方でも何度か出てきて観客に訴える役割)はこれは異常でもなんでもなく、自然にあることなのです、と説得したのでふたりは公園とかでも手を繋いで仲良くしたりしていると、それを陰からみていたごろつきのFranz(Reinhold Schünzel)が裏でPaulを脅迫するようになって、やがて。

Paulの幼少期の回想とか、そこでも医師が男子が同性を好きになるのは異常ではないことを説いたりするのだが、最後はやっぱり悲劇で、ドイツのParagraph 175 - 同性愛を禁止する刑法(1871-1994 - ついこないだまであった) - が示されて終わるの。

ドラマとしてきちんとしていて演技もすばらしくて、こういうのでも破棄されてしまうんだねえ、ていうのと、この頃から戦いは続いているのねえ(でも負けるわけにはいかない)、ていうのと。

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