1.09.2019

[film] The Ghost Goes West (1935)

2019年の映画はじめの1本。1日元旦の晩20:40からBFIで見ました。

ちなみにこの日BFIでかかった旧作は、Wild Strawberries (1957), Gaslight (1944), La notte (1961), The Private Life of Henry VIII (1933), L'Avventura (1960) .. などなど。 この並びはめでたい?

これは1月の特集 – “The Golden Age of Alexander Korda: Britain’s Movie Mogul” からので、Alexander Kordaなんてもちろん知らない。でも知らないのなら映画を見ながら勉強していけばいいので、なんてすばらしいことでしょう、って。Kordaって、監督もすればプロデュースもしていて、これはRené Clairに監督をさせてプロデュースにまわったやつ。 邦題は『幽霊西へ行く』。

18世紀のスコットランドにぜんぜん人望のない間抜けな領主(Robert Donat)がいて、味方の爆弾で吹っ飛ばされてそれ以降哀れな幽霊として城のなかを彷徨っているのだが、現代になって富豪とその娘(Jean Parker)がフロリダからやってきて、現代の領主(Robert Donat – 2役)にこの城をアメリカに持っていきたいんだけどなー、て猫なで声でいう。 幽霊ついちゃってるけどどうするよ? ていうのと、ふたりの恋もどうなっちゃうのよ、っていうのと。

René Clairは大昔にリュミエール・シネマテーク(ていうのがあったの)のVHSまで持っていた『奥様は魔女』(1924)がだいすきで、これと同じような何百年に渡ってかけられた呪いが間抜けにすっ転んで恋にはまってしまう適当さいい加減さがたまんなくて、でも今作でRené Clairが仕上げたものはKordaには不満だったらしく、後からReshootしたりしていて、結果、興行的には当たったみたいだけど、出来としては『奥様は魔女』のほうがおもしろかったかも。

The Private Life of Henry VIII (1933)

4日金曜日の晩、これもBFIのKorda特集で見ました。これはAlexander Kordaの監督作。
英国映画界に初のオスカーをもたらしたのは、この作品でのCharles Laughtonの主演男優賞のそれなんだって。日本では皇室の尊厳を損なうかも、って当時公開はされなくて、後でビデオリリースのみなんだって。 ふうん。

ヘンリー八世 (Charles Laughton)と6人の妻たちのお話し。ちなみにRick Wakemanのソロ - “The Six Wives of Henry VIII” (1973)の元になった本は、これの原作の後に書かれたもの、らしい。

6人の妻といっても最初の妻の話はカットされてて、二番目の妻Anne Boleyn (Merle Oberon)が絞首刑になるところからで、三番目のJane Seymour (Wendy Barrie)は子供を産んだあとすぐに亡くなって、ドイツから来た四番目のAnne of Cleves (Elsa Lanchester - Laughtonの実の妻)は、カード博打がすごすぎてごめんなさい勘弁して、って別れてもらって、Henryが陰で憧れていたKatherine Howard (Binnie Barnes)が五番目にくるのだが、彼女はずっとThomas Culpeper (Robert Donat)と密通していたのでふたりとも絞首刑にしちゃって、最後の六番目にCatherine Parr (Everley Gregg)が来るのだがもうへろへろでどうでもいいかんじ、で終わる。

ヘンリー八世の”Private Life”ということで彼の結婚生活が中心なのだが、それでも彼の残虐で野蛮で変態で我儘なところがじゅうぶんに伺えておもしろい、というか一番おもしろいのはCharles Laughtonの軟体動物な演技 – 特に顔芸 - で、この辺、”The Favourite”のOlivia Colman(祝!)のそれに近い、ていうか彼女も参考にしたのではないかしらん。

王様だからなんでもできるでしょ、って自分も周囲もふつうに思っているのにそれがちゃんとできないことから生まれる悲喜劇、それが顕著にでるのがPrivate Lifeで、でもどうしようもない - 妻を6人とっ替えてもどうにもならん、て、”the best of them's the worst”なんて言うの。

この後、KordaはDouglas Fairbanks主演で“The Private Life of Don Juan” (1934) を撮ったりしていて、Private Lifeがだいすきらしい。

でもなんといってもCharles Laughtonのすごさ。彼のヘンリー八世ってHolbeinの肖像画あのままじゃん、とか思ったのだが、日曜日の午後に見た”Rembrandt” (1936)でレンブラントしている彼ときたら、彼の自画像そっくり(彼が彼の自画像そっくりなのはあたりまえか。彼がレンブラントの自画像にそっくり、てことよ)で、なんなのあなた、になったの。

それにしても、Golden Globe効果とはいえ、”The Favourite”みたいな映画が当たってしまう英国ってすごいわ。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。