3.13.2018

[film] The Mysterious Lady (1928)

4日、日曜日の晩、Southbank CentreのRoyal Festival Hallで見ました。

ここではたまにLive Screeningていう企画 - 映画上映にあわせてライブのフルオーケストラの音を被せるのをやっていて、いっつも隣のBFI Southbankばっかしなのでこういうのもいいのかな、くらいで。
今回のテーマはGreta Garboで、彼女が主演のサイレントThe Mysterious Lady (1928)とThe Divine Woman (1928)(の一部)にCarl Davis作、指揮のPhilharmonia Orchestraの演奏が被さる。
Garboって自分にとってはミケランジェロとかダ・ヴィンチと同列の神さまみたいなもんなので背筋を伸ばして見た。 どっちも驚異的におもしろかった。

The Divine Woman (1928)

このフィルムの完全版は残っていなくて、上映されたのはモスクワで発掘された9分間バージョンのみだという。

パリにいる兵士のLucien (Lars Hanson)は夜の9時に戦地のアルジェリアに旅立つことになっていて、最後に恋人のMarianne (Greta Garbo)のアパートにお別れを言いにいく。お別れまで残り40分くらいのとこで、彼女は彼がもうじき旅立ってしまうことを知っているのか知らないのか(たぶんなんか気付いている)ふたりでテンション高めにじゃれあってキスしまくる(Marianneの笑顔攻撃のすさまじいこと)。 で、Lucienが突然、僕が君のもとを去らなければならないとしたら? ほら、兵隊だし移動も多いしさ …て聞くと、Marianneは男なんていくらでもいるから次を探すわ、って即座に返したので、互いに気まずくなってむっつりしちゃって、Lucianは帽子を取って出ていこうとするのだが、Marianneは無言で寄っていって帽子とかを取りあげて椅子のほうに押して、彼の上に乗って彼の髪の毛を左右にぐいぐい引っ張りながら、いなくなったりしたら許さないからね、ってそのまま床の上に柔らかく押し倒して、キスの雨を降らせると、彼は君がいるなら世界なんてどうでもよくなった、とか言うの(そりゃ言うよ)。最後のシーン、時計の針は深夜を指してて、パリの夜景をバックに二人は互いに寄りかかってぼーっとしているの。

監督はVictor Sjöström。 ほんとすごすぎる。こんなの完全版みたらしんじゃうかも。

The Mysterious Lady (1928)  

こっちはフルバージョンの上映。
雨の晩、ウィーンのオペラハウスで軍の大尉のKarl von Raden (Conrad Nagel) が窓口に戻されたチケットを買ってボックス席に入るとそこで一人でオペラを見ている謎めいた女性(Greta Garbo)がいて、上演後も気になったので彼女を家まで送っていって、それ以上の関係になることを彼女はやんわり拒絶するのだが、翌日ふたりは田舎で楽しい一日を過ごすの。

そこから機密書類を運ぶ任務のためにベルリンに向かう彼に彼の叔父の大佐が、お前が会っている女はロシアの凄腕女スパイのTatianaだから注意しろ、と言われてびっくり、列車に乗ったら彼女がいたので冷たくしたら彼女は向こうに行っちゃって、でもKarlが寝て起きたら書類が忽然と消えていて、このせいで彼は階級剥奪されて牢獄送りになる。そこに叔父が現れてここから出してやるからワルシャワに行って彼女を見つけて書類を取り戻してこい、ていうの。

こうしてKarlはシベリアのピアニストに化けて国境を超えて、あるパーティで諜報局の将軍Borisに付き添われたTatianaを見るとめらめらして、未練たらしく二人で見たオペラの曲をピアノでじゃんじゃか演奏したりすると彼女ははっとびっくりして、さてふたりの恋は(or 憎悪は)どうなっちゃうのか。

敵同士の男と女で、でも好きになっちゃって、なのにいけないことやって憎悪が炸裂して、でも再会したら嫉妬の炎とか憎しみとかでもやっぱし好きなのかも、とかが一遍に燃え上がって、でもそんな火遊びしている余裕ない敵陣で絶体絶命で、最後まではらはらどきどきが止まらない。

あそこまで笑えないけど、どきどきのかんじはルビッチの”To Be or Not To Be” (1942) のそれに近いかも。戦争でまじ命がやばかったりするのに、なんでひとは(そんなときに限って)恋のほうに燃えあがってしまうのか、とか。なにやってんのよ? って。

もういっこルビッチでいうと、Garbo主演の“Ninotchka” (1939) – 大好き - も思い起こさせて、表面はロシアの氷点下の女なのに敵対する男と恋におちると極スイートになったりの落差がとんでもなくてたまんない。 Garboってこういう冷たさと柔らかさを表現するのが本当にうまいなあ、って。

サイレントの伴奏にフルオーケストラ、というのは自分にとっては初めてだったが、とにかくすごいの。
特に憎しみの火の玉になったKarlがTatianaに再会するシーンの音の濁流噴流の盛りあがりときたら凄まじく、これって爆音で見る映画と同じくらいの鳥肌が来るんだわ。

サイレントって、やっぱりいっぱい見なきゃね、て思った。

ところで今日はSouthbankのメンバー向けMeltdownのチケット先行の日で、発売20分前の9:40くらいにログインしたら前に2030人くらいのキューがあって絶望的になって、発売開始になってもキューはぜんぜん動いてくれなくて、11:20くらいに「まだチケットは十分あります。 NINだけ完売」とか出たのでほぼ死にたくなって、中に入れたのは12:00くらいだった。 とりあえずほしいのざっと取って(なぜかマイブラだけ最前列が)、でもくやしくてたまらない。
あのキュー処理はなんだよ。まるでロンドンの地下鉄じゃないか。

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