3.26.2018

[film] Ekstase (1933)

17日の土曜日、BFIで見ました。英語題は” Ecstasy”、邦題は『春の調べ』。

Hedy Lamarrのドキュメンタリー - “Bombshell: The Hedy Lamarr Story” (2017)が英国でも公開されて当たり前のように話題になってて、その関連で彼女の昔の映画もBFIでやったりしている。
これはHedy Lamarrが米国に渡る前、まだ Hedy Kieslerだった頃の作品。34年のヴェネツィア映画祭で最優秀監督賞を獲っていて、映画史上最初に女性のヌード、ポルノグラフィックではない形でセックスとオーガズムを表現した(Lamarrによるとここの撮影は最低だったって)作品としても有名である、と。
サイレントかと思う程台詞は少なくて、他方で音楽はずっと鳴り続けている。

Emil (Zvonimir Rogoz)とEva (Hedy Kiesler)は新婚で、新婚なのにずっと歳上の夫はすごくかっちり整理整頓潔癖すぎなかんじの人(シルエットとかモノの置き方とかでぜんぶわかる)なのでEvaには辛くてだんだん嫌になってきて、実家に戻って父に離婚したいと言うのだが、ううむ、って言われる。

ある日、Evaは馬に乗って湖に出かけて、馬を繋いで裸になって水浴びしていると突然馬がどんどこ遠くに走りだして(しっかり繋いでおけ)、Evaはすっ裸で追っかけていったら馬を止めてくれたのが若くてかっこよいAdam (Aribert Mog)で、馬にかけてあった服も投げてくれるっていう昔の漫画みたいな展開で、ふたりは当たり前のように親密になってしまい、そのあとで、たまたまEmilの車に乗せてもらったAdamがEvaのネックレスを手にしていたので、真面目なEmilはハンドルを握りしめてがーーん、てなる。

その後、どこまでも潔癖まじめなEmilはホテルの部屋でひとり銃を手にして…  かわいそうにー、でそこからはなかなか謎なのだが、EvaはAdamと別の電車に乗って、Adamの夢(?)のなかでは光に包まれた赤ん坊が(いきなり赤ん坊?)顕現するの。

公開当時はセンセーショナルだったのかもしれないけど、やらしい要素はどこを探してもあんま見当たらなくて、どちらかというと光とか雲とかが鮮烈で神々しくてロマン派の絵画のようで、そこにHedy Lamarr – Kieslerのいろんな形状がきれいにはまってしまうのは言うまでもないこと。 そしてこれを見た彼女の最初の夫 - 武器商人の大金持ちが(上映させないように)プリントをぜんぶ買い占めようとしたって、なんかすごい。

それに、ほんとうに彼女の裸とかあれとかが映画史上初なのだったとしたら、そんな彼女がWifi技術のおおもと作ったってなんか痛快すぎてすごい。 「神」っていうのは例えばこういう壮大な影響力のことをいうのな。


これとはぜんっぜん関係ないけど、昨晩 - 日曜の晩のTVドラマで”The Durrells”っていうのをやってて、これまさかと思ったら、ジェラルド・ダレルがギリシャのコルフ島で過ごした子供時代を元にしたコルフ島三部作(むかし、池澤夏樹訳で翻訳が出ていた)のドラマ化(の今はシーズン3)なのだった。 この本、ほんとうに大好きで何度も読み返してて(こっちにも集英社文庫の1冊だけもってきたくらい)、暫く見ていたら、だいたい家族の誰が誰だかわかったし、あれは亀のアキレス、とかそういうのまで思いだしてたまんなかった。 来週はロンドンに戻った長兄のラリー(後のロレンス・ダレルだよ)がヘンリー・ミラーとかと出会うんだって。

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