3.19.2018

[film] Girlfriends (1978)

11日、日曜日の昼間にBFIの”Girlfriends”特集で見ました。
これの数日前の上映回は上映素材のトラブルかなんかでキャンセルになったらしく、上映前にBFIのひとが出てきて、予定していた素材ではなく35mmプリントでの上映となります状態はあまりよくないけどこれが唯一残っているやつなので楽しんでね! って。

今回のこの”Girlfriends”の特集のなかでもこれだけは見逃したくなかった1本。
上映された年のトロント国際映画祭でPeople's Choice Awardを受賞し、Golden GlobeやBAFTA Awardsにもノミネートされ、Stanley Kubrickが手放しで絶賛し、最近だとLena DunhamやGreta Gerwigが(特に”Frances Ha” (2012)への)影響を隠さず表明し、時にはBarbara Lodenの”Wanda” (1970) 並みの影響力をもつ女性映画と言われたりもする、でもこれ1本で監督のClaudia Weillは(いろいろあったらしいが)いなくなってしまった。

もしゃもしゃ髪で写真家を目指しているSusan (Melanie Mayron)と顔もスタイルもさばさば系のAnne (Anita Skinner)はルームメイトで、互いにそれぞれ楽しく暮らしていたのだが、Anneは突然あたし結婚することにしたから、ってアパートを出ていってしまう。
途端にSusanに降りかかってくるいろんなこと - 自身の写真家としてのキャリアのこと、恋人とか結婚のこと、家賃とかいろんな支払いとかお金のこと、それらを編みあげて総合してどんより絨毯のように目の前に広がってくる不安とか焦躁とか。 もちろんAnneとは友達なので彼女の新婚家庭に行ってみたりもするのだが、あんなの自分には無理だわ、って半ベソで戻るしかない。

いろんな軽めのエピソードのスケッチを通して主にSusanのやってられんわ、とか、あたしなにやってんだろ、の日々をコメディぽく重ねていって、他方で女性がひとりで生きていくことの困難を描いて、それは仕事上のパートナーとかボーイフレンドとか家族とかアパートとかいろいろあるのだが、最後にはAnneみたいな友達 - Girlfriends - がいればなんとかなるのかも、ずいぶん違うのかも、ていうあたりに落ち着く。

それは友達を作ろう!とか大事にしようね! とかそういうことではなくて、女性がひとりで生きていくのが本当に大変なのが今の世の中で、そこは余程の大変動や大革命が起こらない限り変わりそうになくて、でも当分はみんなそういう土壌のうえで生きていく以上、それぞれの人間関係とか社会的な位置とかを変えながら移動していかざるを得なくて、誰もがそれぞれずっと一緒にいられることなんてなかなかない。 けど、自分は自分でそう簡単には変われるものではないし、その自分が求める誰か - そういう自分と同じ空気のなかにいる人 - も変わってしまうものではないよね?  だからGirlfriendsなのだ - っていう特別だけど難しくない、割と簡単なことで、でも、だから彼女たちはいつだって最強になりうるのだと。

あとはNYのアパート暮らしとか、ひとり暮らしのいろんなディテールが、朝の光や夜のひっそりも含めて、そこにひとが一人余計にいるだけでどれほど違うものかとかも含めて、きちんと描かれているのは小さくなくて、そういうところにGirlfriendsという関係のありようはこういうふうにはまる、ということがわかる。 はじめに関係ありきのとってつけで美術やインテリアを組みあげていったかんじが全くないの。 ドキュメンタリー、って言ってもわかんないくらいかも。

割と最近の作品ですぐに思い浮かべたのが”Ghost World” (2001)のでこぼこコンビで、あの映画でEnidのパパを演じているBob Balabanはこの映画でAnneの新婚旦那だったりする。 世紀を跨いで継承された”Girlfriends”の普遍は、Lena DunhamやGreta Gerwigの登場によって新たな輝きを獲得してもはや無敵としか言いようがなくて、その突端にあってパンクと同じ時代に生まれたこの作品を見つめ直してみることは意義あることではないか。 もう一回、あと何度でもみたい。


この作品の前に上映された15分の短編 - Ackee & Saltfish (2014) がものすごくおもしろかった。
ふたりのジャマイカンの女の子がずっとかけあいみたいな調子で交互にわーわー言いながら街中歩いたりカードやったりご飯を食べたりしているだけ、すごい早口で何言っているのか半分くらいしかわかんないのだがなんかすげえー、ってやられた。


St. Patrick’s Dayの週末は、ずっと雪吹雪で(まだ降ってる?)、この時期にいいかげんにして、だった。 
BBCで”Brooklyn” (2015) やってくれたのですこしご機嫌なおった。

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