9.26.2017

[film] Victoria & Abdul (2017)

17日、日曜日の午後、バッキンガムお庭ツアーの後にPiccadillyでみました。
バッキンガム宮殿のツアーのあとに見るのに、こんなに相応しい映画があるだろうか。

ツアーの中ではVicroria女王の椅子が舞踏会の部屋に置いてあって、身長が152cmだった女王の足がぷらぷらしないように座面がとても低く作られたそれは、彼女が縮まってそこにいるかのような不思議な存在感を放っているのだった。

インドに暮らすAbdul (Ali Fazal)は女王への貢ぎ物を持って仲間と英国に渡って、それは別にぜんぜん歓迎されていないふうのただのいち儀礼だったのでとっとと片づけて帰ればよかったのに、謁見の際にぜったい目を見てはいけない、と言われたのに、つい彼女の目をガン見しちゃって、更に陛下の足先にキスまでしてしまったので、翌日にQueen Victoria (Judi Dench)に呼びだされて、いろんなことを話すようになる。 最初、彼女にとってはただの暇つぶしだし、彼にとっては聞かれたから答える、くらいのものだったはずなのだが、なんだか互いに気が合ってしまい、女王はふたりきりで会うようになったり、インドの文字や言葉を教わったり、インドかぶれになっていったりで彼の滞在はずっと延びてて、女王のお付きとか周囲にはそれがおもしろくなくて、彼には妻がいるとか、肩書きがうそだとか、彼はヒンズーではなくムスリムだとか、中傷に近いことも含めていろいろ妨害したりするのだが、あまり揺るがないの。

最後には悲しい別れがきて、ふたりの間でやりとりされた手紙とかは全て焼かれて、Abdulはインドに送り返されてそれきりになってしまったので、結局ふたりの絆がほんとうのところはどんなものだったのかはわかりようがない、でもこういう出会いって英国の女王とインドの男の間だからとか、国境を越えてとか身分を越えてとか、そういう類の話しではなくて、どこのどんな、誰との間でも起こることなんだと、そんなのふたり以外の誰にもわかるもんではないのだよ、ということを言っている気がした。 出会いってそういうものなのではないかと。

でもこの事実が明らかになったのは2010年にAbdulの手記が公になってから、というのはちょっと切ないなー。

それにしてもJudi Denchの女王としか思えない佇まいのすごさときたらどう形容したらよいものか。威厳とか貫禄とか枯れすぎてどうでもよくなったかんじとかアルバートのいない寂しさ弱さもあったり、とにかくいろんな人の貌が入り混じって、でも圧倒的に生きてて、生きなければいけない、という、女王の業をぜんぶ引き受けた凄味がぜんぶ固化して液化してなんというか。

Abdul役のAli Fazalもよかったけど実際の御本人とはずいぶん...

果物屋に並んでいるマンゴを触って難しい顔で、"It's.. Off..." ていうのをやってみたいなー。

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