3.21.2017

[music] Stick in The Wheel present FROM HERE: English Folk Field Recordings

19日の日曜日の晩、Cafe OTOでみました。
British Folkのいろんな人たち、バンドが寄席みたいに次々出てきて2〜3曲やって次に替わっていく形式の週末の二日間。
20:00くらいに始まって、休憩一回挟んで23:00過ぎに終わった。 椅子に座れたからよかったけど、Slapp Happyのときみたいな立ち見だったらもたなかった。

告知によると次のような方々が出ていたはずなのだが、自己も他己も紹介なんて殆どしないで勝手に始めては去っていくので誰が誰だかわかりゃしない。

Martin Carthy + Peta Webb + Ken Hall + Eliza Carthy + Jack Sharp + Men Diamler + Fran Foote + Nicola Kearey + Stew Simpson + Laura Smyth & Ted Kemp + Cunning Folk

見たいと思ったわけはMartin Carthy翁が出ていたからで、ものすごく失礼なことだがもうとっくに死んじゃったひとだと思っていたのに生きていた - なら見なきゃ、ていうのと、こないだShirley Collinsのライブを聴いて英国のフォークにいろいろ興味が湧いてきた、ていうのと。

イベントはFrom Here RecordsをたちあげたフォークバンドStick In The Wheel - 昨晩もメンバーは出ていたはずだが先に書いたように誰が誰やら - が企画したその場の一発録りで製作したレコードのライブバージョン - ややこしいな、要するに昔のフォークの人たちがカフェとかで普通にやっていたようなライブをライブでやるから、と。

なのでセッティングも音合わせもほとんどなく - 唯一ギターのチューニングくらいで、やあやあって出てくると、今からやるのはこういう歌 - どこそこの地域で歌われていたやつを誰それがアレンジしたバージョンで、みんなも知ってたら一緒に歌おう  - とか例えば、そんなふうに紹介してそのまま大きく息を吸っていきなり歌いだす。 ギターを抱えたひともいるが、ほとんどはアカペラでマイクもいらないくらいのでっかい声で浪々と。 でさらにびっくりするのは客席側(年齢層はそりゃ高めよ)も歌うんだよ、よいかんじで。
なんか、いろんなことについていけてない転校生みたいだとおもった。ついていけるわきゃないのだが。

すばらしい歌声を聞かせてくれた若者(君の名前なに?)が言っていたのが、子供の頃から周りにはいろんな歌が溢れていて、はじめはなんの意味だかわからずに、でも好きだからなんとなく歌っていて、そうして歳をとっていくうちにだんだん意味がわかっておもしろくなって、そうやってますますその歌が好きになって、と。 そんなふうに歌いこまれてきた歌たちだからわるいわけがあろうか。  

Jeff Buckleyや二階堂和美の声に初めて出会ったときの驚き、がごろごろふつうに転がっている、というか。

Martin Carthyさんはフィドルと歌担当の娘のEliza Carthyさんとのデュオで、延々チューニングしながら親子漫談をやってて楽しいのだが、音楽に入るとなんかとぐろの巻き具合というかギターも含めた重量感がものすごくて、さすが人間国宝だわ、"Scarborough Fair"の元ネタのひとだわ、と改めておもった。 一曲だけNick Drakeのママの歌です、ってあのアルバムの一曲目の"Happiness"をやって、全体を通しても知っていたのはこの曲くらいだった。

これらは英国やアイルランドのいろんな地方で歌い継がれてきた歌で、もちろんそういうのはここだけではなくてこんなの世界中どこにだってあるしあったし。でもそのことが疎かにされて、みんなで同じひとつの歌を歌っていればいいじゃん、みたいな、しかもその「みんな」の括りはなんでか「国」だったりという、とても危険な兆候を感じていて、なのでこれは決して単純なノスタルジアへの回帰とか疲れたからローカル、なんかではなく、地味な、それこそ60年代からずっと続いている戦い、戦いの作法でもあるのよね、と。 

買って帰ったFrom Hereのレコードの裏にはこう書いてあった。 なんかよいの。
"From a stone cottage in Edale, a London bank vault, a Bristol back room, to a Robin Hood's Bay garden at dusk, a Bedford kitchen - each artist was asked to think about what From Here meant to them - by way of place or geography, as a way of looking back to musical origins, or simply where they are at this very moment in time: 'here's what I am, this is where I'm from' - Then we just recorded them live, in situ, two stereo mics, no overdubs. Exactly as if you were right there."

帰り、日曜の23時過ぎだし、小屋の最寄の駅から2回乗り換えねばならなくて終電が心配だったのだが、ぎりぎりでなんとかなった。

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