3.13.2017

[film] Meek's Cutoff (2010)

9日の木曜日の晩、BFIのKelly Reichardt監督特集 - “Edge of America” - で見ました。
2010年に公開されたとき、Michelle Williamsが銃を構えているポスターに惹かれてずっと見たかったのをついに、ようやく見ることができた。

1845年、西の肥沃な土地を求めて移動する開拓者たちの幌馬車のルート - Oregon Trail上で起こった史実を元にしたもの。 もちろん史実を知らなくても楽しめる、そんなに楽しくない史実ではあるが。

Stephen Meek (Bruce Greenwood)をガイドに3組の家族が西への旅を続けていて、最初は牛が川をゆったり渡っていく絵がすばらしかったりするのだが、だんだん大地からは草が消えていって砂漠とか岩場だらけのきつい旅になっていく。水の枯渇への恐怖と襲ってくるかもしれないインディアンへの恐怖がじわじわと満ちてきて、家族たちは偉ぶってばかりで傲慢なMeekのことを疑い始めるのだが、引き返せないところまで来てしまった感があるし他に頼るひともいないので彼の言うことを聞くしかない。

そこにインディアンがいた、というので、Meekたちは周囲を捜索してやがて一人のインディアンを捕まえてくるのだが、全く言葉が通じなくて、こいつを殺すか、生かして使うかの議論のあとで、生かして水のある場所まで案内させようとする。のだがいつまでどこまで歩いてもそんな場所はなくて、痛めつけられても不遜な笑みを浮かべてたまにわけのわからないことを言ったり歌ったりするばかりのこいつも実はなにも知らないのではないか、という疑念が生まれ始めてきて、どうする/どうなる、なの。

三組の夫婦というのはTetherow (Michelle Williams & Will Patton)、White (Shirley Henderson & Neal Huff - 彼らにだけ男の子がいる) 、Gately (Zoe Kazan & Paul Dano) で、みんな寡黙で、女たちのやることは食事を作ったり編み物をしたりの家事全般で、それぞれの夫に添いつつも互いに助けあいながら割と同じなにかを見たり感じたりしている。 インディアンをどうするか、ルートをどっちにとるか、などの決定事項は男たちが遠くでなにか言い合っているのの欠片が聞えてくる程度。

Emily (Michelle Williams)は言葉が通じないながらもインディアンの靴を直してあげたり彼の興味が向いたルーペを持たせたり、無愛想に相手をしたりしている。 これまでの西部劇の役割構造 - 特にジェンダー観点で何か新しい視野を持ちこんだとか光を当てたとか、そこまでのものではなくて、彼女たちはやれることをやりながらそこにいた、ということを淡々と示そうとしている。 だがそれでも、Emilyはなぜ銃を取ったのか、その銃口はどこを向いていたのか、それらがMichelle Williamsの強烈な仏頂面と共に何の無理も誇張もなく叩きつけられていて、それがあのラストに繋がっていくことに感動してしまう。 どこまでいってもお茶の間の小言小競り合いレベルで結局はおにぎり作りを強いられてしまう日本の時代劇とは比べないように。

タイトルロールとエンドロールの刺繍がかわいくて素敵で。

あと、Zoe KazanとPaul Danoのふたりが”Ruby Sparks” (2012)でスパークしてしまうのはこの後なのだが、ふたりがじゅうぶん絵として輝いていることはここで誰が見たって明らかなのだった。

ああ週末がぁ …

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