3.02.2017

[art] Vanessa Bell

渡英して最初の一ヶ月が過ぎてしまった。 この調子で過ぎていってしまうのだとしたらやばすぎる。
週末の美術館関係。 あんまり行けていないかも。
お家探しがある(決めらんない)し、洗濯したりクリーニングだしたりゴミだしたり日用品の買い物いったり少しは休んだりしないとさすがに、だし。 あと、まだまだ寒いし。

Hair by Sam McKnight

25日の土曜日の昼、Somerset Houseでみました。
地下鉄エスカレーターでTilda Swintonさんのいろんな髪型の広告が素敵で気になったので行ってみたら、なかなかすばらしかった。 ただの髪結い屋じゃん、というかもしれないがこれ見るとひっくり返るよ。ほんとうにすごいひとだよ。

https://www.somersethouse.org.uk/whats-on/hair-sam-mcknight

入ってすぐのところに彼の使っている旅行用のガラガラとそこにぱんぱんに格納されている大量の道具とかスプレーとか飛び道具まるごと一式。
その物量に圧倒されると、それに続いてビデオ映像による彼のコレクションでのメイク風景とその机上に実際にどんなふうに機材とか道具とかが配置されて作業をしていくのかがびらーっと。
(これがミュージシャンだったらエフェクターとモニターとコンソールと、録音機材一式みたいになもんだし、料理人だと … 以下略)

次のコーナーでVivienne Westwood女史の賛辞の言葉と彼女のコレクションを彩ってきた鳥の巣・竹箒頭のマネキンさんが森のように。

そこから階段を昇った中二階の廊下からデザイナー(Karl Lagerfeld)との、写真家(Nick Knight, Patrick Demarchelier, Mario Testino, Tim Walker)との、モデル(それはそれはいっぱい)との、アーティスト(Gaga, Bjork)との、彼のいろんな歴史が並んでいて、特に2000年のVogue Gold Issueの表紙を飾ったKate Mossの横顔のパーフェクトなシルエットとか、1990年のDiana妃がショートにしたときの衝撃(写真: Patrick Demarchelier)とか、懐かしいのがいっぱいで、これらぜんぶを相手にしてきて - とくになまものであるところの髪の毛をどうにかする/できるってなんてすごいことなんでしょう、と - 一ケ月過ぎて髪質 x 陽気湿気 x 水質で毎日お手あげで死にそうになっているものとして - おもった。
髪の毛って、顔の一部だし突端の嘴とか角みたいなもんだから、それを作って見せる、新しいものとして見せるってどんなに大変で大切なことか、って。

自分のは ...もう丸刈りでもするか。(追いつめられている)

あと、ここに出店していたオンライン本屋のBeaux Booksって、なかなかすてきかも。

Vanessa Bell (1879-1961)

26日の日曜日の午前、Dulwich Picture Galleryていうとこで見ました。
これも地下鉄の広告(一箇所だけ、剥がし忘れか?)で見かけて、Dulwichていうのはちょっとロンドンの真ん中から少し遠い村(Village)なのだが行ってみようと。 電車とバスを乗り継いで50分くらいか。

Vanessa BellはVirginia Woolfの4人の兄弟(異母異父も含めるともっと、なのだが)の一番上のお姉さんで、ここの家族友人関係を書き出していくとサザエさん一家、というよりムーミン谷みたいになってめんどうなので、とにかく絵を描く女性だった、と。
展示のメインのイメージになっているSelf Portrait (1915)の絵が見事にお姉ちゃん、てかんじで素敵で、だいたいの印象は室内を描いていた頃のマティスとかムンクとか、肖像画だとセザンヌ、風景はところどころ印象派とかゴッホとか、びっくりするのは抽象のコンポジションのシャープなかっこよさで、それらぜんぶでVanessa Bellなのだが、こんなによかったのかー、とこれまでちゃんと見ていなかったことを反省した。

肖像画に材料はVirginia WoolfにLytton Stracheyはもちろん、長男のJulian Bellにやがて『ヴァージニア・ウルフ伝』を書くことになる次男のQuentin Bell、夫とは別に関係のあったRoger FryにDuncan Grant、そのDuncanの愛人のDavid Garnettとか、あーだからめんどうだねえ、なのだが、画面から受ける印象は家族でも愛人でも愛人の愛人でもどれも同様の平穏さと暖かさとほんのりユーモアに溢れて座っていて、こういう横並びもまたイギリス的、と呼んでいいなにかなのだろうか、とか。

この展示とは別の無料のところではもういっこ別の展示があった。
"Legacy: Photographs by Vanessa Bell and Patti Smith"

中央のガラス棚のなかにVanessa Bellの持っていたファミリーアルバムが広げてあって、取り囲む壁にPatti Smithの写真 - シルバーゼラチンプリントの - が並んでいる。
なにが撮られているのかというと、Vanessa Bellのベッドとか部屋とか画材、Virginia Woolf関係のあれこれ、Blakeのお墓、W.B.Yatesのお墓、Dylan Thomasのお墓、Sylbia Plathのお墓、などなど。 彼女がBlakeが好きなのはしょっちゅう朗読しているので知っていたが、なんか/やっぱし英文学だいすきなのね。

Patti SmithのVanessa Bell関連の写真は展覧会カタログにも入っていたので、これ買うしかないかー、と買った。
仮住まいで本が増えるのはやばいといいつつすでに。(だって洋書がやすいんだもん - あたりまえだけど)

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