8.08.2016

[film] シン・ゴジラ (2016)

4日の木曜日の晩、六本木で見ました。

たぶんネタばれしていると思うけど、しるか。
賛否いろいろあるらしいが、どーでもいいわ。

わたしのゴジラ歴は自分ではそれなりにあると思っているのだが、80年代以降の東宝のは宣伝予告だけで見る気がしてなくて、こないだのGareth Edwardsのは、そんなに悪くないとおもった、ていど。

東京湾沖に未知の巨大生物としか言いようのない奴が現れて、自治体も国もなんだなんだとわーわー騒ぐばかり、対象の特定も危機管理対応もろくにできないまま一部の街を壊されて一旦海に逃げられる。

その間にこれはやばいと思った若手官僚を中心にオタクとはぐれ者中心 + 帰国子女ともアメリカ人とも思えない高飛車娘、等による対策チームが作られるのだが、改めて海からあがってきたそいつは更に巨大化していて既存の火器兵器ではまったく歯が立たず、アメリカはもう核使うしかないみたいだから、やるよ、って言ってきて、そいつを倒すか東京全滅かの選択肢しかなくなって、どうする、なの。

怪獣そのものの動きとかそれらのいつもの組合せ(巨大怪獣、都市・ビル、破壊)、その特撮のクオリティに関しては、ノスタルジックに見えるところも含めてうまいなー、て思うし文句ない。

そして、今東京にゴジラが現れたら、こういう描きかた、こういうドラマを通すことになるんだろうな、ならざるを得ないんだろうな、というとこもしょうがない(のか?)。 縦割りの硬直化した - 境界を守って可能な限り責任を回避したい組織、現場にまるなげの組織の上、彼らが「想定外」を連発してあっという間に機能不全~停止に陥るのは(誰の目にも)十分見えていて、それがざまあみろ、というくらいにわかりやすく示される。

そんな年寄りの対応ぶりに業を煮やした野心もやる気もたっぷりの若手が自分たちのネットワークやそれぞれの知恵や知見をもった変な連中を連携させて、絶体絶命の危機から日本と東京を救う。 よかったよかった。

今の政権運営に危機感や不満を抱いているひとはそうだそうだーいいぞいいそー、て思うのだろうが、それは今の政権こそ! の緊急事態条項とか一億総玉砕じゃない「総活躍」も含めて「この道」しかないと思っている連中にとってもまったく同じで、がんばる自衛隊もJRも工機メーカーもプラント屋もにっぽん万歳!! な内容 - 反自民票を集めるかに見えて結果的に極右体制を作ることに加担してしまったこないだの知事選とまったくおんなじ構図 - ができてしまっている。集客十分みたいだし。吐きそうだわ。
権力統治側にとってこんなに都合のよいものはないの。 だってみんな街を、家族を救いたいし守りたいんだろ? 
... こんな連中にやられちゃってかわいそうなゴジラ。

54年のゴジラは核実験反対という極めて政治的なメッセージを抱えた危険生物として登場して、今回のやつも核廃棄物処理や原発の問題を反映したそれとして現れて、そこに政治ドラマをアタッチさせることがよくない、とは言うまい。 けど、だからと言って、あんなおめでたい幼稚園な、みんなでがんばろう、なものになってしまうなんて、あの代理店の意向なのかもしれんが、あまりにださくてさいてーすぎる。これでオリンピックも安泰ってか。

みんなでがんばってこれだけのことができるんだったら(けっ)、なんで福島や沖縄の問題をメディアぐるで丸めこんで隠蔽して放置するんだよ。最初の襲撃のとき、踏切を横切る老夫婦がいるからと攻撃を取り止めるシーンがあったけど、本当に描かれるべきだったのは、政府側からは規模や基準とったら数値情報としてしか認知されない彼らみたいな、そこで泣きながら歩いている人達じゃないのか。 カップ麺食べながら寝ないで対応している連中なんて勝手にやらせとけばいいし、あんなのほんとどうでもいい。

あんなにお仕事ばんざい、仕事に身を捧げるひとばんざい、プロジェクトなんとか、の内容になっているとは思わなかった。家族の方が大事だから抜けます、これもなんかの因果とか運命だと思うので諦めてしにます、みたいなひとがいたっていいのに。 そーんなに仕事をするひと仕事を通して社会に貢献するひとは偉いのか? そんな認識、病気としか思えない。

ほんとにスポーツとヤンキーとアニメと自民党の国になっちゃったんだわ。(←オリンピックと高校野球の8月はほんとにじごく)

単純に、昨晩見た"We Are the Best!"(すばらしいパンク映画)のあの娘たちが、「スポーツなんて大嫌い」と絶叫していたのと同じくらい、この映画は嫌いだ。
そんなに今の世の中を肯定・賛美したいのなら怪獣映画なんて作るな。 怪獣映画をプロパガンダのネタにするんじゃねえ。

あと、これも狙ったのだろうけど、女性の描き方、ひどすぎやしないか。

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