12.01.2012

[film] Mekong Hotel (2012)

23日の金曜日、Filmexの初日に見ました。結局今年のFilmexで見たのはこれだけになってしまった。 「千羽鶴」のあとで渋谷から移動したら、オープニングの『3人のアンヌ』も見れないこともなかったのだが、なんとなく、こっちは封切りされてからでいいかー、とか思ってパス。

アピチャッポンの新作、61分。
女の子がしゃがんで生肉らしきものを齧っているスチールだけでなんとなくわかってしまう、そんなやつ。
アピチャッポンとサントラのギターを担当しているひとが向いあっておしゃべりしながらリハーサルしている光景と、水量たっぷりの川に面したホテル?らしき建物で男と女の子と母親らしき人たちがそれぞれに話しをして、突然生肉を食べているシーンが出てきて、要は撮影する側と撮影される側と、その更に向こうで映画として描かれている世界の3つがゆるゆるおおらかに繋がっていて、それがなにか? なのだった。

それは「ブンミおじさん」(2010)にも" Phantoms of Nabua" (2009)にもあった死霊だろうが亡霊だろうが妖怪だろうが、そいつらがどこからやってこようが、そこにそうして見えて動いているのあれば撮る、そういう確信に溢れた、でもその強さはしばしば(西欧から見たときの)「アジア」的ななんかとして括られてしまいがちなのがちょっと気にくわないのだが、今回もそんなのがところてんのようにするする流れてくる。

で、受ける側としては、「ふむ」って頷いておわっちゃうんだけど。

ラスト、夕日に輝くメコン川?の水面を小鬼(たぶん小さいレジャーボート)がくるくるびゅんびゅん舞っていて、そこにアコギのリフが延々被ってくるとこはほんとに素敵で、いつまでも見ていられる。

これって、ミシシッピの流れにブルーズ(ヴードゥー)、ていうのと同じ構図のようにも思えるのだが、でもベースにあるのはクレオール的ななんかとはまったく異なっていて、民族間の紛争とかこないだの洪水とかそういうのがほんのり浮かぶ。 いや、それすらも偏見なのかもしれないけど。 たぶん、でも。 
民の血や肉や涙が、魂というのがそこに還っていってそれが伝承として延々まわって流れていくでっかい器としての川。汽車であり線路でもある川。 この映画は駅(ホテル)からそんな川を眺めているだけで、いろんな物語がわんわん湧いてくるさまをぼーっと見ている、そんなふうなー。 

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