12.23.2012

[film] First Position (2011)

9日の日曜日、『秋のソナタ』のあと、bunkamuraで見ました。
辛気くさいのじゃなくて、もうちょっと若い血を、と。

バレエを見るのは好きなのだが、ライブでないと嫌で、でも日本ではライブで見れるのは沢山お金を持ってるブルジョア階級の人々、ということになっていて、じゃあ映画で見ればよいかというと、映画のきれいきれいなバレエを見てもあんましこなくて、要はライブで聞こえる床を擦る音、衣の擦れる音、床を叩く音、肉の軋む音、そういうのが好きなの。 で、この映画に求めたのはそういう音、子供たちの歯ぎしり、それらが聞こえてくれば。

実際に練習しすぎでぼろぼろの爪先とか青黒くひんまがった甲とか、とっても痛そうでバレエの華麗さからは遠い骨肉の呻きがたっぷり見える。 それがどうした、かもしれないが。

New York City Centerで毎年開かれる若者のためのバレエコンペ(あれがローザンヌと肩を並べるやつだなんて知らんかったが)、そこでの勝利を目指して練習を続ける6人の子供、若者たちのドキュメンタリー。

彼らの境遇は、駐留米軍の子とか、日系ハーフの姉弟とか、内戦で両親を殺されて養子に来た子とか、コロンビアから来た子とか、ほんといろいろ。あ、ごく普通のアメリカの高校生もいる。 境遇はいろいろでもみんなバレエが好きで、コンペで勝ってプロのダンサーになりたい、という思いは一緒なの。

泣いたり笑ったりごねたり、みんなそれぞれに大変なのだが、そのベースはスポーツに求められる価値感 - 勝つために努力する&努力したって勝たなければダメ - というのとはやはり違っていて、そこもバレエなんだねえ、と思った。 なによりも美しくなければならない、そして美しさとはこの手足のどこをどう動かし、曲げて、宙に浮かせれば作ることができるのか、バレエとはそれを常に自分の身体と共に考えるプロセスであり、バレエのメソッドとはその考えの作法を叩き込むことだと、彼らの小さな頭と身体はその入り口に立って、その足はFirst Positionをとったばかり、と。

今から10年後くらいに、彼らの姿を英国ロイヤルバレエやABTで見ることができるかもしれない、見たいものだねえ。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。