12.27.2012

[film] I Married a Witch (1942)

15日、アリス・ギイ特集のあとでシネマヴェーラで見ました。『奥様は魔女』。
フランス人による(ちょっと困った)女性映画つづき。(この映画はアメリカ製だけど)

むかしむかし、今から20年以上前、「リュミエール」っていう「スクリーン」とかよりちょっと難しくて、「映画秘宝」よりかっこつけてて、相当偏向して屈折した映画の雑誌があって、そこが「リュミエール シネマテーク」っていうシリーズの洋画のVHS(ていうメディアがあったんだよ、むかし)を何本か出したことがあって、そんときにルビッチの『生きるべきか死ぬべきか』とこの『奥様は魔女』を買ったの。

ビデオの発売記念イベントで『生きるべきか死ぬべきか』の上映はあった(すばらしかった)のだが、これの上映は当然なくて、それを今回、35mmプリントで見ることができる。 
長生きはするものだねえ、というか、これもJenniferの呪いの一部なんだと思おう。

17世紀、魔女とそのパパが魔女狩りで生贄になって樫の木の下に埋められるのだが、その直前に彼らはWooley一族の行く末に不幸な結婚をするんだから憶えてろ、って呪いをかけるの。
その呪いのとおり、Wooley家の男は代々みんな浮かない顔で馬車に揺られて結婚していって、時は現代、Wooleyは州知事選を前に、当選するにはつんつんした性格のやな女(地元権力者の娘)と結婚しなければならなくて、つまりは不幸な結婚の呪いは続いているのだった。

そのとき、落雷で蘇った父娘はさっそくにっくきWooleyのとこに行って目前に迫った結婚式を妨害すべく、そのトドメとして惚れ薬を彼に飲ませて魔女 - Jenniferを恋するように仕向けようとするのだが、間違ってJenniferのほうが薬を飲んじゃったもんだからさあ大変、なの。

恋にしても選挙にしてもすんごく大事なことのはずなのだが、魔女と薬の作用と勢いでものすごくいい加減に無責任に決まっていくので笑っちゃうしかない。 そんなんでも、とりあえず幸せになるんだったらそれでいいんじゃねえか、程度。

このすべてをナメきった態度がたまんなく素敵。(プロデュースはPreston Sturges)
そして、結婚式の愛の歌とか、酔っ払い父さんのドジとか、はっきりと目に見えるくどさしつこさ、がバカにしてんのか、みたいに辺りをぐるぐる回ってくる。

Wooley役のFredric Marchの表はしゃんとしているようで実はぼんくらなかんじ、Jennifer役のVeronica Lakeの狐みたいに猫みたいにぐにゃーんとしたかんじのふたりの相性も素敵でさあー。
(でも撮影現場では犬猿で、Fredric Marchはタイトルを"I Married a Bitch"て呼んでいた、とか)

ちなみにTVの『奥さまは魔女』- "Bewitched" もこれにインスパイアされているんだよ。

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