10.23.2011

[film] Pearl Jam Twenty (2011)

19日水曜日の晩に見ました。
世界同時公開のは六本木のチケット買っていたのに行けなかった。
ロンドンでも、一応検索して狙ってみたのだが、当然のように売り切れていた。

でもそんなにPJ好きかというと、実はそんなでもなかったりする。
"Ten"が出てPVがわーわー言われだしたころはなんだよこのうっとおしいガキ共は、としか思えなかった。 特に、"Jeremy"のPVがMTVのVMAでVideo of the Yearをとったときはほんとにうんざりだったの。
(ま、同様にNirvanaだってなんだこの薄汚れた連中は、だったのだが)

変わったのは、"Vs."からだろうか。
この映画でもMTV NewsでTabitha♡が報道していたように、"Vs."の発売は相当な大騒ぎだったんである。 発売前から、発売当日も、がんがんに報道していた。(MTV Newsだけどね)
で、あんまりうるさいもんだから、発売2~3日して買ってみて、うん、この固さなら、とか。

映画のオープニングは"Go"で、エンディングは"Alive"だろう、と思ってたらほんとにそうだった。
このへん、なんともいえずCameron Croweだよねえ。歳と共にだんだん下世話に、ねちっこいおやじになってきている気がする。

バンド、というよりシアトルシーンの前史から入って、思っていたより沢山あるんだなあ、の画像資料を重ね織りしていくかんじ。 メンバー同士の運命的な、決定的な出会いやケミストリーから始まるべくして始まったバンド、ではなかった。 すごいカリスマがいたわけでもなく、むしろ前バンドのカリスマ的なヴォーカリストの死を埋めるべく、海岸に流れ着いたカセットのひとつの中からEddie Vedderが現れ、ようやくバンドのピースが揃って、なんとか揃ったから、そこから始まった、そういうバンドだった。 (この点ではFoo Fightersも似ているのだが、Dave Grohlはひとりでもへっちゃらだった)

そうして、まずはライブががんがん当たって、レコードも売れて、メジャーになって、戸惑って、Ticketmasterと喧嘩して、でも売れ続けて、Roskildeの事故があって、でも立ち直って、メンバーの結束は変わらず、そして相変わらずでっかい。 そんな20年。
120分で20年。 1年6分。それをメンバーの数で割る、ファンの数で割る、ライブの数で割る、踏破した国の数で割る、そんなふうに等しく割りふられて、それぞれの重さと共に流れていく時間。

なによりもファンひとりひとりへのお手紙のような120分。

MTVと一緒にバンドの成長にびっくりし、ライブに行って狂喜し、でもモッシュにげろげろになり、親や周囲の無理解にあきれ、チケットの値段に憤慨し、新譜のたびにどきどきし、またドラマーが変わったよ、とか、やっぱしライブすげえわ、とか。 
それはバンドの20年、だけではなかった。 ファンと一緒の、みんなの20年、だった。

何度か映像として出てくるが、小綺麗な格好して、グランジなんて始めて聞いたわ、とか、ぱーるじゃむ? とか言うおじさんおばさん達との間にはきっちり線が引かれている。 

だからすごいんだどーだ!みたいな20年ではなく、よくもまあ(よかったねえ)、の20年。
アーティストエゴと、シーンに対する距離と、ファンに対する思いと、綱渡りだったかもしれないが、これらのバランスを繊細に、しかし確信をもって取り続けること、それができたのはバンドの成り立ちのそもそもが盤石ではなく緩めの、どちらかというと70年代的な西海岸のメンタリティ(シアトル郊外のよいひとたち)を引きずったものだったからではないか。

そして、バンドのそんなありようを心底愛してしまったであろうCameron Croweは映像の編纂編集に尋常ではない量の愛と情熱を注ぎ込んでいる。 クライマックスの"Alive"のとんでもないこと。 
このライブの音にあわせて、バンドの過去と現在が、メンバーの過去と現在が、生きてるひとも死んじゃったひとも、そしてなによりもファンのひとりひとりが、アメリカの、世界の20年が、それらすべてがぐじゃぐじゃの塊となって今ここにある自分の足下にでーん、と落ちてくる。

"Alive"。

"Teenage Wasteland" そして、"Rockin' in the Free World"

どうでもいいことだが、各メンバー紹介にはいったとこで、ああドラマーのとこはどうやるんだろ、とはらはらしたらなかなかうまく処理していた。 うまいね、Cameron。 

前にどっかで書いたが、90年代前半、MTVと共にあった自分にとっては懐かしい映像だらけだった。 SNLのAdam Sandlerのあれも、Headbangers Ballのも、みんな覚えていたわ。

確かに、メンバー自身が言うように"The Kids Are Alright" (1979) には及ばない(しょうがないわよそれは)かも知れないが、バンドのドキュメンタリーとしては相当よかったかも。
少なくとも、こういうドキュメンタリーが可能になるバンドって、いま、他にあるだろうか。

なんか久々に"Singles" (1992)が見たくなった。 
Cameron Croweの特集、どっかでやってくれないだろうか。

    

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