10.04.2011

[film] Carnage (2011)

木曜日に風邪ひいた。 
仕事がうまくいかないのは風邪のせいにして、とりあえず滞在を延ばした。

金曜日の9/30は、NYFF(New York Film Festival)の初日で、昨年は"The Social Network"のStand-byに並んだのだった。
(あのときも、たしか直前に延期になったんだよね)

今年のNYFFは、いいなー。 後半のほうが特に。
Wendersの"Pina"があるし、Mia Hansen Loveの"Goodbye First Love"があるし、Wisemanの"Crazy Horse"があるし、Cronenbergの新作もあるし、Sara Driverの"You are not I" (1981) はあるし、"The Royal Tenenbaums"の10周年(ええぇ、もぅ?)はあるし、クロージングはAlexander Payneの新作だよ。

他のイベントあれこれもあたまかきむしりたくなるくらい行きたい。

で、オープニングのは、去年もそうだったが、お祭りだから、いいの。 どんなやつでも。
昨年は2時間前に並んで(正確には、並んでもらって)、結構長い列で入れるかどうかはらはらしたのだったが、今回は、ぜんぜん並んでいなかった。 だいじょうぶか? というくらいに。

Stand-byは基本、並んでもチケットが出る保証はありませんよ、というラインなので、待つしかないのだが、なかなかリリースの連絡が来なくて、別の意味ではらはらした。

結局10分前に買って入れた。 1枚$50。 いいの、お祭りなんだから。

オープニング作品は、ポランスキーの新作、"Carnage"。
原作は、フランスのYasmina Rezaさんの戯曲"God of Carnage"で、これは2009年のOlivierとTonyの両方を獲っている。(彼女は映画の脚本にも参加、今回の舞台挨拶にもでてきた)

最初に主催者挨拶、でChairmanのRichard Penaさんがあれこれしゃべる。 
今年のNYFFでは、日本の日活100周年を記念してすばらしい作品がいっぱい上映されます、大スターのJo Shishidoもきます!  とか言うのだが、しーん・・・だった。 (ま、そうだろうね。きんきんの正装のみなさんには)

挨拶では、プロデューサーと脚本のほかに、Jodie FosterとJohn C. Reilly が登場した。
わー、ほんもんのJodie Fosterだあ、と素直に喜ぶ。 (John C. Reillyは舞台でみたことあったから)

さて映画のほう。
冒頭でどっかの公園を遠くから。 子供たちが小競り合いしてて、ひとりの子が木の枝でひとりの子をひっぱたき、もうひとりの子が顔を押さえるのがみえる。

そのあとで、カメラはブルックリンのアパートの一室に切り替わり、PCで子供達が起こした事故の顛末書を確認している4人 - 2組の夫婦に切り替わり、そのアパートから出ることはない。 登場人物もこの4人のみ。

そのアパートの住人で、被害者側の子供の親夫婦がJodie FosterとJohn C. Reilly、加害者側の子供の親夫婦が Kate WinsletとChristoph Waltz。 顛末書の内容にもお互い合意して、さて帰ろうかというときに、どちらか側の発したちょっとした棘のある一言がざらっとしたなにかを生み、それを打ち消すべく、まあコーヒーでも、ということになり、そのやりとりが延々続いていく。 コメディ、と言ってよいのよね。 とにかく笑える。 

加害者側の夫のChristoph Waltzの仕事はLawerで、会話の合間にしょっちゅう仕事のCallが入り、会話はいやーなかんじで途切れ、でも分別ある大人なのでみんな作り笑いでもちこたえる。
基本はその持ちこたえ、我慢の上重ねのシーソーゲームで、それをゲームとして成り立たせているのは一体なんなのさ? みたいなところまで修羅場が転がっていく。

所詮は子供同士の喧嘩よ、わたしたちは大人よ、うんわかっている、でもなーんか許容できない何かがお互いの間(単純に対峙する夫婦間だけではない、男女間にも)に小さな傷をつけて、その小さな綻びが不可避的に拡がっていき、なにかを決壊させてしまう、そのプロセスのリアルでおもしろいことったら。 

セットのなかの会話劇なので、つまんないかも、と思うでしょ。でもそれがある噴出(なかなかすごい)をきっかけにとんでもないことになっていくの。
タイトルの"Carnage" - "God of Carnage" - 大虐殺の神は、アフリカのどっかにいるやつで、それがなんでタイトルになっているのかは会話のなかではっきりする。

"Ghost Writer"にもあったような最後の最後のどんでん、みたいのがあるかと思ってどきどきしてたのだが、かわりにものすごいやつが現れる ...   それは。

80分きっかり。 全員の描き分けもリアルでちゃんとしているし、怒涛のテンションでがーっと走って、ぷち、っておわる。 めちゃくちゃおもしろいわ。

これを例えばアレンがやったらどうか(たぶんやらないけど)、とかいろいろ考えるに、会話とか場面の切りがえらくさくさくシャープで、このへんがポランスキーなのかなあ、と。

冒頭とエンディングの音楽はAlexandre Desplatさんによるもの。最近調子よいねえ。

ちなみに、Broadway舞台版のキャストは、Jeff Daniels, Hope Davis, James Gandolfini, Marcia Gay Harden。 これも見たかったなあ。

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