11.24.2010

[film] From Morn to Midnight (1921)

今週はThanksGivingの週で、どこでもそうだとおもうがオフィスは開店休業状態になって、誰も働きたがらなくて、とっても静かで、自分も働きたくなくて、だから映画でも見てかえる。

MOMAで"Weimar Cinema, 1919-1933: Daydreams and Nightmares"という特集上映が始まっていて、3月まで続く。

ムルナウ・ファウンデーションとドイツ・シネマテークの全面協力による、ワイマール期のドイツ映画の総ざらい。
なにを見てもとりあえずおもしろくて、ぞっとするほど美しく、かっこよくて、お勉強になるはず。
変態とか狂人とか病人とか犯罪者とか妖怪とか、そんなのばっかりが派手にうようよ大騒ぎする。
なにしろ、"Daydreams and Nightmares"だしね。 

シアターのある地下のフロアもこの関連の展示になってて、大判のポスターがえらくかっこよい。

まずは、1921年の"From Morn to Midnight"("Von Morgens bis Mitternachts", 邦題:『朝から夜中まで』)。

『カリガリ博士』と並ぶ表現主義映画の古典、と言われていて、製作時には本国で公開されず、60年代に何故か日本で発見されてリストアされた。 こないだの夏、京橋のNFCの40周年特集上映でも上映されている。

銀行の出納係がお金に目がくらんで、大金を着服して遊びまくって、死神に抱きしめられて、はいさようなら。

サイレントなので、いちおう間あいだにドイツ語字幕が入って状況を説明してくれる。
MOMAの案内には翻訳不要、とあったのに、どっかから文句がでたのか、英語のボイスオーバーが同時通訳のように入っていた。

撮影(by カール・ホフマン)はすべてセット内で、建物はぺらぺらでぐんにゃり歪んでて、どんよりと暗くて、人々はみんなメイクしてて、動きは大仰か緩慢かのどっちかで、要はすべてのヴィジュアルは登場人物の主観とか心理状態とか、その深みとかを反映したかたちで装飾され、誇張され、戯画化されている。 

表現主義とはもともとそういうものなので、これについてどうこう言うつもりはないのだが、実写の映画でこれをやるのはきつかったかも。 形式としてふさわしいのはやはりアニメーション(→ティム・バートン!)とかなのかも。

これで終わりかと思ったらもう一本追加上映があった。 上のが約60分と短かったからか。

おなじく1921年の"Backstairs" ("Hintertreppe")

表現主義映画とはあんま関係なくて、あとで調べたらMOMAの所蔵作品だった。

でもこれはなかなかいかった。
お金持ちのおうちでお手伝いさんとして働く女の子を身障者の郵便配達夫が片思いして、でも彼女にはハンサムな彼がいて、彼女はずうっと彼からの手紙を待ってじりじりしてて、郵便配達夫はそんな彼女がかわいそうになって手紙を自分が書いたのにすりかえたりしてて、そんなことやっちゃったもんだから大悲劇が。

働き者のお手伝いさんの女の子が、がっしりと頼もしくて、フェルメールの「牛乳」のおねえさんみたいで殆ど同じような構図のショットがいっぱい出てくるものだから、なんとなくうっとりしてた。

あと、頭に焼きついて離れなくなる暗い目をした郵便配達夫を演じているのが、William Dieterle (as Wilhelm Dieterle) 。 後に"The Last Flight"(1931)とか、『ジェニイの肖像』 (1948)とか、すんばらしい映画を沢山撮ることになるこのひとが、キャリアの最初期にこんなことをやっていたとは。 

この特集、できる限り通いたいのだが、むずかしいかなあ。

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