11.02.2010

[art] london - oct.30th -

体内時計は既にじゅうぶんこっぱみじんに破壊されていて、10分20分の睡眠をこまこま積み重ねながら、1時間でも深く眠れたら神様に感謝しているの。

というわけで土曜日も朝8時くらいに目覚めたらそのままなんとなく眠れなくなって、お天気もよいし、横になっていてもどんよりするばかりなので外に出ることにした。

いちおう映画もざーっとチェックしたのだが、あんまりやってなくて(BFIはFrank Capra特集)、その晩のお仕事を考えると映画の前後も含めて余裕がなくなってしまうのはなんか惜しい気がしたので美術関係だけにした。

最初にV&Aで展示をふたつ。

"Diaghilev and the Golden Age of the Ballets Russes, 1909 - 1929"

ディアギレフのBallet Russesの、相当に気合いの入った回顧。£10。
ディアギレフ本人、バレエの衣装、振りつけ、音楽、セットはもちろん、ビジネスとしての興行のありようも含めて、彼らの総合的なアートがその後の世界(そう、しかも全世界)にもたらした幅広い影響をいろんな角度から検証する。

とりあえず、その後のクラシックもモダンも丸めこんでしまうかのような風呂敷のでかさ、懐の深さ、「ロシア」としか言いようのない力強さにあきれる。

場内で、『春の祭典』のJoffrey Ballet 版とPina Bausch版の比較映像を流していたが、同じ音楽であってもここまで違うものを生みだすことができる、その最初の切り出しを、正に破壊と創造をもたらしたのがこの集団だったのではないか、とか。

圧巻だったのが『火の鳥』の公演でつかわれたばかでかい背景幕(V&Aでも最大の所蔵品だそうな)と、"Le train bleu"-『青列車』の緞帳に描かれたこれもまた圧倒的なピカソの『海辺を駆ける二人の女』。 この絵、昔ピカソ美術館で観たけど、こっちが正しい姿だったのだな、と改めて。
こんなのを背負ってツアーしてたら、そりゃ話題にはなるわな。

あとは同時代の作家の書き込み原稿、ジョイスの『ユリシーズ』、プルーストの『失われた時を求めて』とT.S.エリオットの『荒地』。 ううううう。(直撃)

"Shadow Catchers: Camera-less Photography" £5。

カメラを使わず、光と印画紙だけで写真を撮っている/作っているアーティスト5人をピックアップして紹介する。
その手法は作家によっていろいろで、ひとり3分くらいづつでビデオ紹介しているのを見たが、みなさん見事に枯れた、なにかに到達して悟ってしまったような顔をしていた。

差し込んだ光と影がどこかに像をつくる、その一番のはじまりは目を閉じた直後に残る像だと思うのだが、たぶんそのイメージをずうっと追っかけていくとこんなような写真になっていくのだとおもった。機械(カメラ)は補助道具のようなもので。

それから地下鉄でTate Britainへ。 特集いくつか。

"Rachel Whiteread Drawings"

でっかい箱系の彫刻で知られる彼女のドローイング集。
風呂桶とか本棚とか、いろんな箱がいっぱい。うちにも箱はいっぱいあるよ。

"Turner Prize 2010"

今年のターナー賞受賞者の展示。おもしろくてかっこよかったのは、やっぱし映像集団 The Otolith Groupの展示、というかインスタレーションで、帰りに小冊子買った。

あとは、Fiona Bannerさんの”Harrier and Jaguar”で、フロアにでっかい戦闘機ががーんと置いてあるの。土曜日のガキむけイベントでわらわらうるさかったけど。

あと、”Romantics”。英国におけるロマン派、というとターナーとブレイクとコンスタブル、この3名くらいになってしまうようなのだが、ロマン派、という切り口で探ってみるとこんなかんじ、とか。
でも、ターナーまでもロマン派にしちゃったら、なんでもありだよねえ。
むかしむかし、ニューロマ、っていうのもあったんだけど。

それから前とおなじく、Tate to Tateのお舟にのって対岸のTate Modernまで。

Modernのほうのメイン展示はゴーギャンで、これはまあいいか、と。
でもそれを飛ばすと観るものがほとんどなくなってしまうのだった。

唯一、入り口付近でやってたのがこれ。

The Unilever Series: Ai Weiwei - Sunflower Seeds 2010

床一面にひまわりの種がぞわーっと敷きつめてあって、その物量にまずきもちわるくなって、更にそれら粒粒ぜんぶが本物ではなくて、セラミックでこまこま作っている、というのを知り(横でメイキングのドキュメンターもやってる)、さらにぞぞぞぞ、となる。

おれだったらここに追加でロボットのシマリスかクローンのシマリスを大量に放つね。


ここまでくるといいかげん眠くてだるくなってくるので、バスでShoreditchのほうに出て、Rough Trade Shopで今回の旅で唯一、お買い物らしいお買い物を。
どうせもう来ることもないだろうし。(て約2ヶ月前にもたしか)

もちろんアナログで、買ったのは;

-- Morrissey "Bona Drug 20th Anniversary Edition"
こんなのまでもう20年かよやってらんねえよ、とぶつぶつ言う。

-- Belle & Sebastianの新しいやつ
ベルセバのは、いつもジャケットで買うけど、最後まで聴けたことない。

-- Elektra Recordsのアニバーサリーボックスがいっぱい置いてあった(£50くらい)が、買うわけにはいかないので、記念で復刻された7inchのほうを少しだけ。
NicoとTim Buckleyの2枚。 記念復刻盤はあとふたつ、LoveとJudy Collinsのやつ。これらも買っちゃえばよかった。 なにを躊躇したんだか。

-- Adrian John Moffat "Ten Short Songs For Modern Lovers"
45回転の7inchなのに10曲もはいっててお得だから。

軽くごはんを食べてホテルに戻ろうとしたのだが、5時くらいで、まだ食い足りない気がしたので、駅の周辺でなにかやってないか見てみて(iPhoneばんざい)、これに行ってみる。


Damien Hirst "The Souls"
http://www.paulstolper.com/index.html

いろんな色のパターンの蝶々が100枚くらいあったか。
それはそれはきれいでゴージャスなのだが、値段を聞いたら1枚£3000、と。

ふうん。 きっとこの値段もこみでの、"The Souls"なんだろうねえ。

それからその近所の本屋(結構いろいろあった。またくる)で時間をつぶしてホテルに戻りました。

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