11.14.2022

[film] The Clock (1945)

10月29日、土曜日の昼、シネマヴェーラの『ジュディ・ガーランド生誕100年記念特集 永遠のジュディ』特集の一本め、見ました。

原作はPaul & Pauline Gallico、監督はFred Zinnemannから替わったVincente Minnelli、邦題は『二日間の出会い』。Judyが劇中で歌わない作品の最初の一本。こんなのも日本未公開だったの?

次の出立まで48時間の休暇を貰った兵隊のJoe Allen (Robert Walker)がごった返すNYのペン・ステーションでこれからどうしようか(右も左もわからないけど)ってなっているとエスカレーター(セットのやつ。実際にはあんなことにはならないらしい)でヒールを引っ掛けて壊したAlice Mayberry (Judy Garland)にぶつかって、日曜日で開いてなかった靴屋を無理やり開けて修理して貰って、JoeはNYはじめてなので一緒に案内して貰えないかって頼んで、上の開いたバスでてきとーにセントラルパークの動物園とかメトロポリタン美術館とかを見せてつきあってあげて、ずっと一緒にいたいな付き合ってくれないかな、って犬のようになってどこまでも追いかけてくるJoeと、困ったなこっちは日曜日でやりたいこともいろいろあるのにな、のAliceの微妙な温度差が、ここでさよならしたらもうずっと会えなくなってしまうかも…の切なさに少しづつ寄っていく、そのスリルと、それがいきなり結婚しよう!になって英国国教会で式を挙げて、血液検査で時間がない間に合わない! ってはらはらして、のAliceの目線からすれば思ってもみなかった巻き込まれ型コメディ。

Joeが走ってバスを追いかけてくるので、じゃあアスターホテルの時計(The Clock)の下で! とかダウンタウン方面に向かう地下鉄の雑踏ではぐれてExpress(快速)とLocal(各駅)を間違ってぜんぜん会えない! (←よくある!) 会いたくなった時にはそういえば名前聞いてなかった! とか、どこまでもぜんぜん大丈夫じゃない二人に牛乳配達の老夫婦(実際に夫婦だって)とか、ひたすら絡んでくる酔っ払いとか、ただ見ているだけの変な人とか、NYのいろんな人たちが視界に入ったり絡んだりしてきて、これは一緒になるしかないな、になっていくところがよいの。 突然の出会いがこんなふうに恋になってこんなふうに結婚に繋がったら、の48時間。 別れた彼がそのまま戦地に向かってしまうのが切ないったら。

これ、Joeからすれば充実した休暇を過ごせて戦争に行く前に結婚までできたのでとってもよかった、かもだけど、Aliceにしてみれば週末を強引な田舎者に引っ掻き回されて、結婚したのはいいけどそのまま駅でお別れになって戦争に行かれて、そのまま還らぬ人になったらどうする? の心配も丸かぶりだろうし、本当にあれでよかったのかしら? って少し。


Judy特集はもう終わってしまって、11月4-5-6の週末は奈良・京都に行ったりしていたので見れたのはたったの5本だけだった。他のも少しだけ書いておく。以下、見た順番で。


The Harvey Girls (1946)
 『ハーヴェイ・ガールズ 』

Harvey Houseっていう西部の鉄道沿いの(実在した)チェーンレストランに集団で働きにきた「ハーヴェイ・ガールズ」と一度も会ったことのない文通相手と結婚するためにやってきたSusan (Judy Garland)が列車のなかで一緒になって、現地に降りたってみればSusanの文通相手はどうでもいいおやじで、彼女がときめいた手紙を書いたのはレストランの隣で男向けサルーン・バーを経営するNed (John Hodiak)だった。うんざりしたSusanは結婚せずにそのままハーヴェイ・ガールズに加わって、向かいのサルーンを支持する地元おやじ達の嫌がらせ勢力と腕まくりして喧嘩していくの。

Susanははじめは反発していたNedと仲良くなっていくのだが、バーをやりながらひとりで砂漠の風景を見にいったりしているような奴、なんか怪しくて信用できなくない?

あと、Susanの恋敵として出てくるこないだ亡くなられたAngela Lansburyさんが素敵でー。


Ziegfeld Follies (1945)
 『ジーグフェルド・フォリーズ』

総合監督はVincente Minnelliで、1932年にこの世を去って天国にいるFlorenz Ziegfeld Jr. (William Powell)が自分の作ったレビューをオールスターキャストで回想していくノン・ストップのミュージカル(たまに漫談とかも)メドレー形式のオムニバス。 Fred AstaireからCyd CharisseからLucille BallからFanny BriceからJudy GarlandからEsther WilliamsからLena HorneからGene Kellyから次々と。もちろんCGもVRも一切ないんだよ – って言ったときにふーん、で終わっちゃうのなら、ここから先には。

Ziegfeldというと、なんといってもマンハッタンの54thにあった映画館Ziegfeld Theatre (1969-2016)で、あんなにゆったりできる素敵な映画館はなかった。ここで最後に見たのは”True Grit” (2010)だったなー。


Girl Crazy (1943) 『ガール・クレイジー』

監督は当初はBusby BerkeleyだったがNorman Taurogに交替になり、最後の"I Got Rhythm"のとこだけBusby Berkeleyが演出。

Mickey RooneyとJudy Garlandが組んだ最後の学園もので、大金持ちの御曹司でプレイボーイのMickey RooneyがYaleではなく田舎の農学校に送られて、そこの学長の孫のJudyと組んで生徒数減少で閉鎖予定だった学校を救うおはなし。

Mickey RooneyとJudy Garlandのコンビを見ているとついMolly RingwaldとAnthony Michael Hallのふたりを思い出してしまうねえ(ちがう。ちがうんだけどさ)。


In the Good Old Summertime (1949)
 『グッド・オールド・サマータイム』

監督はRobert Z. Leonard。大好きな”The Shop Around the Corner” (1940)のリメイクであれば、見ないわけにはいかない。

気難しいOberkugen (S. Z. Sakall)が店主の楽器店が舞台で、そこにVeronica (Judy Garland)が職を求めてやってきて、店員のAndrew (Van Johnson)とは事あるごとに対立して、でも彼女にも彼にもパーフェクトな文通相手がいて相思相愛なのでそんなの気にしていなくて..

オリジナル版と比べるのは酷かもだけど、ミュージカルにすることでなにかが失われてしまったような気がしてならない。基本は彼らの日々の仕事中や業後の会話を通してどうやってふたりが糸を手繰りつつ出会っていくのか、という話なので。でも、これはオリジナル版の方にも言えることだけど、男子側が文通相手が誰なのかを先に知ってしまうのって、ちょっとずるいのではないか、とか。

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