11.17.2022

[film] Black Panther: Wakanda Forever (2022)

11月12日、土曜日の夕方、109シネマズの二子玉川で見ました。IMAX 3Dで。
ネタバレはー: もうしててもいいよね。

監督は前作から続いてRyan Coogler、The Black Panther - T'Challaの彼以外ではありえない主演俳優Chadwick Bosemanの死を受けて、復活も代替もCGもなし、彼は彼だったのだから、の状態で製作が進められて、”No Woman No Cry”が流れる予告篇で彼のあとに残された女性達(妾じゃない、たぶん)を巡るドラマになりそうなことが示されて、どっちにしたって見るしかないやつ。

冒頭、T'Challaは危篤状態の危機にあって、妹のShuri (Letitia Wright)は最後まであのハーブの調合を試してなんとか救おうとするのだが間にあわず、国葬が行われてQueen Ramonda (Angela Bassett)は後継の話(ハーブの再生によるBlack Pantherふたたび)をしたりするのだがShuriは伝統なんて知るかくそくらえ、になっている。

ワカンダの発展の礎となった鉱物資源ヴィブラニウムの寡占を巡ってワカンダに対して国際的な非難が高まるなか、米国が開発したヴィブラニウム探知機を使って海で作業をしていたら緑色の海の民が現れて作業員たちを皆殺しにして、同じ連中がワカンダの方にも(包囲網を軽く突破して)現れて強くて、自分たちは海の王国タロカンで、王のNamor (Tenoch Huerta)は探知機を作ったやつを引き渡さないと大変なことになるぞ、って脅す。

それでShuriとOkoye (Danai Gurira)は米国に飛んで、Everett K. Ross (Martin Freeman)-脇にJulia Louis-Dreyfusがいると夫婦漫才のよう - を突っついたりしながら情報を聞きだして、東部の大学にいた工作娘Riri Williams (Dominique Thorne)に辿り着いて彼女をワカンダに引っ張っていこうとするのだが途中でタロカンに襲われてShuriとRiriはさらわれてしまう。

これは非常事態でタロカンとの戦争になるかも、ってRamondaはハイチでひっそりと暮らしていたNakia (Lupita Nyong'o)を訪ねたりして準備をしているとやっぱりタロカンが大々的に襲ってきて..(タロカンが襲うべき相手はまずアメリカじゃないの?)

アフリカの奥地に小さいけど技術的に高度に進んで経済的にも豊かな理想郷のような国があって、でもがっちりした王政は維持してて王になるものはまず喧嘩が強くないといかん、というのが前作で描かれたワカンダの全体像で、でもそこで一番強かったT'Challaが亡くなった後、海底に同じように独自の文化をもって発展をしてきた国が現れて向こうからぶつかってくる。彼らによってあっさりRamondaまで失われてしまった後、伝統なんて..と言ってきたShuriは立ちあがるのか、あんな半魚人連中とどうやって戦うのか。

力(筋肉のほう)による統治は国の成り立ち時点からずっとあるし、周辺国もずっとそうやってきたのだし、そのバランスも簡単に崩せるものではないのでこの辺は逃れられるものではない、というのはMCUまるごと、神の世界から宇宙まで含めてそういうものなので、しょうがないものなのかも知れないけど、”Black Panther”に関してはあえて原始の、最小単位の民族、のような場所からその広がりとアイデンティティを猫系動物のしなやかさ、石と草によるトランスフォーメーションで示したところがかっこよかったのだと思う。

今回、代が替わって亡くなったものはお棺に入って送られてぜったい戻ってこない、Black Pantherは決して戻ってこない – Shuriはギークで、テクノロジー周辺にしか興味ない、となって - それでも、Namorの煽りがあったとはいえ、やはり筋肉による競り合い殺し合いの方に行っちゃうのかー。Shuriがハーブを試したときも、よりによってKillmonger (Michael B. Jordan)のやろうが(幻覚として)出てきてしまうのかー。そしてNakiaは ー。

だってさー、ワカンダもタロカンもどっちも悪くないし平和だったのに、アメリカが変なふうに突っついただけでなんであんなふうに目の前のものをどかどか壊したり殺したり始めちゃうの? そこに座って、落ち着いて話せないの? それが自分たち民族の歴史のはじめにあったから、はわかるけど、だから代が替わっていったのに – それでも聞いてくれない.. の? 最後の決着が白黒ではなくああいう形になるのは当然だわよ。(ふつうの勝ち負けになったら文句いう)

Shuriは、おそらくちっとも戦いたくなかった。だからハーブを摂取したときに思い出したくもないKillmongerが嫌がらせのように現れたのだし、最後にあの子が出てきたときも少し安心した、そういう迷いのなかで選びとられた彼女の”Black Panther”はとても細くしなやかで、他のRiriの金属のあれやOkoyeのMidnight Angelの間にいるかんじで、その逡巡や、(悪くいえば)押しの弱さについては賛否あるかもしれないけど、わたしはよいと思ったし、だからこそ最後にShuriの瞼に浮かんでくるT'Challaの笑顔がとても切なく儚くのこる。

これがMCUフェーズ4の最終話だそうだが、「フェーズ」ってなんなのか、いつも調べなきゃ、と思いつつどうでもよくなってしまう。

次作は一旦アクションものを停止して、『Black Panther: 女系家族』っていうホームドラマ仕立てにしてほしい。(Ramondaは回想シーンでいっぱい出てくる)

あと、これは”Aquaman”のときにも思ったけど、海の危機ってこれだけじゃなくいっぱいあるのだから - 特に最近 - もっといっぱい出てくるべき。あの人たちはやっぱり毎日毎日魚食べているのだろうか? それもずっとレアの刺身ばかりなのだろうか? とか。

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