10.19.2021

[film] Dune (2021)

10月15日、金曜日の晩、Tohoシネマズの新宿のIMAX Laserで見ました。

この日は会社を休んで、水戸でPipilotti Ristみて、府中に移動して動物の絵を見て、じゅうぶんへろへろだったのだが、寝なかった(うるさくて寝れんだろ)。

原作は読んでいなくて、84年のDavid Lynch版も見ていない。Lynch版て、公開当時は周囲にだーれも勧めている人いなくて、Stingのビジュアルだってあんなだし、そういうの見るくらいなら、ってレコード屋に行っていた。
監督はDenis Villeneuve、脚本にはEric Rothがいるのね。どの辺を書いたのかしら。

全体としては、昔(今もやっているのか?)自然史博物館とかのIMAXシアターでやっていた大自然の驚異とか宇宙の神秘とかについてのやたら壮大に見えたフィルムのよう – それくらいメカや衣装も含めたヴィジュアルのありそうなかんじ – たっぷりのお金をかけているっぽい完成度は高い。

紀元一万年くらいの未来の惑星アラキス - 砂の惑星Dune - だけが産出する鉱物資源メランジ(俗称スパイス)の採掘利権を巡るお家間の抗争で、善玉と悪玉は見ただけでわかるし、どっちかわからないミステリアスな民もいるし、大河ドラマみたいなオールスター揃い(Star WarsとAquamanとThanosとSpider-ManとMission: ImpossibleとLittle Womenの.. )で、原作はもっと深くてすごいの(映画化不能な壮大さ - 多くの作家が映画化を夢見た、云々)かも知れないけど、この映画を見た限りだとそんなかんじ。

最初の方で、皇帝の命によってDuneにAtreides公爵(Oscar Isaac)、奥方のLady Jessica (Rebecca Ferguson) その息子のPaul (Timothée Chalamet)と勇者Duncan (Jason Momoa)とか一族郎党が越してきて、それまでずっとそこを統治してきたHarkonnen家は別の星に追いやられる。

変な夢を見てはいつも微睡んでいるPaulの目からDuneのいろんなこと – 資源「スパイス」の効能とか、砂漠に生息するでっかく危険な砂虫とか、砂漠で死なないためのスーツとか、先住民であるFremenなどのことが説明され、皇帝付の巫女のようなGaius Helen Mohiam (Charlotte Rampling)のところに母Jessicaに連れられていって、箱に手を突っ込んでこの小僧は?!みたいなことを言われたり、未来のことなのかなんなのか頻繁に彼の夢のなかに現れるFremenの女性(Zendaya)のことが気になっている。自分で自分のことが十分にわかっていないPaulの彷徨いと彼が「一人前」になるまで ~ 彼はひょっとしたら救世主なのか? が物語のひとつの軸としてある。

やがてHarkonnen家が襲ってきて、更に皇帝側もそこに加わっていることがわかって「罠だ!」ってなるのだがそれを知った時には遅くて、公爵はまる裸に剥かれて殺されて、JessicaとPaulはふたりぎりぎりで脱出して、Fremenに匿われたのか捕らわれたのかー。

戦闘のシーンはスーツを叩いてシールドを作ってからの短いナイフによる至近距離の肉弾戦が多くて、弓矢とか砲弾とか機関銃とか飛び道具を使わないクラシックな取っ組みあいで、それは寄られたらやばい砂虫への配慮なのかもだけど、迫力があるのとここの砂漠のパースペクティブにはうまくはまっている気がした。

ただ、中盤以降、全体の構図が見えてくると、砂漠の貴重資源「スパイス」ってもろ石油のことだし、その利権には紛争リスクとか自然の脅威が絡んで、そこに王を失った母子が迷いこんで先住民と関わって、という枠組みの異様に古臭いかんじってどうなのかしら? と。 採掘資源の統治管理のためになんで一族が移住しなきゃいけないのか、そんなの8千年後ならリモートでできてて当たり前なんじゃないの? とかは思うし、ベールの向こうに隠された青い目の先住民や女性の描きかたもなんかー。Harkonnenの当主はほぼジャバ・ザ・ハットだし(こっちが先か)。 なので、あんまりSFのようには見えない、既視感に溢れた現代の写し鏡みたいなところは評価が分かれるところかも。

ただ、今作はまだパート1で、まだ制作されるかどうか未定(制作されるに決まっているじゃん)のパート2以降で明らかになって怒涛の展開になだれこんでいく可能性もあるのかも。 この監督がここ数作で拘っているように見える母性とか言語のありようについてもまだなんとも言えないし。

あと、”No Time to Die”でもそうだったし、ここ数作ずっとそんな気がするHans Zimmerの音楽、低域ばっかりぶおぶおどかどか吹き鳴らしてばっかりでやかましく(手を抜いて)ねえか、って。

こんなふうにいろいろ文句は出てくるものの、オオミミトビネズミの汗たらーっを映してくれたのでまあよいかー、になった。砂虫も半身でいいからあんなふうに在来種としてその生態を明かしてほしいな。

あと、本編とは別にZendayaビューで、あのやたら思わせぶりな目線を送ってくる妄想にまみれて発情している妙なガキはなんじゃ? っていうおちょくり青春ドラマを作ってほしい。

新宿のIMAX Laserの音は日比谷のよりはよかったけど、それでもまだなー。これって箱の大きさに依存するのだろうから、ロンドンのBFIのみたいにでっかいの一棟建ててほしい。


名画座かんぺ100、が届いた。すごすぎてどこを開いてもため息しかない。人のためになる仕事、ってこういうのだと思うのよね。
 

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