10.12.2021

[film] Dinner in America (2020)

10月9日、土曜日の昼、ヒューマントラストの渋谷で見ました。
2020年のサンダンスでプレミアされた青春パンク映画。プロデューサーにBen Stillerの名前がある。

冒頭、治験のバイトでげろげろになっているSimon (Kyle Gallner)がいて、不真面目なのでクビになってバイト代をフルに貰えないことに文句を言いつつ、そこで知り合った彼女の家に連れられてそこの家族とディナーをして、そこの奥さんBetty (Lea Thompson)と仲良くなったりするのだが結局追い払われて、あたま来たのでリビングのガラスを叩き割って植木に火をつけて逃げる。

20歳のPatty (Emily Skeggs)はペット屋でバイトしているのだが、ぼーっとしているので店主からは煙たがられて、家に帰っても、バンドのライブに行きたいっていうだけで母親Connie (Mary Lynn Rajskub)からダメが入るのでうんざりで、自分の部屋ではヘッドホンしてハードコアパンクバンド - Psy Opsの音にあわせて踊り狂って熱狂してそのまま自慰している姿をポラで撮って、リーダーのJohn Q宛にファンレターとして送り付けている。

帰る家がないらしいSimonがパトカーに追われているところを助けた後、PattyはSimonを家に連れ帰ると、彼女の家のディナーの席で彼はまたひと騒動起こしてしまうのだが、彼女の部屋にあったPsy Opsの昔のテープ – “Dinner in America”はこのバンドの入手困難になっている音源からの1曲でもある – を聴いて、彼女からこのバンドがもうじきNYの新人(軟弱)バンドと一緒にライブをするんだー、という話を聞くと顔色を変える。そんなのありえない、と。

実はSimonはPsy Opsの覆面被って歌うリーダーの”John Q”で、え? ひょっとして.. って彼の私書箱に届いていた手紙の束を開いてみると、Pattyのまたぐらを撮った写真がいっぱい。でもPattyが書いてよこした詞とかなんかいいじゃん、とか言いながら、ちゃんと給料払わない彼女のバイト先に文句つけに行ったり、彼女を虐めていたジャージ姿の体育会コンビに復讐したり、反抗期の彼女の弟に葉っぱ教えたり、だんだん仲良くなっていく。で、彼が車で向かった先の家にこそこそ入っていくとスタジオ機材一式があって、Simonは彼女の作った詞でさくさく1曲作っちゃってすごいじゃんー、てなるのだが、そこは彼が寄り付かなくなっていた実家、実は追い出されたお金持ちのぼんで、そこでの家族全員が集まったディナーの席でもうひと騒動起こる。

で、最後に自分のバンドのライブ会場に向かってブッキングしてやっただけありがたいと思え、って偉そうなプロモーター(なんとDavid Yowだよ)と大喧嘩してたら警察がやってきて…

いろんなところで弾かれて傷だらけのSimonといろんなところになじめないPattyがくっついていくのだが、そこにいちいち挟まってくるアメリカのディナー(計3軒)における、みんな幸せになのよ家族なんだもののノリとか体裁とか作り笑いへの中指。 漫画としてはよくわかるし主人公ふたりを応援したくならないこともないのだが、パンクの映画にするならクライマックスはふたりが思いっきりぶちかましてなにもかも蹴散らすライブシーンにしてほしかったかも。そうじゃなくて、Todd SolondzやJohn Watersが描いてきたアメリカの白人中流家庭のプラスティックな居心地の悪さや気持ち悪さを描くのだ、というのならふつうに中流すぎてやや中途半端かも。

最初の方はややごりごりのノイジーなエレクトロが不機嫌に鳴ってて、途中でハードコアパンクが入って、ふたりの共作になると突然Vaselinesみたいなアノラックになる、この辺の統一感のなさはわざとなのかもだけど、もうちょっとなんとかー、とか。

あれこれ破壊力はあるはずなのに、どうにも弾けきれていないところがー。もったいないー。


RIP Paddy Moloney..  90年代の数年間、毎年St. Patrick’s Dayの日にCarnegie Hallで行われるライブが大好きだった。宝物だった。 ありがとうございました。みんないっちゃうねえ..

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