9.20.2021

[film] The Regeneration (1915)

9月10日、金曜日の午後、シネマヴェーラのサイレント特集で見ました。
前の日に見た映画のサブタイトルが”Degeneration”だったので、これで”Regeneration”することにした。邦題は『復活』。

Raoul Walshが28歳の時に監督した(現存する)彼の最初の長編映画で、世界最初のギャングスタ映画でもある。
原作はBoweryのキップリングとかディケンズの”Hard Times” (1854) の登場人物Mr. Bounderbyとか言われたOwen Kildare (1864–1911)のメモワール - ”My Mamie Rose” (1903)とそれを1908年に舞台化したのと。

ロウワー・イーストのスラムのアパートの一室で、10歳のOwen (Rockliffe Fellowes)は母を亡くして天涯孤独の身になって泣いているところで(その背後に猫がちょろちょろ)、向いの部屋の夫婦 - 飲んだくれで乱暴な夫とほぼ同体格の奥さん - の奥さんの方があの子かわいそうだからうちで引き取りましょうよ、って連れてくるのだが、そこも貧乏なとこは変わらずに虐められて散々なことばかりで、長屋の住人も面倒を避けて寄ってこなくて、そういういざこざばかりなので旦那を殴り倒してそのまま路上生活に入る。

やがて17歳になったOwenは魚市場で働いてて、仲間にいじわるしていた若者と喧嘩して勝ったりしていると立派な格好したやくざに認められて、25歳になる頃には地場の若者を束ねるリーダー格になっている。

彼らの反対側に街のギャングの一掃に燃える若い地方検事Ames (Carl Harbaugh)がいて、その婚約者で社会に役立つことをしたいって燃えているMarie Deering (Anna Q. Nilsson)がいて、Amesがディナーの席でギャングがいるところに連れて行ってあげよう、って舞台で演し物をやっているボールルームにみんなでいったら案の定いちゃもんつけられて、助けてー、って言ってたらMarieに見とれていたOwenが間に入ってくれたり、チャリティーで地元の子供達を招いた遊覧船にOwenの仲間たちも乗せてもらって、ちゃらちゃら遊んでいたら突然火事になって - みんな河に飛びこんだり救命ボートが転覆したりなかなかの迫力 - 子供達を救わないといけないところにOwenたちががんばってくれたり、夫がDV野郎で、ずっと泣いている赤ん坊を引き離したいって相談にきた妻のためにOwenが力になってくれたり、そうやってOwenとMarieは互いに惹かれあうようになる。

OwenがMarieを通して神の愛とか慈愛とかに触れて勉強したりよい人になっていく反対側でギャング団では二番手だったSkinny (William Sheer)がのしあがって、より荒くれの彼の下で警察とトラブルを起こしたかつての仲間を助けたことからふたりの間に少し亀裂が入って、でもやっぱり仲直りしたいと思ったMarieがギャング団のところに行ったら追い詰められて絶体絶命になって、そこに警察がなだれこんで大乱闘のどさくさでMarieは…   そしてOwenは…

エキストラにBoweryやHell's Kitchen周辺のほんもんのギャングたちを大量に採用しているので、スラムの様子も人々の顔も階段で遊んでいるガキとか猫とかもはんぱじゃない迫力と佇まいで、遊覧船火事から大乱闘まで見せ場もいっぱいあって、でも最後は一騎打ちと魂の救済のようなところまで踏みこんだてんこ盛りで、これをたった72分に見せてしまうってどう考えてもすごい。Martin Scorseseならぜったい3時間かかる。

とにかくRaoul Walshってどの作品見ても殴り合いのシーンがほんとにダイナミックで力強くて痛そうで、それはもうこの時点からそうだったのかー、って改めて感銘を受けた。 Wikiのページでも全編見れるので、見てみてね。



エミー賞で”Mare of Easttown”のKate Winsletとかがたくさん選ばれてうれしい。英国での最後の日々に見ていたドラマで、でも途中で日本に帰ってこなきゃならなくて、こないだU-Nextにようやく入ってくれたので、これの残りを見るために加入した。まだあと2エピソードくらい。 おもしろい、というのとはちょっと違う、異様な生々しさ息苦しさに満ちたやつで、撮影はTaylor SheridanとずっとやってきたBen Richardsonだったり。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。